更新日:2026/07/30
小児がんとは|症状や検査、治療、ステージなど
小児がん(0〜14歳にみられるがん)について、白血病・脳腫瘍をはじめとする種類、大人の死亡原因のなかでの位置づけ、種類別の5年生存率、風邪と間違えやすい症状、検査と診断の進み方、薬物療法・放射線治療・手術・造血幹細胞移植という治療、治療終了後何十年もたってからあらわれることのある晩期合併症と長期フォローアップ、小児慢性特定疾病の医療費助成を、国立がん研究センターと小児慢性特定疾病情報センターの情報にもとづいて解説します。
小児がんは、子どもがかかるさまざまながんの総称です。一般的には15歳未満にみられるがんを指します※1。
大人のがんとは種類も、治療の考え方も、治療後に必要なことも違います。この記事では、公的機関の情報にもとづいて整理します。
小児がんとは
小児がんは大人のがんとは異なり、生活習慣にがんの発生原因があると考えられるものは少なく、網膜芽腫やウィルムス腫瘍のように、一部遺伝するものもあります※2。
「親の育て方が悪かった」ということではありません。生活習慣が主な原因ではないため、大人のがんのように予防することは難しいがんです。
「芽腫」と呼ばれるがんが多い
神経芽腫、腎芽腫(ウィルムス腫瘍)、肝芽腫など「芽腫」と呼ばれるがんの原因は、胎児の体の神経や腎臓、肝臓、網膜などになるはずだった細胞が、胎児の体ができあがった後も残っていて、異常な細胞に変化し、ふえていった結果と考えられています※2。
小児がんの種類
がん情報サービスによると、小児がんの種類は、白血病や脳腫瘍が多く、他にリンパ腫、神経芽腫、軟部腫瘍、胚細胞腫瘍などがあります※3。
そして大人のがんとは大きく割合が異なり、また大人ではほとんど見られないがんもあります※3。統計は国際小児がん分類(ICCC-3)にもとづいて集計されており、全国がん登録の2016〜2018年のデータでは0〜14歳の7,531例が対象になっています※3。
それぞれのがんについては白血病、脳腫瘍もあわせてご覧ください。
子どもの死亡原因のなかでの位置づけ
ここは正確に押さえておきたい点です。
がん情報サービスは、0〜14歳の子どもの死亡原因のうち、がん(悪性新生物)の占める割合は全体で約1割とし、1歳を過ぎると割合は増え、5〜9歳では死因の約1/4を占めていますとしています※3。
| 年齢 | 悪性新生物の順位 | 死亡数(割合) |
|---|---|---|
| 1〜4歳 | 第2位 | 57人(10.3%)※3 |
| 5〜9歳 | 第1位 | 83人(24.4%)※3 |
| 10〜14歳 | 第2位(第1位は自殺) | 81人(17.2%)※3 |
厚生労働省「令和5年人口動態統計(2023年)」をもとにした数値です※3。10〜14歳で第1位なのは自殺(120人・25.5%)であり、悪性新生物は第2位です※3。
5年生存率
がん情報サービスが公表している小児がんの5年生存率は次のとおりです※3。がん診療連携拠点病院等の院内がん登録で、2013〜2014年に診断された症例の集計です※3。
| 種類 | 調査対象数 | 相対生存率 |
|---|---|---|
| 胚細胞腫瘍 | 199人 | 96.6%※3 |
| 網膜芽腫 | 105人 | 95.4%※3 |
| 腎腫瘍 | 50人 | 93.8%※3 |
| リンパ腫 | 203人 | 90.7%※3 |
| 白血病 | 946人 | 88.0%※3 |
| 肝腫瘍 | 69人 | 87.1%※3 |
| 軟部腫瘍 | 151人 | 79.3%※3 |
| 神経芽腫 | 163人 | 78.6%※3 |
| 脳腫瘍 | 698人 | 74.6%※3 |
| 骨腫瘍 | 136人 | 70.5%※3 |
データは平均的、かつ確率として推測されるものであるため、すべての人に当てはまる値ではありません※3。
晩期合併症を知っておく
小児がんで最も大切な考え方がここです。
がん情報サービスは、子どもは発育途中であることなどから、成長や時間の経過に伴って、がんそのものや、薬物療法、放射線治療など治療の影響によって合併症が起こることがあります。これを「晩期合併症(晩期障害)」といいますとしています※4。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 成長・発達 | 身長の伸び、骨格・筋・軟部組織、知能・認知力、心理的・社会的成熟、性的成熟※4 |
| 生殖機能 | 妊娠可能か、子孫への影響※4 |
| 臓器機能 | 心機能、呼吸機能、腎機能、内分泌機能、消化管機能、視力・聴力※4 |
| 二次がん(腫瘍) | 良性腫瘍、悪性腫瘍※4 |
そしてほとんどの晩期合併症は、年齢に伴って発症しやすくなり、治療終了後何十年も経過してから症状があらわれることもあります※4。
そのため定期的な診察と検査による長期間のフォローアップが必要とされ、数年から十数年、あるいはそれ以上の長期にわたるフォローアップが行われます※4※5。
治療が終わっても、そこで終わりではありません。長期フォローアップをどこで受けたらよいかは、治療を受けた病院の担当医やがん相談支援センターに相談するとされています※4。
小児がんの補助制度
小児がんの治療は長期にわたることがあり、費用の負担が大きくなることがあります。小児慢性特定疾病の医療費助成を利用できる場合があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 健全育成の観点から、患児家庭の医療費の負担軽減を図るため、その医療費の自己負担分の一部が助成される※6 |
| 対象年齢 | 18歳未満の児童等。ただし18歳到達時点において本事業の対象になっており、かつ、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満の者も対象※6 |
| 対象疾病 | 慢性に経過する/生命を長期に脅かす/症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる/長期にわたって高額な医療費の負担が続く、のすべての要件を満たし、厚生労働大臣が定めるもの※6 |
申請の窓口は各都道府県、指定都市、中核市、児童相談所設置市で、様式が自治体ごとに異なる場合があります※6。まず最寄りの自治体の担当窓口にご確認ください。
費用の制度全般はがんの治療費、がんと社会活動・補助もあわせてご覧ください。
小児がんの症状
がん情報サービスは小児がんの症状に特別なものは、ほとんどありませんとし、風邪のような症状や痛みが続くといった一般的な理由で医療機関を受診した際に検査した結果、がんと診断されるケースも少なくありませんとしています※2。
また、気づかずに診断された場合でもさかのぼってよく考えると、およそ2カ月以前からがんに関連する何らかの症状があったと思いあたることがありますとしています※2。
主な症状
- 発熱:必ずしも39〜40℃などの高い発熱とは限らず、発熱と解熱を繰り返すこともある。子どもの不明熱の原因のうち、10%未満は小児がんが原因とされている※2
- 頭痛:嘔吐を伴う頭痛は、脳腫瘍の症状としてもよく知られている※2
- リンパ節の腫れ:首のまわり、耳の後ろ、顎の下、足の付け根。原因ががんであることはまれですが、痛みを伴わない症状のため注意が必要※2
- 骨や関節の痛み:小児がんでは多い症状。睡眠を妨げるほどの強い痛みを訴えることもある。白血病や骨肉腫などが原因※2
- 筋肉のしこり:痛みがないため大きなしこりになってから気づくことがある※2
- 胸のしこり:縦隔にしこりを生じ、気管や心臓、脊髄を圧迫して息苦しさ、咳、顔のむくみなどを生じることがある※2
- おなかのしこり:1歳から5歳に多くみられる※2
- 血液細胞の異常:白血病では、貧血による顔色の悪さ、血小板の減少によるあざや鼻血が止まりにくいなど※2
- 白色瞳孔:網膜芽細胞腫では瞳を通して白く光ってみえることがある※2
がん情報サービスは小児がんは急激に進行して症状があらわれる場合があります。重篤な症状、長く続く症状、進行する症状がみられる場合には、必ず医療機関に相談してくださいとしています※2。
小児がんの検査と診断
がんの疑いがあるときはまず、問診と視診、触診による診察が行われます※7。
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 血液検査・腫瘍マーカー検査 | がん細胞やがん細胞に反応した細胞がつくり出す特別な物質を血液や尿から調べる※7 |
| 画像検査 | 必要に応じてX線、超音波(エコー)、CT、MRI、PETなど※7 |
| 生検 | 最終的にがんかどうか、またその種類を確定するためには、がんが疑われる部位を手術などで採取して調べる生検が必要※7 |
| 骨髄検査 | 血液・リンパのがんや一部の小児がんで行う。腰の骨に針を刺し、骨髄液を吸引して調べる※7 |
| 髄液検査 | 脳脊髄液を採取して調べる※7 |
一定の時間動かないで安静にしていることが必要になる検査や痛みを伴う検査では、状況に応じて全身麻酔や鎮静・鎮痛薬を使用して動かないようにして行われます※7。
結果が出るまでに時間がかかる理由
がん情報サービスは検査と診断にかかる時間は、適切な治療を行うために必要な時間だとしています※7。
がんの治療では「治療の効果を最大限に得ること」と、「治療による体への負担を最小限にすること」を、同時に考える必要があります。そのため検査は段階を経て行われ、それぞれの検査の担当医が作成した報告書をもとに総合的に判断する必要があるため、時間がかかります※7。
健康診査・健康診断は必ず受ける
がん情報サービスは、市町村などの自治体で行われる乳幼児健康診査や学校において行われる健康診断は、子どもの健康状態を把握し、健康の保持・増進を図ることが目的です。子どもの健やかな成長・発達のために、健康診査や健康診断は必ず受けましょうとしています※7。
そして疑問や不安を抱きながらも問題ないとご家族が判断したり、病気が見つかることを怖がって、受診を控えたりすることのないようにしましょうとしています※7。
受診して医師の診察を受け、症状の原因を詳しく調べることで、病気ではないことが確認できたり、早期診断に結び付いたりすることがあります※7。「気にしすぎかもしれない」と思っても、受診してかまいません。
小児がんの治療法
がん情報サービスは小児がんの治療には、薬物療法や放射線治療、手術(外科治療)などがあり、これらの治療法を組み合わせた「集学的治療」が行われることもありますとし、造血幹細胞を移植する「造血幹細胞移植」という治療法もありますとしています※5。
そして子どものがんは大人のがんと同じ病名であっても、大人の治療法とは異なる場合もあります※5。
| 治療 | 小児がんでの位置づけ |
|---|---|
| 薬物療法 | 大人に比べて薬物療法による治療の効果が高く、治療の中心になることが多い。複数の薬剤を組み合わせた治療も行われる※5 |
| 放射線治療 | 大人に比べて放射線治療の効果が高いため、少ない線量で効果があります。一方、長期的には臓器の働きを低下させることもあり、治療後も長期間、受診して経過をみていく必要があります※5 |
| 手術(外科治療) | 脳腫瘍や神経芽腫、腎芽腫などの固形がんに行われることが多い。小児外科を中心に、脳外科、泌尿器科、整形外科などの医師も治療に関わる※5 |
| 造血幹細胞移植 | 血液中の赤血球や白血球などの血液細胞のもととなる造血幹細胞を移植する※5 |
放射線治療は「少ない線量で効く」一方で、長期的な影響があります。だからこそ、治療の選択は子どもの成長や発達、将来のことを視野に入れて行われます※5。
支持療法・緩和ケア
支持療法とは、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くするための予防、治療およびケアのことです※5。吐き気止めや、感染症を予防する抗菌薬の使用などがあります※5。
緩和ケアは決して終末期だけのものではなく、がんと診断されたときから始まり、子ども本人はもとより親やきょうだいなど家族も、つらさを感じるときはいつでも受けることができます※5。
治療の内容については放射線療法とは、緩和ケアもあわせてご覧ください。
診療の流れ
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 受診 | かぜのような症状が長引くなど「いつもと違う」状態が続くときは、そのままにせず、かかりつけ医の診察を受けましょう。受診の際は症状以外にも、今後の見通しや日常生活などで気になることを担当医に伝える。前もってメモをしておくと整理できます※5 |
| 検査・診断 | 子どもの場合は入院して検査を受けることもあります。検査が続くことや結果が出るまで時間がかかることもある※5 |
| 治療法の選択 | 子ども本人の希望や意思を尊重し、保護者が治療法を選択します※5 |
| 治療 | 長い入院生活を余儀なくされることがあります。子ども本人だけでなく、親や家族も、体のつらさや悩みがあれば担当医や看護師に伝える※5 |
| 長期フォローアップ | 治療後の体調の変化やがんの再発がないかなどを確認するために、治療が終わった後も通院します※5 |
治療の前には担当医から、それぞれの治療の効果と副作用について詳しく聞き、子どもの成長や発達、将来のことを視野に入れて、治療を選択します※5。
担当医とのやりとりについてはがんと医師との付き合い方、不安への向き合い方についてはがんの不安もご覧ください。
本記事は2026年7月30日時点の公的機関の情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではなく、特定の治療法や医療機関を推奨するものでもありません。お子さんの症状や治療については、必ず主治医にご相談ください。
参考資料
- 国立がん研究センター がん情報サービス「小児の方へ」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「小児がんについて」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「小児がんの患者数(がん統計)」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「晩期合併症/長期フォローアップ」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「小児がんの治療」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 小児慢性特定疾病情報センター「小児慢性特定疾病の医療費助成について」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「小児がんの検査」(最終確認日: 2026年7月30日)


















