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更新日:2026/08/19

喉頭がんとは|症状や検査、治療、ステージなど

喉頭がんについて、部位による症状の違い・原因・検査と診断・病期(ステージ)・声を残す治療と喉頭全摘・代用音声・重複がんへの注意・生存率など、さまざまな観点から解説します。

砂の上に寄り添って置かれた、大きさの異なるなめらかな有機的な形を描いた水彩イラスト

喉頭がんは、「声を残せるかどうか」が治療選択の中心になるがんです。また、できた場所によって最初に出る症状も、見つかりやすさも大きく変わります。

この記事では、部位による違いを軸に、治療と治療後の生活までを公的機関と学会ガイドラインの情報にもとづいて整理します。

喉頭がんとは

喉頭は「のどぼとけ」にある音声・呼吸の器官で、咽頭と気管をつないでいます※1。

左右の声帯とその間隙を声門と呼び、その上部を声門上部、下部を声門下部に分けます※1。喉頭がんは、このどこにできたかで呼び名が変わり、症状も治療も変わります

喉頭の部位別分類を示す図。声門上部・声門・声門下部に分かれ、最も多いのは声門がん、次いで声門上部、声門下部の順
できた場所で、症状の出方が変わる

頻度は声門がんが最も多く、次いで声門上部、声門下部の順です※1。

日本では2023年に4,648例(男性4,222例・女性426例)が喉頭がんと診断されました。人口10万人あたりでは3.7(男性7.0・女性0.7)で、男性が女性の約10倍です※2。

喉頭がんの症状

最初に出る症状は、部位によってはっきり違います※1。

部位症状
声門がん早期に嗄声(声枯れ)があらわれる。進行すると呼吸困難
声門上部がん咽頭違和感、嚥下痛が先行する。風邪と誤認され、発見が遅れることがある
声門下部がん無症状で進行することが多く、発見が遅れやすい

声門がんは声帯そのものにできるため、早い段階で声の変化として気づけます。逆に声門上部・声門下部は症状が出にくく、これが発見時期の差につながります。

声枯れが2〜3週間以上続く場合は、耳鼻咽喉科で相談してください。

喉頭がんの原因・予防

喫煙と飲酒が主要因で、喉頭がんはとくに喫煙の影響が強いとされています※1。

予防の観点では禁煙と節酒が中心になります。また後述するように、治療後も禁煙・禁酒の継続が必要です※1。

喉頭がんの検査と診断

次のような検査を行います※1。

検査何を調べるか
内視鏡検査喉頭の内部を直接観察する
生検組織を採取して診断を確定する
CT検査・MRI検査がんの広がりの評価
超音波検査頸部リンパ節の評価
PET検査全身への広がりの評価

部位によって、内視鏡だけでは足りない

日本癌治療学会の「頭頸部癌診療ガイドライン」は、診断の精度について次のように述べています※3。

喉頭癌の診断には内視鏡検査や喉頭鏡検査にCT検査、MRI検査を併用することで診断精度が向上する。声門癌T1病変では内視鏡検査のみでも診断可能であるが、進行癌・声門上癌・声門下癌・下咽頭癌については過小評価となりやすい※3。

つまり早期の声門がん以外は、画像検査を組み合わせないと広がりを見誤る可能性があるということです。

転移の評価

リンパ節転移・遠隔転移は、問診および視診・触診に加えて、超音波・CT・MRI・胸部X線・PET-CTなどにより総合的に判断されます※3。

「肺転移は頭頸部癌の遠隔転移のなかで最も頻度が高く、胸部X線検査は必須である」とされています※3。

喉頭がんの病期(ステージ)

喉頭がんの病期は0期からIVC期まであり、TNM分類で決まります※1。

記号意味
T腫瘍の大きさ・広がり
Nリンパ節転移
M遠隔転移

喉頭がんの生存率

喉頭がんの5年相対生存率は81.6%(男性81.7%、女性81.1%)です。2018年に診断された方についての、全国がん登録生存率データによる数値です※2。

頭頸部のがんのなかでは比較的高い数値です。参考として、死亡数は2024年で756人(男性676人、女性80人)でした(人口動態統計死亡データ)※2。

この数字を読むときは、次の点に注意してください。

  • 病期別の数値は公表されていません。がん情報サービスも「5年相対生存率はステージにより異なる」とするにとどめています※1。ご自身の病期における見通しは主治医にお尋ねください
  • 集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません
  • 2018年に診断された方のデータであり、その後に登場した治療の効果は反映されていません

喉頭がんの治療法

喉頭がんの治療は、喉頭を残せるかどうかが中心の論点になります。病期によって方針が変わります※1。

喉頭がんの病期別治療方針を示す図。0期から2期は放射線治療または喉頭温存手術、3期以上は化学放射線療法または喉頭全摘術、4C期は薬物療法
病期によって、声を残せるかどうかが変わる
病期治療の方針
0〜II期放射線治療または喉頭温存手術
III期以上化学放射線療法または喉頭全摘術
IVC期薬物療法を検討

手術(外科療法)

手術は、喉頭を部分的に切除して声を残す方法と、喉頭全摘術に分かれます※1。

早期であれば喉頭を温存する手術が選択肢になります※1。進行した場合は喉頭全摘術が検討されますが、その場合は声帯を失うため、後述する代用音声で発声を獲得することになります。

頸部リンパ節転移がある場合は、頸部の郭清を行うことがあります。

抗がん剤(化学療法)

III期以上では、放射線治療と薬物療法を組み合わせた化学放射線療法が選択肢になります※1。これは喉頭を温存しながら治療する方法として位置づけられます。

IVC期では薬物療法が検討されます※1。抗がん剤一覧もあわせてご覧ください。

放射線療法

喉頭がんでは、放射線治療が0〜II期の第一選択の一つです※1。手術をせずに治療できるため、声を残す観点で重要な選択肢になります。

放射線治療全般については放射線療法とはをご覧ください。

免疫療法

がん情報サービスの喉頭がんの治療の説明では、病期別の方針として放射線治療・喉頭温存手術・化学放射線療法・喉頭全摘術・薬物療法が挙げられています※1。

なお、自由診療で提供されている免疫療法には効果が証明されていないものがあります。保険診療で使われるものとは別のものです。詳しくは免疫療法の比較をご覧ください。

陽子線治療

粒子線治療については、重粒子線治療で頭頸腫瘍(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)が保険適用の対象とされています※4。喉頭の扁平上皮がんは除かれている点にご注意ください。

陽子線治療でも2018年4月から頭頸部悪性腫瘍が保険適用となっていますが、対象の条件があります。陽子線治療重粒子線治療をご覧ください。ご自身が対象になるかは主治医にご確認ください。

喉頭全摘術のあとの声 ― 代用音声

喉頭を全摘すると声帯を失いますが、代用音声によって発声を獲得できます※1。3つの方法があります※1。

方法内容
食道発声飲み込んだ空気を食道から出して発声する
電気式人工喉頭器具を頸部にあてて振動を音に変える
シャント発声気管と食道の間に作った通路を使って発声する

習得の難しさと音声の質はそれぞれ異なります※1。どの方法が向いているかは、手術の内容や本人の状況によります。手術を検討する段階で、術後にどの方法が想定されるかを聞いておくと、生活の見通しが立てやすくなります。

療養で必要になること

治療後は禁煙・禁酒の生活改善が必須とされています※1。あわせて次のことが重要になります※1。

  • 永久気管孔の管理(喉頭全摘の場合)
  • 発声訓練
  • 嚥下リハビリテーション

患者会などでの交流の活用も推奨されています※1。同じ経験をした人から代用音声の習得のコツを聞ける場になります。

喉頭がんの再発・転移

再発

治療後は定期的な通院で経過をみます。再発した場合、初回にどの治療を受けたかによって次の選択肢が変わります。放射線治療を行った部位に再び放射線治療を行うことはできないため、手術が選択されることが多くなります。

転移

頸部リンパ節転移の起こりやすさは部位によって異なります。また遠隔転移では、肺転移が頭頸部がんのなかで最も頻度が高く、胸部X線検査が必須とされています※3。

重複がん ― 別の臓器にできるがんへの注意

喉頭がんで見落とせないのが、別の臓器に新たながんができるリスクです。

日本癌治療学会のガイドラインが引用する1995年の主要7施設の調査では、頭頸部扁平上皮癌の14.5%に多重がんの発生が認められました※3。

重複がんの発生部位は食道が最も多く、次いで頭頸部、胃、肺、肝の順でした※3。ガイドラインは「頭頸部扁平上皮癌症例では他の頭頸部癌、胸部食道癌、胃癌の合併に留意する必要がある」としています※3。

喉頭がんの原因である喫煙・飲酒は、食道や胃にも共通する要因です。治療後も禁煙・禁酒を続けることと、上部消化管内視鏡などの検査を受けることに意味があるのはこのためです。

再発・転移の仕組みについてはがんの再発と転移はなぜ起こる?、療養中のつらさについては緩和ケアもあわせてご覧ください。

本記事は2026年7月30日時点の公的機関の情報および学会診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。記載の生存率は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「喉頭がん」(最終確認日: 2026年7月30日)
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計 喉頭」(最終確認日: 2026年7月30日)
  3. 日本癌治療学会「頭頸部癌診療ガイドライン」(最終確認日: 2026年7月30日)
  4. QST病院(量子科学技術研究開発機構)「重粒子線治療が適応となる疾患」(最終確認日: 2026年7月30日)

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