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更新日:2026/08/02

がん再発予防

  • がん予防には「一次(生活習慣)」「二次(検診)」「三次(再発・転移を減らす治療)」の3段階があります
  • 再発を防ぐ「効果が証明された食事や食品」は現時点では存在しません。治療後の食事はバランスと低栄養の回避が基本です
  • 科学的根拠に基づくがん予防法として、2026年6月に「飲酒はひかえる」「BMI 21〜25」が改めて推奨されています※1
  • 術後補助療法(薬物療法・放射線治療)は再発・転移のリスクを減らすための標準的な治療で、適応は主治医が判断します
  • 免疫療法には「効果が証明されたもの(保険診療)」と「証明されていないもの(自由診療)」があります。費用・効果・安全性は必ず主治医に相談してください

がんの初発を含めた予防

「がんを予防する」という言葉には、いくつかの異なる意味が含まれています。公衆衛生学的な枠組みでは、がんの予防を次の3段階に分けて考えることができます。

一次予防:生活習慣の見直しでリスクを下げる

一次予防とは、がんになるリスクを高める生活習慣を改善し、がんの発生そのものを減らそうとする取り組みです。国立がん研究センターを中心とする研究班は、日本人のデータに基づいて「科学的根拠に基づくがん予防法5+1」をまとめており、2026年6月3日に第3版へ刷新されました※1。

推奨される生活習慣の要点は以下のとおりです※1。

リスク要因 推奨(第3版・2026年6月) ポイント
たばこ 吸わない/他人のたばこの煙を避ける 受動喫煙も含めて避ける
お酒 飲酒をひかえる 少量の飲酒でもがんリスクが上昇するため、旧版の「節酒」から「ひかえる」へ変更
食生活 減塩する(成人の目標:男性7.5g未満・女性6.5g未満/日)/野菜と果物不足にならないようにする(野菜350g以上・果物200g程度/日の目安) 熱い飲み物・食べ物は冷ましてからとる
身体活動 日常生活を活動的に過ごす 強度を問わず体を動かす習慣が重要
体重 BMIを21〜25の範囲にする(男女共通) 旧版は男性21〜27。男性の上限が25に引き下げられた
感染(+1) 感染の検査や予防接種を受ける ピロリ菌・B型・C型肝炎ウイルス・HPVなどが対象

これらの取り組みは、がんのリスクを「ゼロにする」ものではなく、「統計的に下げる」効果があるとされています※1。個人の体質や遺伝的要因も関係するため、生活習慣を整えていてもがんになる場合があります。

がん予防の3段階(一次・二次・三次)の概念図
がん予防の3段階の概念図。一次予防は生活習慣の改善、二次予防はがん検診による早期発見、三次予防は治療後の再発・転移を減らす術後補助療法を指します。

二次予防:がん検診で早期に発見する

二次予防は、症状が出る前にがん検診を受け、早期のうちに発見・治療につなげることです。国が推奨する対策型がん検診は、科学的に死亡率減少効果が確認された5種類で、健康増進法に基づき市区町村が実施しています※2※3。

対象年齢より若い世代では死亡率減少効果が確認されていないため、推奨年齢から受診することが重要です※2※3。なお、各自治体の実施状況や費用の補助内容は異なります。詳しくはがん検診についてのページもあわせてご確認ください。

がん種 対象年齢 受診間隔 主な検査方法
胃がん 50歳以上 2年に1回 胃X線検査または胃内視鏡検査
子宮頸がん 20歳以上(細胞診)/30歳以上(HPV検査単独法) 2年に1回(細胞診)/5年に1回(HPV検査) 細胞診またはHPV検査
肺がん 40歳以上 1年に1回 胸部X線検査(必要に応じ喀痰細胞診を追加)
乳がん 40歳以上 2年に1回 マンモグラフィ
大腸がん 40歳以上 1年に1回 便潜血検査(免疫法)

(出典:厚生労働省・国立がん研究センター がん情報サービス。数値は2026年8月3日時点)※2※3

三次予防:治療後の再発・転移を減らす

三次予防とは、がんを一度治療した後に、再発や転移のリスクを減らそうとする取り組みです。その実体は、術後補助療法をはじめとした医療的な対応です。詳しくは後の「がんの再発予防のために行われる治療法」の項で解説します。

なお、がんの予防は一次・二次・三次のいずれか1つを選ぶものではなく、それぞれの段階が相互に補完しあっています。

がん再発予防と食事

治療を終えた後、「再発を防ぐために何か食事で気をつけることはないか」と考える方は多くいます。この疑問への現時点での答えは、「特定の食品・食事療法・サプリメントで、がんそのものへの効果が証明されたものはない」です※4。

特定の食品やサプリメントへの期待と注意点

健康食品やサプリメントの摂取、または食事の量や種類を制限する「食事療法」によって、「がんが消えたり、小さくなったりすることはない」とがん情報サービスは明記しています※4。

また、健康食品・サプリメントや厳格な食事療法は、標準治療(手術・薬物療法・放射線治療など)の効果を妨げたり、思わぬ害が生じたりすることがあります※4。試してみたいものがある場合は、必ず担当医や医療チームに相談してから判断することが重要です。

民間療法に関する情報は「がんと民間療法」のページ(国立がん研究センター がん情報サービス)でも詳しく解説されています。がんと食事・栄養についてもあわせてご参照ください。

治療後の食事の基本的な考え方

がんの治療中・治療後の食事の基本は、エネルギー・たんぱく質・ビタミン・ミネラルが不足しないよう、バランスのよい食事をゆっくりとることです※5。

低栄養は体力の低下や感染リスクの上昇につながるため、避けることが重要です※5。医師から特別な指示がある場合以外は、「無理をせず、体調に合わせて食べられるものから食べる」という考え方が基本とされています※5。

なお、食事の内容によってがんが進行したり治療経過に直接影響したりすることは、ほとんどないとされています※5。「食べてはいけないものがある」という過度な制限は、精神的な負担になることもあるため注意が必要です。

生活習慣としての食事とリスク低減

一次予防の観点から、生活習慣としての食事については次の点が科学的根拠に基づく推奨事項とされています※1。

  • 減塩する(成人の目標量:男性7.5g未満・女性6.5g未満/1日。2026年6月第3版時点)
  • 野菜と果物不足にならないようにする(1日に野菜350g以上・果物200g程度の目安)
  • 飲酒をひかえる(少量でもがんリスクが上昇するため)
  • BMI 21〜25の範囲を維持する(男女ともに。2026年6月第3版時点)

ただし、これらは「一次予防(がん全般の発症リスク低減)」に関する推奨であり、「再発そのものを防ぐ」効果を個々の患者さんに約束するものではありません※1。統計はあくまで集団を対象としたものであり、個人の状況にそのまま当てはまるとは限りません。

がんの再発予防のために行われる治療法

三次予防の核心となるのが、術後補助療法です。手術でがんを取り除いた後も、体内に微細ながん細胞が残っている可能性があります。術後補助療法とは、「手術後に、がんの再発や転移の危険性を減らす目的で行われる治療」のことです※6。

どのような術後補助療法をどの程度行うかは、「がんの種類、広がり具合、体の状態などによって異なる」とされており、主治医が総合的に判断します※6。副作用と期待できる効果のバランスも、個人ごとに検討が必要です。

薬物療法(術後補助化学療法)

薬物療法は全身に働きかける治療で、手術だけでは取り除けなかった微細ながん細胞に対応することを目的としています※6。主な分類は以下のとおりです※6※7。

  • 細胞障害性抗がん薬:がん細胞の増殖を妨げる薬。脱毛・吐き気・骨髄抑制(白血球・血小板の減少)などの副作用が生じることがあります
  • 内分泌療法薬(ホルモン療法):ホルモン依存性のがん(乳がん・前立腺がんなど)に対して、体内のホルモン環境を調整することでがんの増殖を抑えます
  • 分子標的薬:がん細胞の増殖に関わる特定の分子を標的にして働く薬
  • 免疫チェックポイント阻害薬:がん細胞が免疫細胞の攻撃を逃れる仕組みを遮断し、免疫の力でがんを制御します(ニボルマブ〔オプジーボ〕、ペムブロリズマブ〔キイトルーダ〕など)。保険診療として受けられる治療です※8

集学的治療では、これらの薬物療法を手術・放射線治療と組み合わせることもあります。詳しくは集学的治療のページをご覧ください※6※7。

放射線治療

放射線治療は、手術でがんを切除した後、残存する可能性があるがん細胞に放射線を照射する治療です※6。手術や薬物療法と組み合わせて用いられることがあります。

副作用は、治療中〜直後に現れる「急性期の副作用」(皮膚の発赤・倦怠感など)と、治療後数ヶ月〜数年以上を経てから現れる「晩期の副作用」(皮膚のこわばり・リンパ浮腫など)に分けられます※6。どのような副作用がいつ頃起こりうるかは、照射部位や線量によっても異なります。気になる症状は担当医に相談してください。

免疫療法の2つの分類を正しく理解する

「免疫療法」という言葉は幅広い意味で使われます。がん情報サービスでは、免疫療法を「効果が証明された免疫療法」と「効果が証明されていない免疫療法」の2種類に明確に分けています※8。この区別を正しく理解することが重要です。

免疫療法の2分類(効果が証明された免疫療法と証明されていない免疫療法)の概念図
免疫療法の2分類の概念図。保険診療で受けられる「効果が証明された免疫療法」と、医療として確立されていない「効果が証明されていない免疫療法(自由診療)」を比較した図。
区分 内容 費用の負担
効果が証明された免疫療法 大規模な臨床試験等で治療効果・安全性が科学的に証明されたもの。免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ〔オプジーボ〕・ペムブロリズマブ〔キイトルーダ〕など)が代表的 保険診療(通常の自己負担割合が適用)
効果が証明されていない免疫療法 「医療として確立されておらず、保険診療で受けることができない」治療。がんペプチドワクチン・樹状細胞ワクチンなどのがんワクチン療法、免疫細胞療法などが含まれる。治療効果・安全性が証明されていない 自由診療(全額自己負担)

(出典:国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法」。2026年8月3日確認)※8

効果が証明されていない免疫療法については、費用・効果・安全性を慎重に確認する必要があります※8。広告や口コミで「副作用がない」「効果が高い」などの説明を受けても、科学的に証明された内容かどうかを主治医に相談してから判断することが重要です。詳しくは免疫療法の比較のページもご参照ください。

治療法の選択

再発予防に関しては、さまざまな選択肢があります。どの治療をどの程度行うかは、がんの種類・広がり具合・体の状態・患者さん自身の希望を踏まえて、主治医と話し合いながら決めていきます※6。副作用のリスクと、再発を予防できる可能性を天秤にかけての判断になります。

治療法の選択は患者さん自身の重要な決断です。主治医の説明をよく聞き、わからないことや不安に感じることは率直に質問しましょう。

がん相談支援センターの活用

「誰に相談したらいいかわからない」「主治医には聞きづらい」と感じているときは、がん相談支援センターを利用するという選択肢があります※9。

がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院・小児がん拠点病院・地域がん診療病院に設置された相談窓口です。主な特徴は以下のとおりです※9。

  • その病院に通院していなくても利用できる
  • 無料・匿名で相談できる
  • 看護師やソーシャルワーカーなどが対応する
  • 診断・治療・副作用・お金・仕事・家族との関係など、幅広い相談に応じる
  • 相談内容が同意なく主治医や他者に知られることはない

セカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは、診断や治療方針について、現在の担当医以外の医師の意見を聞く仕組みです※9。どの治療を選ぶかについて不安がある場合や、納得感を持って治療を進めたい場合の選択肢の一つです。

セカンドオピニオンは「主治医を変える」ことではなく、「情報を集めて自分で判断するための手段」です。利用した後で元の主治医のもとで治療を続けることも可能です※9。

治療法の検討では、がん予防の観点も含めて、生活全般にわたる取り組みを主治医と相談しながら進めることが大切です。

よくある質問

Q. 再発を防ぐ「食べ物」はありますか?
A. 現時点では、特定の食品・サプリメント・食事療法でがんそのものへの効果が証明されたものはないとされています※4。治療後の食事は「バランスよく、低栄養を避ける、無理をしない」が基本です※5。「これを食べれば大丈夫」という情報には根拠の確認が必要です。気になる場合は担当医に相談してください。
Q. 「免疫力を高める」ことが再発予防に大切と聞きましたが、本当ですか?
A. 「免疫力を上げる」という表現は科学的な定義が曖昧で、国立がん研究センター がん情報サービスもこの枠組みによる再発予防の効果を推奨していません※4。一方で、保険診療として行われる免疫チェックポイント阻害薬は、大規模試験でがんに対する効果が証明された医療です※8。「免疫療法」という言葉でひとくくりにせず、「効果が証明されたもの」かどうかを確認することが重要です。
Q. お酒は少しなら飲んでもよいですか?
A. 2026年6月に刷新された「科学的根拠に基づくがん予防法5+1(第3版)」では、推奨が旧版の「節酒」から「飲酒をひかえる」に変更されました※1。少量の飲酒でもがんのリスクが上昇するという研究結果に基づく変更です。個人の状況については担当医にご相談ください。
Q. 術後補助療法は全員が受けるものですか?
A. 術後補助療法を行うかどうか、どのような治療を行うかは、がんの種類・進行度・患者さんの体の状態などによって異なります※6。すべての患者さんが受けるわけではなく、期待できる効果と副作用のリスクを踏まえて、主治医が総合的に判断します。わからないことは遠慮なく主治医に質問してください。
Q. 自由診療の免疫療法は受けない方がいいですか?
A. 自由診療として行われる免疫療法(免疫細胞療法など)は、現時点では医療として確立されておらず、効果・安全性が証明されていないものが多く含まれます※8。保険適用外のため費用が高額になることも少なくありません。受けることを検討している場合は、必ず担当医に相談し、効果・安全性・費用・標準治療との関係について確認してから判断することが重要です。

本記事は2026年8月3日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

参考資料

  1. 国立がん研究センター「『科学的根拠に基づくがん予防法5+1』をより伝わりやすく刷新」プレスリリース(2026年6月3日)(最終確認日: 2026年8月3日)
  2. 厚生労働省「がん検診」(最終確認日: 2026年8月3日)
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス「がん検診について」(最終確認日: 2026年8月3日)
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス「がんと民間療法(健康食品・サプリメント・食事療法を中心に)」(最終確認日: 2026年8月3日)
  5. 国立がん研究センター がん情報サービス「がんと食事」(最終確認日: 2026年8月3日)
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス「集学的治療」(最終確認日: 2026年8月3日)
  7. 国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法」(最終確認日: 2026年8月3日)
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法」(最終確認日: 2026年8月3日)
  9. 国立がん研究センター がん情報サービス「『がん相談支援センター』とは」(最終確認日: 2026年8月3日)

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