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がんの不安

近年、医療の進歩によってがんは死に直結するという病気から、治る、完治が見込める可能性がある病気へと変わりました。しかし、それでもなお、生命を脅かす病気であるということは間違いありません。がんを発症した人は誰でも、その程度は人によって様々とはいえ、心の苦痛に見舞われます。

がんの告知を受けた時から、がん患者とその家族は、様々な不安と戦うことになります。がんに罹患したあるいは告知を受けた人の心の状況は、初期反応(衝撃、疑惑、あるいは否認、時に絶望)から、不安の時期を経て、2週間で適応段階に入るといわれています。がんの告知や再発の告知など、自分にとって「悪い知らせ」を受けると、人は大きなショックを受けます。そして「そんなはずがない」「なぜ自分なのか」「何かの間違いではないか」といった衝撃の瞬間の後に、動揺や疑惑を経験します。さらに、強い不安や落ち込みに支配される時期が、しばらく続きます。この時期を過ぎると心は落ち着きを取り戻し、「自分ががんである」ということを受け入れる、適応の段階に入るとされています。ここでの不安や落ち込みは弱さではなく、通常の反応であるとされています。

しかし、人によっては、2週間で適応の段階を迎えることができず、それ以降の時期でも落ち込みや不安がひどく、問題に対処する以前に、日常生活を再開できない場合もあり、この場合は適応障害やうつ病となっている可能性が非常に高くなります。精神科医の調査では、20~40%の人がうつ状態を経験するという報告もあり、人によっては自殺まで考えることもあり、その深刻さが伺えます。

目次


患者本人の不安

人それぞれ、状況などによっても違うでしょうが、必ず幾つもの不安に襲われます。がん患者が抱える不安として代表的なのが、身体的な問題、社会的な問題、人間関係の問題、心理的な問題です。がん患者は、これらの4つの不安を抱えます。

身体的な問題

がんの代表的な症状は、「痛み」です。特にがんが進行している場合、慢性の炎症が身体中に広がり、強い痛みが続くことがあります。そのため、今現在痛みが無い方であっても、治療過程あるいはがんの進行において「どれだけ痛いのか?」と不安に思う方も多くいます。また、がんが進行すると痛みだけでなく、吐き気やだるさ、浮腫みや身体のしびれ、呼吸困難など様々な症状が出現します。しかし、どの症状がどのくらい出るのかは未知数です。この未知であることに対して「どれだけ辛いのか?」と不安に感じてしまいます。

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社会的な問題

社会的な問題の多くは経済的な問題や仕事の問題です。がんの治療、療養は長期にわたる場合が多く、公的医療保険を使用したとしても、医療費は高額になる場合が多いです。また、保険外でも入院中の食費や差額のベッド代、パジャマなどのレンタル料金、外来による通院費など様々なお金(自費)がかかります。そのため「保険やお金は大丈夫だろうか?」という不安を、多くの人が抱えます。さらに治療をしながら仕事をしたいと考える人もいるでしょう。体調や通院の都合を考慮してもらい、働きたいと考える人もいるかもしれません。しかし、仕事の内容によっては仕事を続けることが困難になることもあります。仮に続けられる仕事であったとしても、通勤の電車に乗れるかなどの問題もあります。そのため、「仕事は続けられるのか?」といった不安を抱える方もいます。さらに、女性で子育て中の方では残される家族に対する不安も強くあり、「子育てと万一のときにどうするか?」という不安を訴える方が多く見受けられます。

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人間関係の問題

がんの治療をしながら仕事を継続したいという方は、職場の人間関係が鍵となります。職場へ密な連絡をして交渉したり、自分の情報を重要な人に伝えることが必要です。しかし、体の問題は、誰に伝えればいいのかを悩む人もいるでしょう。それは会社だけでなく友人関係にも影響します。がんの治療においては、脱毛や皮膚、爪の変色といった外見の変化が出てきます。そのため、「会社や友人にどのように伝えるべきか」という不安を持つ人もいます。

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また、「主治医とどのように付き合えばいいのか?」ということに対して不安を抱く方もいるでしょう。主治医との関係は治療においても非常に大切です。別でご紹介したように主治医との信頼関係は治療への影響だけでなく自分自身の心理面にも影響を及ぼします。

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心理的な問題

がんの告知後からもっとも顕著に現れるのが、心理的な不安です。「気持ちは落ち着いていられるだろうか?」「生きている意味があるのだろうか?」「なぜ自分ががんになったのだろうか」という漠然とした心理的な不安から、「医師はどうやって選べばいいのか」、「これから行う治療はどのようなことが起こるのだろうか」など、不安は多岐にわたります。心理的な不安が起こりやすい時期としては、がん告知あるいは病状告知の後、治療の選択をするとき、通院治療を開始するあるいは退院をしたとき、転移・再発をした後などその期間も長きにわたります。そのため、がんの告知を受けた後から長きにわたってケアを受けることが必要とされています。

家族の不安

がんにおける不安は、患者本人だけでなく、家族も患者と同様に様々な問題を抱えることになります。家族ががんになった時にその事実を受け入れられないという思いを抱いたり、混乱するのはごく自然なことです。そうした中で、「自分がつらくても、本人はもっとつらいのだから、我慢しなくては」と気持ちを抑えてしまう場合も少なくありません。その結果、さまざまな不安や、気持ちの落ち込みが続いてしまう方もいます。欧米では1970年代以降、がんが家族に与える精神的負担に関する研究が行われてきました。その結果、家族にも患者さんと同程度、またはそれ以上の精神的負担があることが示されています。そのため、がん患者の家族はがん患者同様またはそれ以上の精神的なケアが必要で、第2の患者であるとも考えられています。がん患者の家族が抱える不安には以下のようなものがあります。

介護者としての問題

家族ががんになると必要になるのは家族の療養のサポート、いわゆる看病です。がんの治療は長期にわたることからいつが終わりという目途がなかなか立ちません。そんな中でも、家族の方は看病と自分の生活を両立しければなりません。そのため、「どれだけ看病に時間がかかるのか?」「どれだけ看病は大変なのだろうか」といった介護者ならではの不安を抱える方も多くいます。また、家族ががんになってしまったのは「自分が提供してきた食事が悪かったからだ」「自分がストレスをかけてしまったからだ」など患者ががんになったことを自分のせいだと責めてしまう人も少なくありません。

社会的な問題

「仕事と看病は両立できるのか?」「保険やお金は大丈夫だろうか?」といった経済的な不安を抱えるがん患者の家族は非常に多く、これは特にがん患者が稼ぎ頭であった場合に抱える不安です。がん治療は長期にわたることが多く、保険が適用できたとしても雑費等で様々なお金がかかります。がん患者の家族も病院までの通院費や、患者に頼まれた日常生活用品、患者が希望する食料品や娯楽品を買えば、その費用は高額にもなるでしょう。また、がん患者が稼ぎ頭でなく、家を支え、家事をしている方であれば、「家事を誰が担当するのか」「日常生活をどうやって送っていくか」という不安を抱くでしょう。特に患者に対して家のことを任せっきりにしていた場合には、この不安が強くでてくるでしょう。さらに、患者家族に子どもがいた場合には、子どもの生活や子どもの心理面に対しても大きな影響を及ぼし、家族間のサポートについても課題となります。

人間関係の問題

人間関係において最も悩むのが「患者本人とどのように接したらいいのか?」ということです。見えない不安と闘い、身体的不安、精神的不安に苦しめられている患者をみれば家族としてこのような思いが出てくるのは当然のことです。これはがん告知をされた瞬間だけでなく、治療中や治療終了後の通院時など長期にわたって患者家族が抱える問題でもあります。

心理的な問題

心理的な不安として大きいのが「患者本人を失ったら、どうすればいいのか?」ということです。医療の進歩によってがんは治せる、治る可能性のある病気になりました。しかしながら、死に直面する病気であり、がん=死を連想してしまう方は少なくありません。そのため、がんにより家族を失うことの恐怖を患者家族は常に感じているともいえるます。

どの問題から対処するべきか、当初は受け入れるだけでも困難なことで、一つ一つの答えを出すには、相応の時間が必要になるでしょう。これらの不安への対処(解決しない問題も多くあるでしょうが)において、こういったサイトや様々な本から得られる情報はとても重要です。特にインターネットには、豊富かつ多様な情報が公開されています。がんについても、一般向けだけではなく医療従事者向けの専門的な情報まで閲覧できるようになっています。

がんの発生理由、治療法、その効果(完治する確率)や副作用のリスク、転移のリスクなど、医学的なことを知ることによって不安が和らぐこともあるでしょう。また、他の同じような境遇の患者さんの声を聞くことによって不安が和らぐこともあるかと思います。

私達のこのサイトも、患者さんと、ご家族の不安が少しでも和らぎ、希望が見える治療に関するような情報をご提供できるよう、日々努力しております。

がんの不安を少しでも和らげるために

がんに対する不安を少しでも和らげるためには、専門家へ相談することが必要です。がんに対する不安を相談することができる専門家には、具体的な悩みを解決してくれる専門家と、心の悩みに特化して問題を解決してくれる専門家がいます。

具体的な悩みを解決してくれる専門家

具体的な悩みを解決してくれる専門家としては医療ソーシャルワーカーや看護師がいます。医療ソーシャルワーカーは、金銭面や社会復帰など具体的な問題の解決法を一緒に考え、こころの負担をとってくれます。また、看護師は病棟内で医師と患者の橋渡し役になってくれますので、外来だけでなく入院中から相談役になってくれます。これらの専門家は病院内のサポーティブケアセンターやがん相談支援センター、病棟にいます。

心のケアをしてくれる専門家

こころのケアをしてくれる専門家には、カウンセリングなどの精神療法を行う心理士、心の苦痛に対してどのような治療が必要か判断し、カウンセリングや薬剤で治療を行う精神腫瘍医(精神科医、心療内科医)がいます。これらの職種は、全てのがんの治療を受けるところに必ずしもいるというわけではなく、精神腫瘍科、心療内科、緩和医療科という限られた診療科に在籍していることが多いです。

ぜひこのような専門家を活用して不安を解決してみてはいかがでしょうか。

また、専門家以外にも患者会というものもあります。患者会とは治療中、治療後のがん患者さんやその家族が集い、ともに語り、情報交換をする場となります。それぞれが自分自身の思いを語ることで支え合い前向きに歩き出すきっかけになるかもしれません。こういったものを活用してみるのも良いでしょう。

参考文献

国立がん研究センター がん情報サービス がんと心
https://ganjoho.jp/public/support/mental_care/mc01.html#prg2_1
国立がん研究センター がん情報サービス 家族向けの心のケアの情報
https://ganjoho.jp/public/support/mental_care/mc06.html
国立がん研究センター がん情報サービス 家族ががんになったときに知っておきたいこと
https://ganjoho.jp/public/support/family/fam/fam01.html
国立がん研究センター がん情報サービス 専門家による心のケア
https://ganjoho.jp/public/support/mental_care/mc05.html

書籍
清水研ら監修, 国立がん研究センター, 国立がん研究センターのこころと苦痛の本:こころと体のつらさを和らげるためにできること, 2018年発行

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