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更新日:2021/05/29

財産管理と相続のキホン

1.これからの財産管理

(1)誰が財産を管理するか

人が保有している財産については、人が死亡するまでの間で、かつ財産の管理や処分をできる認知能力(これを「意思能力」といいます。)を持っている間はその人の自由意思に基づいて管理処分を自由に行うことができます。この段階であれば意思能力がある間において、遺言や後に説明する家族信託などによって死亡した後にその財産を誰に渡すのかを決めることができます。また、家族信託によって意思能力を失った後の財産の管理や処分についても決定しておくことができます。
次に、人が意思能力を失った段階では、その人が自由に財産を管理処分することができなくなってしまいます。これは民法上、意思能力を失った人が意図しないところで財産を失ったりすることを回避させるために法律的に保護されているためです。また、意思能力があったとしても、本人が現実的に筆記ができなかったり、移動することが困難で実際上の財産の管理処分に困難をきたす場合があります。ただしこの場合であれば、他者に財産の管理を委任することによって、自らの意思に基づいた財産の管理処分を実現することができます。
さらに人が死亡した場合には、その人が保有していた財産は相続されることになります。この場合、その人の保有していた財産はその人の相続人らの話し合いによって分けられることになりますが(この話し合いを「遺産分割協議」といいます。)、話し合いが成立するまでの間は相続人らによる共有状態に置かれます。また、生前に遺言や家族信託によって、財産の行き先を決められている場合には遺産分割協議によることなく指定された者の財産となります。
遺産分割協議が成立し、又は遺言もしくは家族信託によって引き継がれた財産は、元の財産の保有者とは全く関係無く次に保有することになった人の財産となり、その人の自由意思に基づく管理処分がなされることになります。
これらの繰り返しにより、財産の管理処分が承継されていくこととなります。

(2)もしも意思能力がなくなったら

意思能力を失ってしまった場合、財産の管理や処分の一切が法律的にできなくなることになります。例えば、不動産の場合は人に貸したり、人に売ったりすることができなくなってしまいます。また、預貯金については、解約等の手続きもできなくなってしまいます。意思能力を失ってしまった状態では他人に財産の管理や処分を委ねることもできなくなってしまいます。このため、医療費、生活費、介護費等の金銭を支払うにあたって金銭が捻出できないという問題が発生し得ることになります。その対策として意思能力を失う前に家族信託等の対策を取り、財産の管理処分を他人に委ねておくことが重要視されてきています。

(3)家族の財産と混ざったときの問題

意思能力を失った場合に備えてなど、高齢の方の財産管理においては、他人に財産を預けておくことが考えられます。この点、不動産のように登記によって所有者が明確になるものであれば他人の財産と混ざることはありませんが、特に金銭のように、誰のものか明示ができないものについては他人の財産と混同するおそれがあります。この場合、仮に相続が起こってしまったということになると、預貯金であればその預貯金の名義人の財産として扱われることになり、その名義人の相続人による相続手続により解約することが必要となります。ただし、名義預金として税務上は名義人自身の財産ではなく、名義人以外の財産と認定されることもあるため留意が必要です。このように財産が混ざってしまった場合、法律的には混ざってしまった経緯を明確にして何らかの形で、本人又は本人の相続人が取り戻す必要があります。仮に混ざったまま相続が行われてしまった場合、誰の財産であったかが問題となり紛争となるおそれがあるので留意が必要となります。

(4)不動産管理の問題

以上のように意思能力がなくなった場合には、財産管理全般の問題が生じますが、特に不動産管理の問題については資産規模が大きく、かつ相続で紛争になるケースが多いことから問題となりやすくなっています。自宅不動産の場合には自宅不動産の売却をすることができなくなり、介護や医療費として発生する金銭が支払えなくなるという問題が取り沙汰されています。
一方で、賃貸不動産の場合には賃借人がいることから、より大きな影響が発生します。意思能力がない場合には賃貸借契約を結ぶことができなくなり、既存の賃借人との契約を解除したり、新しい賃借人との契約を結んだりすることができなくなります。このため本来、法律的には入居者の変更が不可能となるという問題が起こりえます。
また、自宅不動産、賃貸不動産いずれに関しても、建て替えや修繕の問題を生じることもあります。
以上のことから意思能力がなくなった場合の不動産管理の問題というのは、大きい問題になることがしばしば起こります。

2.相続が起こったら

(1)相続の基本

相続とは人が亡くなった場合にその人が所有している多種多様なものが引き継がれることです。引き継がれるものを相続財産といい、引き継ぐ人を相続人と言います。
相続財産は相続の対象となる亡くなった人の所有していた財産です。一般には不動産、預貯金、現金などが思い浮かびますが、借金などの負債や貸した金銭の弁済を受ける権利なども含まれています。相続が発生した時には、まず相続財産の内容を把握することが重要となります。
次に、相続人です。民法で相続人についての定めがあり、第1順位は子、第2順位に親などの直系尊属、第3順位に兄弟姉妹となっています。なお、配偶者は常に相続人になり、配偶者以外の人についてが前述の順位に従って相続人となります。また、相続人が被相続人よりも先に亡くなっていた場合には、その相続人の子が代襲相続として相続人になります。代襲相続は相続人が子の場合は孫、ひ孫…と続きますが、兄弟姉妹が相続人の場合は甥・姪までの1代限りとなります(図参照)。

相続財産が相続人に帰属する割合は、民法でその割合が定められていて法定相続分と言います。相続人が配偶者を第1順位の子の場合は、配偶者1:子1となります。相続人が配偶者と直系尊属の場合は、配偶者2:直系尊属1となり、配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合は配偶者3:兄弟姉妹1となります。なお、同順位の相続人が複数いる場合は、その相続割合の中で均等に帰属することになります。具体的に言いますと、相続人が配偶者と子供2名の場合には配偶者2:子供1:子供1です。もちろん、遺産分割協議といって相続人全員で協議をすることによって、この法定相続分に従わずに相続財産を分割することができます。また、遺言書を残すことによって、相続の方法を定めておくこともできます。

(2)相続税と相続税申告

相続した財産が基礎控除額を超える場合には、その超える部分に対して相続税がかかります。相続した財産の他にも、遺贈により取得した財産や相続開始前3年以内に贈与を受けた財産、相続時精算課税の適用を受けて贈与された財産などについても対象となるため注意が必要です。一方で、債務や葬式費用については差し引かれて相続税が計算されます。
基礎控除とは、「3千万円+6百万円×法定相続人の数」で計算した金額です。例えば、相続人が妻と子供二人の場合は、相続財産が48百万円を超える場合に相続税を気にする必要が出てきます。
相続税の申告期限は、被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内とされています。
配偶者が相続した財産については税額の軽減が認められているため、財産を全て配偶者が相続する場合など相続財産が基礎控除を上回っていても税額が出ない場合もあります。ただし、この場合においても配偶者の税額軽減を受けるためには相続税の申告が必要となるため注意が必要です。
相続税の申告が必要かどうかご自身で確認したい場合には、国税庁が出している「相続税の申告要否の簡易判定シート」が参考になります。

(3)相続手続の概要

相続が開始すると、諸手続きをとることになります。
その中で期限が定められているものは以下の通りです。

  • ・7日以内 死亡地、被相続人の本籍地、届出人の所在地を管轄する役場に対して死亡届を提出する。
  • ・相続開始があったことを知った時から3か月以内 必要に応じて被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して相続放棄・限定承認の申述を行う。
  • ・相続開始があったことを知った時から10か月以内 必要に応じて被相続人の住所地を管轄する税務署に対し相続税の申告と納付手続を行う。

相続放棄・限定承認の申述や相続税の申告をするためには、相続人・相続財産について早めに確定をさせることも必要となってきます。
このほか、被相続人の預貯金の不正な払戻し等を防ぐため金融機関への届け出を行ったり、埋葬等給付金が支給されることがありますので健康保険組合・市町村への届け出、遺族年金の支給などがある場合がありますので、や年金事務所への届け出も行います。
亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍等を取得して、相続人は確定させることができます。相続財産の確定に関しては不動産について名寄帳を参照する、預貯金について亡くなった方の住所地の付近の金融機関に対して残高照会をかける、債務について督促の手紙やはがきを参照するなどの方法があります。
それぞれが確定したら、どのように相続財産を分割するのかを相続人全員で協議します。協議が定まらない場合にはすべての相続財産につき、法定相続分に応じて相続人全員の共有となります。なお、借金等の債務については協議について債権者の同意を得る必要がありますので、あらかじめ申し出ておくほうがスムーズです。
分割方法が定まると、それに従って相続を行います。具体的に以下の通りです。

【預貯金】

該当の金融機関に対し、相続証明書、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑登録証明書等を提出して承継する相続人に対して払い戻すよう請求をします。

【不動産】

該当の不動産を管轄する法務局に対し、相続証明書、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑登録証明書等を提出して承継する相続人に対して相続を原因とする所有権移転登記を申請します。

【債務】

該当債務の債権者に対し、相続証明書、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑登録証明書等を提出して承継する相続人に対して債務を承継する手続きをとります。

(4)相続税支払いのために現金が必要となる問題

相続税の納付すべき税額がある場合は、申告期限までに納める必要があります。申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内であり、例えば1月6日に死亡した場合はその年の11月6日が申告期限となります。
税金を期限までに納めなかったときは、遅延による利息として延滞税がかかる場合がありますので注意が必要です。
相続税は金銭で納めるのが原則ですが、相続財産の大部分が不動産である場合など金銭での納付が困難な場合には、相続で取得した財産そのもので納める物納や、何年かに分けて納める延納なども認められていますが、認められるにはいくつかの条件があります。
このため、生前の相続対策として、相続税の節税だけでなく、相続税の納税資金を準備しておくことも重要と言えます。
相続税の額は家族構成によって大きく変わるほか、税額を計算する際の基礎となる財産の評価額の計算も複雑ですが、ご自身で税額を計算してみたい場合には、国税庁が出している「相続税のあらまし」が参考となります。

(5)家族間での「争族」問題

相続が発生した場合には家族間(相続人間)紛争(争族)に発展してしまうケースがあります。紛争に至る原因としては家族間において相続財産の分配に不公平感を持つことが挙げられます。例えば同じ兄弟(被相続人の子)であったとしても、一方の兄弟は親の介護を続けていたにもかかわらず、もう一方の子は何ら介護に関わっていなかったような場合で、均等に相続財産を分けなければならないようなときに感情の対立が起こりやすくなります。また、兄弟間において、経済格差があったり、兄弟の配偶者が相続に対する過剰な期待を持っていたりするような場合に紛争に発展しやすくなる傾向があると考えられます。
このような紛争に至った場合には法的措置(調停・審判及び訴訟等)が必要になる場合があります。相続に関する紛争は一般的に被相続人の生前の状況等に関する立証の問題が生じ、その対象となる期間が長く、かつ証拠に乏しいこともしばしばであることから、長期間の法的手続きを経なければならない傾向があります。このため相続に関する紛争はその予防の必要性が高い類型であるといえます。

3.資産管理、資産承継、相続対策の手法

(1)生前贈与と贈与税の特例(相続時精算課税等)

相続の際に懸念されるトラブルを回避するために、元気なうちに財産の一部を贈与する生前贈与が相続対策として有効なことがあります。一方で、贈与の時に問題となるのが、贈与税です。
贈与税はその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の合計から110万円を差し引いて、所定の税率をかけることで計算します。計算の過程で110万円を差し引くため、贈与した財産が110万円を超えていなければ贈与税はかかりませんが、110万円を超えて例えば1千万円を子供に贈与した場合には、177万円という高額な贈与税がかかることになります。
現金で1千万円を贈与するということはあまり多くないかもしれませんが、自宅の土地と建物について贈与を検討する場合などは、財産としての評価が高額になるため、贈与税に配慮した検討が重要となります。
このような生前の相続対策としての贈与のニーズに応えるために設けられているのが相続時精算課税制度です。相続時精算課税は一定の手続きを行うことで適用が認められる制度であり、相続時精算課税を選択することで贈与税の一部が猶予され、贈与者である父母又は祖父母が亡くなったときの相続税の計算をする際に精算されます。このため、保有する財産の額が、相続税の基礎控除を下回る場合など相続税が発生しないケースにおいては、相続時精算課税制度を選択することで、贈与税や相続税がかかることなく生前の財産移転を進めることができます。
ただし、制度の選択には一定の要件があるほか、相続時精算課税制度を選択した場合には、以後の贈与についても全てこの制度が適用され、暦年課税へ変更することができない(110万円の非課税枠を使うことができない)などの問題もあるため、注意が必要です。

(2)成年後見制度(法定成年後見、任意後見契約)

法定後見制度は後見人等法定代理人を選任することによって、すでに意思能力を喪失した人の権利を保護することを目的とした民法に定められている制度です。意思能力の喪失の程度によって「後見」「保佐」「補助」の3段階に分かれていて、後見人等法定代理人に与えられる権限がそれぞれ異なっています。
後見人等を選任するための手続きは、本人、配偶者、四親等内の親族などが家庭裁判所に対し後見開始の審判等を開始するよう請求することで始まります。家庭裁判所の審判によって後見人等が選任された場合は、被後見人等の一切の財産に対して与えられた権限内での管理行為等を行い、定期的に家庭裁判所への報告をすることが求められています。
後見開始の審判は、開始をするに至った原因が消滅した場合にのみ、家庭裁判所によって取り消すことができます。
任意後見制度は本人が意思能力を喪失した場合に備えて、あらかじめ任意後見受任者との間で任意後見契約を交わしておく制度になります。この契約は公正証書で行わなければ成立しません。あらかじめ締結しておいた任意後見契約が効力を発生するためには、本人について意思能力が喪失した時に任意後見受任者が家庭裁判所に対して、任意後見監督人選任申し立てを行う必要があります。申し立てをうけ、任意後見監督人が選任されると、任意後見受任者は任意後見人となり、任意後見契約に定められた範囲内の権限を持つことになります。
任意後見契約は任意後見監督人選任前であれば、公証人の認証した書面によっていつでも解除することができます。任意後見監督人選任後の場合は、正当な事由があり、かつ家庭裁判所の許可を受けて解除することができます。
法定後見制度・任意後見制度ともに法務局にてその旨の登記がされますので、後見人として代理権限があることを証明するためには法務局で登記事項証明書を取得することになります。

(3)遺言、死因贈与

従来の相続対策として用いられてきたものとして、遺言や死因贈与が挙げられます。
遺言とは、財産を持っている人が死亡した際にその財産を誰に引き継がせるかの意思表示をした書面を作成することをいいます。この遺言は法律上、単独行為ということになり、遺言を作る人(遺言者)が単独で民法上に定められた手続きに従って行えるものです。
一方、死因贈与とは、贈与契約の一種ですが贈与の効果が発生する条件として、財産を渡す者(贈与者)が死亡したことが付加されているものです。死因贈与は契約の一種であり、贈与者と財産を受け取るもの(受贈者)との間の合意がなければならないものです。
一般的には遺言が多く用いられると考えられますが、その理由の一つとして財産を持っている者が生前に誰に財産を引き継がせるかを明らかにしたくないとの理由により単独行為としての遺言が選ばれるということが大きいのではないかと考えられます。遺言には自筆証書遺言、秘密証書遺言及び公正証書遺言の三つの類型があります。このうち自筆証書遺言についてはその成立条件が厳しく後に無効となってしまう可能性が高いものといえます。これに対し、公正証書遺言は公証人の責任において作成されるものであることから、比較的無効とされる可能性が低いものとされ、かつ遺言者の死亡後に裁判所における検認という手続きを経なくて良いことから、一般的に安定的な作成方法であると考えられています。秘密証書遺言も公証人の関与のもとに作成されるものですが、一般的に多く用いられてはいません。以上のように財産を持っている者が死亡した際に財産をどのように分配するか決定しておく制度としていくつかの方法が法律上用意されています。

(4)新しい手法:家族信託

以上に対し、新しい相続対策の手法として家族信託という制度が用いられるようになってきています。家族信託とは財産を持っている者がその管理や処分を特定の者に委ね財産を預ける制度のことを言います。この家族信託の制度は比較的新しいものであり、近年その有効性に着目され活用が広がってきています。家族信託を設定するためには、財産を持っている者(委託者)と財産の管理処分を任される者(受託者)との間で信託契約という契約を結ぶことになります。家族信託の対象となる財産は委託者が選ぶことができ、例えば不動産のみ、預貯金のみ、自社株式のみ、といった選択が可能になります。家族信託のメリットとしては先に述べたような意思能力を失ったときの問題と相続の際に発生する問題を一挙に解決できるというところにあります。意思能力の問題に関しては、信託契約を結んだ段階で委託者から受託者に財産の名義が変更され、受託者において一切の管理処分をできることになるため、委託者がその後に意思能力が無くなり単独で判断ができなくなったような状態であっても、受託者が代わって管理や処分を行うことができます。この中には不動産等の財産の売却も含まれるため、不動産を金銭に変えられなくなるという問題も解消できます。さらに預貯金を信託した場合であれば受託者は単独でその預貯金の解約等もできることから預貯金に関してもそれが動かせなくなるという問題を回避することができます。相続時の問題に関しては対象となった財産を誰に引き継がせるかを指定しておくことができるため、遺言と同様の機能を果たすことになります。さらにこれらに加えて委託者が死亡した後にも信託を続けることが可能ですので、例えば財産を持っていた夫が死亡した後、妻にその実質的な権利を引き継がせ、さらにその妻が死亡したときにはその子に財産を引き継がせるといったような内容の信託を設定することも可能です。これらにより、より自由に財産の承継や相続対策が可能になるものと考えられます。

4.まとめ

財産管理や相続に関しては、認知症などにより意思能力を失った時の問題、相続が発生した時の相続税の問題、相続手続きの問題、家族間での紛争の問題などがあり、いざ意思能力を失ったり相続が発生してしまった後では対応が困難な部分が多く含まれていると言えます。このため現在の主流は早めに財産管理、財産承継に関して対策を打っておく方向に進んでいます。認知症が進んでしまうとこれらの対策も取れなくなりますし、意思能力がはっきりしていたとしても体が満足に動かない状態になってしまうと、実際上の対策を講じるのが困難になる場合もあります。このため、まだ元気だと考えている間であったとしても、早め早めにこれらの対策を講じていく必要があり、かつ対策を講じるためには場合によっては数ヶ月程度の長期間を要することもありますので余裕を持った対策が必要であると考えられます。また、対策を講じるにあたっては家族の了解を得るとともに、十分な説明をしておくことが必要であると考えられます。これらの対策に関しては必ずしも独自でできることではないことから、認知症対策、相続対策の専門家の意見を仰いで進めることが望ましいと言えるでしょう。

株式会社つなぐ相続アドバイザーズ

公認会計士・税理士、弁護士、司法書士を主要メンバーとして2014年札幌市おいて設立。新しい資産管理・相続対策手法である家族信託の提案を中心に、相続・認知症対策のコンサルティングを行う。家族信託の広まりを背景に全国の案件に対応している。
URL : http://tsunagu-s.jp/

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