肺がんとは|症状や検査、治療、ステージなど

肺がんについて、特徴・分類・症状・原因・検診・検査方法・病期(ステージ)・生存率・治療法・再発・転移など様々な観点から解説します。

目次


肺がんとは

肺は、呼吸することにより、肺に吸い込まれた空気がガス交換をする臓器です。口や鼻から吸った空気は気管、さらに気管支を通って肺に入ります。さらに気管支が分岐を繰り返して肺胞という小さな袋で、血液中の二酸化炭素と空気中の酸素を交換しています。肺がんは肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞が何らかの原因でがん化したものです。肺がんは進行するにつれてまわりの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れにのって広がっていきます。

肺がんは、喫煙との関係が非常に深いがんですが、タバコを吸わない人でも発症することがあります。周囲に流れるタバコの煙を吸う受動喫煙により発症リスクが高まることもわかっています。近年、肺がんは日本人のがんによる死亡原因のトップとなりましたが、まだ増加する傾向がみられます。

肺がんの一般的な症状としては、なかなか治りにくい咳、血痰、胸痛、呼吸時のぜーぜー音(喘鳴)、息切れ、声のかれ(嗄声)、軽度の発熱、顔や首のむくみなどがありますが、必ずしも肺がんに特有のものではないです。また、肺がんは進行の程度にかかわらずこうした症状がほとんどない場合もあります。肺がんは症状がなくても検診によって早期発見することができます。

肺がんは病変から採取した組織を顕微鏡で調べる検査(病理検査)の結果によって、主に腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌、大細胞癌に分類されます。治療にあたっては、経過や治療方法、治療効果の違いから、非小細胞肺がんと小細胞肺がんの2種類に分けられます。

非小細胞がんは肺がんの約85%を占め、がんの発生しやすい場所、進行のしかたとその速さ、症状などはその種類によって異なります。

小細胞肺がんは肺がんの約15%を占め、がん細胞の増殖のスピードが速く、転移(肺から離れたリンパ節、脳、肝臓、骨などにがん細胞が移動し、そこで増殖すること)しやすいがんです。そのため、発見時にすでに転移していることがしばしばみられます。

肺がんの症状

肺がんは早期である場合には無症状であることが多く、病状が進行するにつれて症状が出現します。肺がんの一般的な症状としては、なかなか治りにくい咳、血痰、胸痛、呼吸時のぜーぜー音(喘鳴)、息切れ、声のかれ(嗄声)、軽度の発熱、顔や首のむくみなどがあります。必ずしも肺がんに特有のものではありませんが、血痰や胸痛は、進行した肺がんに多く見られる症状です。

また、肺がんは進行の程度にかかわらずこうした症状がほとんどない場合もあります。肺がんは症状がなくても検診によって早期発見することができます。

さらに、肺がんの種類によっては特異的な症状が見られることがあります。例えば、パンコースト型肺がんの場合は、肺の一番上である肺尖部という部分にがんができ、そのがんが腕への神経などを侵すために、上腕内側に頑固な腕の疼痛を生じるようになり、肩の痛み、瞳孔の縮小、顔面発汗の停止などが見られることがあります。また、がん細胞が様々なホルモンを分泌してしまい、ホルモン過剰産成に何らかの症状がみられるようになることもあります。

肺がんの原因

肺がんの原因として最も重要なのが、たばこです。たばこに含まれている「発がん性物質」といわれる有害物質が、肺の細胞に直接的な障害を与え、傷ついた肺の細胞は一定の時間を経て、がん化してしまうことがあります。喫煙者が肺がんになる可能性は、喫煙開始年齢、喫煙期間、1日に吸うたばこの本数、たばこからの空気を吸入する深さなどに影響されます。喫煙者が肺がんになるリスクは、非喫煙者と比較すると、男性は4.8倍、女性は3.9倍に増加します。また、自分では喫煙をしない人でも、受動喫煙によって肺がんのリスクは増加します。受動喫煙をした方が肺がんになるリスクは、受動喫煙をしない方の1.2~2倍といわれています。また、葉巻やパイプの使用も、たばこと同様、肺がんとなるリスクを高める原因となります。

たばこ以外原因としては、「ラドンを吸い込むこと」があります。これは、土と岩石に自然に存在する「ウラニウム」という物質から放出されるもので、目に見えない、無味無臭な、放射性の気体です。

また、石綿(アスベスト)も肺がんのリスクを高める危険因子とされています。石綿の粒子を吸引すると、それらが肺に蓄積されて細胞に障害を与えるといわれています。大量の石綿にさらされている方は、さらされていない方と比べて、肺がんになるリスクは3~4倍になるといわれています。

さらにディーゼルおよび他の化石燃料の燃焼の副産物などの一定の大気汚染物質も、肺がんのリスクを上昇させるといわれていますが、具体的なデータについては現在研究中です。

この他、肺の病気、特に肺結核にかかったことのある人や、1度でも肺がんになったことのある人も肺の細胞が障害をうけているため、そこから細胞ががん化しやすいといわれています。

肺がん検診とその費用

肺がん検診は対象者が40歳以上となり、年に1回の間隔での受診が推奨されています。
実際の肺がん検診は、問診以外に、国の指針によってX線検査と喀痰細胞診が行われます。平成28年に一部が改訂された「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」では、次のように定められています。
●効果のある検査方法:質問(あるいは、医師が自ら対面により行う場合は「問診」)、胸部エックス線検査、および喀痰細胞診(ただし喀痰細胞診は、原則50歳以上で喫煙指数が600以上の方のみ。過去の喫煙者も含む)
●対象者:40歳以上
●受診間隔:1年に1回

肺X線検査

一般的に行われる肺(胸)のレントゲン検査のことです。
金属のついていない服あるいは検査着に着替えて撮影をします。専用の機械に胸をあて大きく息を吸い込んだ状態で撮影をします。こうすることで肺がしっかりと膨らみ、全体像を鮮明にとらえることができます。

この肺X線検査において約3%の人が再検査に該当することがあるようです。
食事や服薬などの制限は一切ありませんが、レントゲン検査のため、被ばくのリスクがあります。そのため、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある人は、基本的には検査を受けられません。

喀痰細胞診

問診の結果から肺がんのハイリスク者と診断された場合には肺X線検査とともに喀痰細胞診が行われます。

3日間、出来る限り早朝に採取した痰を専用の容器に採取し、検査の場所へ提出して検査します。痰を採取するだけであり、自宅でできる簡便な検査であるため、検査を受ける人の負担が少ないという特徴があります。

がん細胞は痰の中に剥がれ落ちることがあるため、この検査をして痰を調べることでがん細胞を検出することができます。
しかし、肺がんになっていても、痰の中にがん細胞が剥がれ落ちず、発見できないということもあるため、100%の結果を得られるというわけではありません。がん細胞は痰の中に剥がれ落ちることがあるため、この検査をして痰を調べることでがん細胞を検出することができます。
検査結果は10日から遅くとも1か月以内に出されます。ここで肺がんの疑いがあった場合は精密検査が必要になります。

費用

肺がん検診の費用は地方自治体によって大きく異なり、肺X線検査が1000円前後、喀痰細胞診が500円前後となるようです。
ただし、検査の該当者でない場合、本人の希望にて検査を受ける場合は、自費診療となってしまうこともあるようです。

精密検査

これらの検査において、精密検査の必要性があると判断された場合【※1】には、医療機関にて精密検査を受けることとなります。精密検査は疑わしい病変の部位と悪性の可能性の有無によって、胸部CTや、気管支鏡検査などを行います。

精密検査は医療機関で行うため、医療機関によってそれぞれ検査費用は異なり、これにプラスして診察代などもかかります。また、細胞診などの追加検査を受けた場合はその分費用はかかることとなります。

※1 精密検査の必要性があると判断された場合:「肺がんのハイリスク群」とも呼びます。ハイリスク群とは、「喫煙指数」が400あるいは600以上の場合を指します。ここでの喫煙指数は、1日に吸うタバコの平均本数×喫煙年数で計算されます。例えば、1日にタバコ20本を30年吸っている場合、喫煙指数が600となり、ハイリスク群に該当します。1日の喫煙本数が10本でも、喫煙年数が40年ならば喫煙指数は400で、ハイリスク群になります。逆に、喫煙年数が20年でも、1日の喫煙本数が20本を超えるなら、喫煙指数は400です。

肺がんの検査と診断

肺がんが疑われるときには、胸のX線検査や喀痰細胞診、血液検査、胸部CT、腫瘍マーカー検査、気管支鏡検査などを行う。必要に応じて胸水の検査、経皮的肺穿刺・生検、脳のMRI、腹部のCTや超音波(エコー)検査、骨シンチグラフィー、PETなどを行うこともあります。

胸部X線検査

X線で肺にがんを示す影がないか調べる検査です。

喀痰細胞診

がんからはがれ落ちて痰に混じって出てきたがん細胞を検出する検査です。実際にがんがあっても、この検査でがんが発見できない場合もあります。

胸部CT検査

CTは、X線を使って体の内部(横断面)を描き出します。がんの大きさ、性質、周囲の臓器への広がりなど、X線検査よりはるかに多くの情報が得られ、肺がん診断には必須の検査です。治療の効果判定や経過観察でも行われます。造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがあります。ヨードアレルギーの経験のある人は医師に申し出る必要があります。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカーとは、がんが作り出す特殊な物質のうち、主として血液中で測定できるもので、がんの性質や広がりの目安を示すものとして使われます。肺がんの腫瘍マーカーとしては、CEA、SCC、proGRP、NSE、Cyfra21-1などがありますが、この検査だけでがんの有無を確定できるものではないです。また、がんがあっても腫瘍マーカーが異常を示さないことも少なくないです。
腫瘍マーカーについてもっと詳しく見る

気管支鏡検査

特殊な内視鏡で気管・気管支の中やその周辺を観察します。がんが疑われる病変が気管支の末梢にあると内視鏡が届かない場合もあります。がんが疑われる場所の組織や細胞の一部を採って、がん細胞の有無やがんの種類を顕微鏡で調べる病理検査をすることも目的の1つとなります。

胸水の検査

胸に水がたまっている場合には、胸水穿刺細胞診(肺の外にたまった水を抜いてがん細胞の有無を調べる)などの検査も行います。

経皮的肺穿刺・生検

喀痰細胞診や気管支鏡検査による病理検査でも診断ができない場合などに、X線や超音波、あるいはCTで確認しながら皮膚の上から細い針を肺に刺して、組織を採って病理検査を行う方法です。

胸腔鏡検査・縦隔鏡検査・開胸肺生検

がんが疑われる病変から組織の一部を採る検査として、他には以下の方法があります。
これらはいずれも全身麻酔が必要な検査です。

胸腔鏡検査・生検

胸の皮膚を小さく切開し、そこから肋骨の間を通して胸腔鏡と呼ばれる内視鏡を肺の外側(胸腔)に挿入し、肺や胸膜あるいはリンパ節の一部の組織を採取します。

縦隔鏡検査・生検

胸骨の上のくぼみの皮膚を切開し、気管のまわりの組織を押しのけて空間をつくり、ここに縦隔鏡と呼ばれる筒状の器具を挿入し、リンパ節や近くの組織を採取します。

開胸肺検査

手術で胸を開き(開胸)、肺や胸膜あるいはリンパ節の一部の組織を採取します。

その他の検査  がんの広がりを調べるため、以下の検査を行うことがあります

手術で胸を開き(開胸)、肺や胸膜あるいはリンパ節の一部の組織を採取します。

・脳のMRI検査
磁気を利用し、脳の断層撮影をします。
・腹部CTおよび超音波(エコー)検査
腹部のCT検査を行う。また超音波(エコー)検査で腹部への転移の有無を検索します。
・骨シンチグラフィー
骨への転移を調べるアイソトープを用いた検査です。放射線物質を静脈に注射して、その取り込みの分布を調べます。
・PET
放射性ブドウ糖液を注射し、その取り込みの分布を撮影することで、全身のがん細胞を検出する検査です。

肺がんの病期(ステージ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてステージともいいます。説明などでは、「ステージ」という言葉が使われることも多いです。病期には、ローマ数字が使われ、肺がんでは、Ⅰ期(ⅠA、ⅠB)、Ⅱ期(ⅡA、ⅡB)、Ⅲ期(ⅢA、ⅢB)、Ⅳ期に分類されています。肺がんでは、がんの大きさ、がんがどこまで広がっているか、リンパ節または肺の中の他の場所や脳や肝臓、副腎、骨などへの転移があるかどうかによって病期が決められています。

病期によって治療方法の選択肢が決まっており、病期は治療前の検査によって決まるが、手術のときに転移などが見つかれば変更されることもあります。

次に「非小細胞肺がんの病期」と、「小細胞肺がんの病期」を示します。

小細胞肺がんでは、非小細胞肺がんで用いられるⅠ~Ⅳ期による分類の他に、がんの広がりと治療方針の違いで大きく2つに分ける分類が用いられます。

小細胞がんの病期

  • 限局型 …がんが原発巣のある側の胸郭内にとどまる
  • 進展型 …がんが胸郭の外に広がり、他の臓器にも転移(遠隔転移)が認められる
  • 胸郭:鳥かごのような肋骨に囲まれた部分で、肺や気管、心臓、食道、リンパ節などの縦隔臓器がある

非小細胞がんの病期

  • 0期 …がんが臓器の表面を覆っている膜(上皮内)までにとどまっている
  • I期A …3cm以下のがんが、片方の肺の中だけにとどまっている
  • I期B …3cm以上、5cm以下のがんが、片方の肺の中だけにとどまっている。または3cm以下のがんが肺を包んでいる胸膜にまで広がっている
  • II期A …5cm以下のがんが、がんができた側の気管支の周囲や肺門部のリンパ節に転移している。または、5cm以上7cm以下のがんが片方の肺の中だけにとどまっており、リンパ節への転移がない
  • II期B …5cm以上、7cm以下のがんが、がんができた側の気管支の周囲や肺門部のリンパ節へ転移している。または、がんが7cmを超えたり、大きさに関わらず胸壁や横隔膜あるいは同じ肺葉の中の離れたところなどに広がっているが、リンパ節への転移はない
  • III期A …がんが胸壁や横隔膜、 周囲の太い血管や食道などの臓器である縦隔、同じ肺葉の中の離れたところ、あるいは同じ側の肺の中などに広がっており、がんと同じ側の肺門部のリンパ節にも転移している。または、がんがその大きさ、広がりに関係なく、がんと同じ側の縦隔部や気管分岐部のリンパ節へ転移している。あるいは、がんのある肺葉を越えて同じ側の肺の中へ広がっていたり、縦隔や周囲の太い血管や食道などの臓器などに広がっているが、リンパ節への転移はない
  • III期B …がんがその大きさ、広がりに関係なく、反対側の肺の縦隔や肺門部のリンパ節あるいは鎖骨上窩リンパ節へ転移している。または、リンパ節転移に関係なく、がんが同じ側の肺の中や周囲の太い血管や食道などの臓器などに広がっていて、同じ側の縦隔部や気管分岐部のリンパ節へ転移している
  • IV期 …胸水や心臓周囲に水がたまっていたり、胸膜に播種性転移したり、もとのがんのある場所と反対側の肺だけでなく、肺から離れたほかの臓器やリンパ節にも転移している

同じ病期であってもAの方が軽く、Bの方が状態としては重くなります。

また、これらのどの病期に該当するかは以下に挙げる「TMN分類」によって決定します。

  • T(原発腫瘍 primary Tumor) …原発巣の大きさや周囲の組織との関係
  • N(所属リンパ節 regional lymph Nodes) …胸部のリンパ節転移の程度
  • M(遠隔転移 distant Metastasis) …原発巣以外の肺転移や胸水、その他の臓器への遠隔転移の有無

T分類

  • Tis …上皮内がん、肺野に腫瘍がある場合は充実成分の大きさが0cm、かつ病変の大きさが3cm以下
  • T1 …充実成分の大きさが3cm以下、かつ肺または臓側胸膜に覆われて、葉気管支より中枢への浸潤が気管支鏡上認められない場合
  • T1mi …微少浸潤性腺がんで充実成分の大きさが0.5cm以下、かつ病変の大きさが3cm以下
  • T1a …充実成分の大きさが1cm以下で、TisやT1miには相当しない
  • T1b …充実成分の大きさが1cmを超え2cm以下
  • T1c …充実成分の大きさが2cmを超え3cm以下
  • T2 …充実成分の大きさが3cmを超え5cm以下、または充実成分の大きさが3cm以下でも主気管支に及ぶが気管分岐部には及ばない、または臓側胸膜に浸潤がある。または肺門まで連続する部分的または片側全体の無気肺か閉塞性肺炎がある
  • T2a …充実成分の大きさが3cmを超え4cm以下
  • T2b …充実成分の大きさが4cmを超え5cm以下
  • T3 …充実成分の大きさが5cmを超え7cm以下または、充実成分の大きさが5cm以下でも臓側胸膜、胸壁、横隔神経、心膜のいずれかに直接浸潤がある、もしくは同一の肺葉内で離れたところに腫瘍がある
  • T4 …充実成分の大きさが7cmを超えるまたは、大きさを問わず横隔膜、縦隔、心臓、大血管、気管、反回神経、食道、椎体、気管分岐部への浸潤がある、もしくは同側の異なった肺葉内で離れたところに腫瘍がある 充実成分とは、CT検査などによって病変内部の肺血管の形がわからない程度の高い吸収値を示す部分のことです。

N分類とM分類

  • N0 …所属リンパ節への転移がない
  • N1:同側の気管支周囲かつ同側肺門、肺内リンパ節への転移で原発腫瘍の直接浸潤を含める
  • N2 …同側縦隔かつ気管分岐下リンパ節への転移がある
  • N3 …対側縦隔、対側肺門、同側あるいは対側の鎖骨の上あたりにあるリンパ節への転移がある
  • M0 …遠隔転移がない
  • M1 …遠隔転移がある
  • M1a …対側肺内の離れたところに腫瘍がある、胸膜または心膜への転移、悪性胸水もしくは悪性心嚢水がある
  • M1b …肺以外の一臓器への単発遠隔転移がある
  • M1c …肺以外の一臓器または多臓器への多発遠隔転移がある このTMN分類によって、現在の病期を判定します。

肺がんの生存率・予後

治療開始から5年間生存できる割合を表す「5年生存率」は、がんの病期と全身状態により異なります。

まず、病期という観点での5年生存率は、I期で83.8%、II期で50.1%、III期で22.4%、IV期で4.8%となります。次に治療の観点から見ていくと、手術をした場合の5年生存率は、病期IA期で87%、IB期で74%、IIA期で62%、IIB期で50%、IIIA期で41%といわれています。

しかし、治療開始時にすでに手術が適切ではない場合は、必ずしも5年生存率を挙げまません。例えば、III期で手術適応にはならず、放射線療法と化学療法を併用すると、2年生存率が30~40%です。同様に、IV期で化学療法を受けた場合の1年生存率は、30~40%とされています。

治療の進歩により現在の生存率や予後は向上していく可能性はありますが、治療を開始する病期や、選択する治療法によって、生存率や予後は大幅に変わってきます。

肺がんの治療法

手術(外科療法)

<特徴>

がん病巣を手術で除去する療法で、原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除きます。がんそのものを外科手術で除去する局所療法です。がんの治療法として最も基本的な治療法です。
肺がんの手術は非小細胞がんにおいてはⅠ期~IIIA期の局所に限局している場合のみ、小細胞がんにおいてはⅠ期のみが適応となります。

手術の方法はがんの範囲や浸潤度によって異なります。主な術式は片方の肺をすべて摘出する肺全摘術、肺がんのある肺葉のみを切除する肺葉切除術、肺葉の中でもがんがある部分だけを切除する区域切除術、区域の中からさらに肺がんのある部分だけを切除する楔状切除があります。

これらの手術を行う際には、肋骨の間を開く開胸術、もしくは数センチの傷から胸腔鏡を挿入して行う胸腔鏡下術、いずれかの方法で行います。

また、がんを切除すると同時に周囲のリンパ節も一緒に郭清します。
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抗がん剤(化学療法)

<特徴>

化学物質(抗がん剤)を利用してがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。
小細胞がんでは、抗がん剤による高い効果が期待できるため、ほかの治療法と併用して行う治療の第一選択ともいわれています。非小細胞がんでは小細胞がんに比べると治療効果が低く、手術適応外の症例に対して行われます。

抗がん剤は通常、がんの種類や治療方針により、2種類以上を使用します。治療期間は、3~4週を1コースとして複数回繰り返します。
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放射線療法

<特徴>

腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。

非小細胞がんの場合、手術適応とならないⅠ期、Ⅱ期、胸水を認めないⅢ期が対象です。小細胞がんの場合には限局型が対象となりm抗がん剤治療と並行して行われます。

一般的には、1日1回、週5回照射し、5週間から6週間の治療期間が必要です。最近では、1 日2回週10回照射する多分割照射も試みられています。
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免疫細胞療法

<特徴>

身体の免疫を担う本人の細胞を体外で大量に数を増やし、機能を増強あるいは付加した上で体内に戻して行われる治療法です。上記の三大治療法に対して、近年注目されてきている、副作用がほとんど確認されていない先進的ながん治療法で、目に見えないがんや転移防止に有効な全身療法です。
がんに対する抗がん剤などの積極的な治療は行わず、症状などを和らげる治療に徹する
ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)の選択肢の一つです。
免疫療法は副作用が少ないため、症状の緩和やQOLを高めることにつながります。
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陽子線治療

<特徴>

通常のX線の放射線治療ではがん局部の周囲の正常な細胞も傷つけてしまいますが、陽子線治療はがん局部だけを照射して周囲の正常な 細胞が傷つくことをより抑えることができます。また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療です。1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。

陽子線治療の適応となるのは現在のところ、Ⅰ期からⅢ期の非小細胞肺がん、手術適応外の肺がんなどです。病状や進行度により、実際の治療回数は異なります。

ただし、陽子線治療にもいくつかの副作用があります。治療回数などにもよりますが、皮膚炎、肺炎、食道炎のほか、肋骨骨折や放射線食道炎が見られることがあります。
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重粒子線治療

<特徴>

陽子線治療と比べて、さらにがん局部を集中的に治療が可能となります。がん細胞の殺傷効果は陽子線治療の2~3倍大きくなります。 進行したがんは低酸素領域がありますが、このようながんでも治療が可能です。また、X線では治療が難しい深部にあるがんの治療も可能です。治療は1日1 回、週3~5回行い、合計1~40回程度繰り返します。平均では3週間程度の治療になります。1回当たり、20~30分程度の治療時間になります。
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肺がんの再発・転移

肺がんはがんに侵されている肺の近くを通っているリンパ節や脳、肝臓、副腎、骨へ転移しやすいといわれています。

他の臓器へ転移してしまった場合には、放射線療法あるいは薬物療法にて治療が継続されます。

参考文献

愛知県がんセンター中央病院  肺がん
https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/11hai.html
https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/11hai.html#a04
国立がん研究センターがん情報サービス  肺がん 基礎知識
https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/index.html
国立がん研究センターがん情報サービス  肺がん 治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment.html
近畿大学医学部外科学教室  さらに詳しく肺癌について
http://www.kindai-geka.jp/general/chest/learn_more.html#chest8
日本肺癌学会  肺癌診療ガイドライン
https://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/index.php?content_id=3
http://www.haigan.gr.jp/uploads/photos/178.pdf
近畿中央胸部疾患センター 診療部  肺がん
http://www.hosp.go.jp/~kch/shinryo/haigan.html
南東北がん陽子線治療センター
http://www.southerntohoku-proton.com/indication/case-lung.html
大阪医科大学外科学講座胸部外科学教室  肺がん
https://www.osaka-med.ac.jp/deps/tho/intro/kokyu/haigan.html#07
がん研有明病院  がん研究会
http://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/lungs.html
亀田メディカルネットがん情報サイト  ステージ分類
http://www.kameda-health.com/cancer/patient/cancer/lung/stage/index.html
Mindsガイドラインライブラリ  ガイドライン
http://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/3/pub0041/G0000202/0009
東京慈恵会医科大学付属柏病院  肺がんの基礎知識
http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w1.html
日本医師会
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/lung/cause/

治療実績

2013年に厚生労働省行った「DPC導入の影響評価に関する調査」に基いた治療実績の情報になります。
肺の悪性腫瘍の治療実績についてもっと詳しく見る

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