更新日:2026/07/30
がんの治療方法について
がんの治療は、手術・薬物療法・放射線治療の3つが柱です。どれか一つが優れているのではなく、がんの種類・広がり・体の状態によって、組み合わせ方が決まります。
この記事では、それぞれの治療が何をするものかを、公的機関の情報にもとづいて整理します。
がんの治療方法
3つの治療の役割の違い
| 治療 | 何をするか | 効かせる範囲 |
|---|---|---|
| 手術 | がんやがんのある臓器を取り除く(切除する)※1 | 局所 |
| 放射線治療 | 放射線は細胞内のDNAを切断してがん細胞にダメージを与える※3 | 局所に対する治療※3 |
| 薬物療法 | 薬でがんを攻撃する※2 | 全身 |
放射線治療は手術、薬物療法と並ぶがんの3大治療法の1つとされ、単独で行われることもありますが、手術や薬物療法と併用されることもあります※3。
放射線治療について
がん細胞は遺伝子(DNA)に傷がつきやすく、修復の力が弱いという特性があるため、放射線の影響を受けやすいとされています※3。
目的は完治を目指す場合と、苦痛を緩和する場合の2つです※3。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 外部照射 | 高エネルギーX線を発生させるリニアックと呼ばれる装置が一般的。治療中に痛みはないが、照射中は動かずにじっとしている必要がある※3 |
| 内部照射 | 放射性物質を体内に挿入する小線源治療や、飲み薬や注射で投与する核医学治療※3 |
スケジュールはおおむね10〜30分で、照射は土日と祝日を除き、毎日行うことが一般的です※3。ほとんどの患者は通院で治療を受けており、多くは通常の日常生活を続けることができます※3。
副作用には治療中または終了直後に起こるもの(急性期)と、終了してから半年から数年たった後に起こるもの(晩期)があり、全身的なものと、治療される部位に起こる局所的なものがあります※3。
また陽子線や重粒子線を用いた治療も注目され、保険適応の範囲も広がってきているとされています※3。実際に重粒子線治療では、頭頸部腫瘍・切除非適応の骨軟部腫瘍・前立腺がん・遠隔転移のない膵臓がん・大型の肝細胞がん・大腸がんの術後骨盤内再発・肺がん(I期からIIA期まで)などが保険適用疾患とされています※5。詳しくは放射線療法とはと重粒子線治療をご覧ください。
手術(外科療法)
手術はがんやがんのある臓器を取り除く(切除する)治療法であり、機能や外観の回復、症状の緩和も目的に含まれます。再建手術が行われることもあります※1。
切除する範囲の考え方
2つの方向があります※1。
- がんの周りの正常な部分を含めて大きめに切除する
- 比較的早期のがんに対しては、切除の範囲をなるべく小さくして手術後のクオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を保つ
周囲のリンパ節や臓器を同時に切除する場合もあります※1。
体への負担を抑える手術
開腹・開胸手術のほか、腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術、ロボット支援下手術が行われています※1。
一部の早期がんでは、口や肛門、尿道から内視鏡を挿入してがんを取り除く方法も使われます※1。
手術適応
手術を受けるかどうかは、詳しい検査でステージを確定したうえで、医師が説明と提案を行い、患者が納得したときに同意書に署名するという流れで決まります※1。
説明を十分に理解し、治療に納得できた場合に同意するものであり、セカンドオピニオンを聞くこともできます※1。
合併症とリハビリテーション
手術によって好ましくない症状や感染症が起こる可能性があります。合併症は手術の部位によってさまざまで、予防とリハビリテーションが行われます※1。
多くの場合、手術の前からリハビリテーションが始まります※1。退院後は定期的に外来で経過を観察します※1。
化学療法(抗がん剤)
がんの薬物療法はがんを治したり、がんの進行を抑えたり、がんによる症状を緩和したりすることを目的として行います※2。
薬は4つに分けられる
「抗がん剤」という言葉でひとくくりにされがちですが、作用のしかたが異なる4種類があります※2。
| 種類 | 作用 |
|---|---|
| 細胞障害性抗がん薬 | 細胞が増殖する仕組みの一部を阻害することで、がんを攻撃する薬※2 |
| 分子標的薬 | がんの発生や増殖に関わるタンパク質などのさまざまな分子を標的とし、その機能を抑えることでがんを攻撃する薬※2 |
| 内分泌療法薬(ホルモン療法薬) | ホルモンの分泌や働きを阻害することでがんを攻撃する薬。ホルモンを利用して増殖するがんに対して使う※2 |
| 免疫チェックポイント阻害薬 | がん細胞が免疫細胞にかけたブレーキを外して、免疫細胞ががんを攻撃できるようにする薬※2 |
どれが使えるかは、がんの種類と検査の結果で決まります。「抗がん剤が効かない」と言われた場合でも、別の種類の薬が選択肢になることがあります。抗がん剤一覧もあわせてご覧ください。
副作用の考え方
副作用は使用する薬剤によって異なり、体調やほかの病気、薬の飲み合わせ、食べ合わせの影響を受ける可能性があります※2。
治療開始前に医師や薬剤師から説明があります。治療中に異常を感じた場合は、速やかに伝えることが重要です※2。
治療の場
入院して行う場合と、外来で通院しながら行う場合があります※2。近年は外来が主流になっています。
免疫療法
免疫療法は「効果が証明された免疫療法」と「効果が証明されていない免疫療法」に分けて考える必要があります。
がん情報サービスは、免疫療法を治療効果や安全性が科学的に証明された「効果が証明された免疫療法」と科学的に証明されていない「効果が証明されていない免疫療法」に分類しています※4。
そして後者は自由診療として行われる免疫療法と研究段階の医療として行われる免疫療法に分かれます※4。
免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ:商品名 オプジーボ)
がん情報サービスが効果が証明されている免疫療法として挙げているのは免疫チェックポイント阻害薬です※4。
具体的な薬剤としてニボルマブ(オプジーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、セミプリマブ(リブタヨ)などが列挙されています※4。
作用はがん細胞が免疫細胞にかけたブレーキを外して、免疫細胞ががんを攻撃できるようにすることです※2。
使えるがんの種類と条件は薬ごとに定められています。「免疫チェックポイント阻害薬がある=どのがんにも使える」ではありません。
効果が証明されていない免疫療法を検討するとき
がん情報サービスは、治療効果・安全性・費用について慎重な確認が必要であり、必ず担当医に話すこととしています※4。
あわせて公的制度に基づく臨床試験、治験などの「研究段階の医療」を熟知した医師にセカンドオピニオンを聞くことをお勧めしますとしています※4。
判断のしかたは免疫療法の比較で詳しく解説しています。療養中のつらさへの対応は緩和ケアもご覧ください。
本記事は2026年7月30日時点の公的機関の情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではなく、特定の治療法を推奨するものでもありません。どの治療が適しているかは、がんの種類・広がり・体の状態によって異なります。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
参考資料
- 国立がん研究センター がん情報サービス「手術(外科治療)」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「放射線治療」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がんの免疫療法」(最終確認日: 2026年7月30日)
- QST病院(量子科学技術研究開発機構)「重粒子線治療が適応となる疾患」(最終確認日: 2026年7月30日)





















