更新日:2021/05/23
甲状腺がんとは|症状や検査、治療、ステージなど
甲状腺がんについて、特徴・症状・原因・分類・検査方法・診断・病期(ステージ)・生存率・治療法・再発・転移など様々な観点から解説します。
目次
2014年では、甲状腺がんと新たに診断される人数は1年間に10万人あたり12.4人(男性6.7人、女性17.9人)でした。年齢別でみてみると35歳前後から罹患率は高くなります。
●25歳から29歳:男性1.8人、女性9.9人
●30歳から34歳:男性3.7人、女性11.7人
●35歳から39歳:男性4.4人、女性14.3人
●40歳から44歳:男性5.5人、女性16.2人
●45歳から49歳:男性6.3人、女性18.9人
●50歳から54歳:男性7.5人、女性20.9人
●55歳から59歳:男性8.4人、女性24.3人
●60歳から64歳:男性10.3人、女性25.5人
●65歳から69歳:男性12.3人、女性28.0人
●70歳から74歳:男性11.5人、女性28.0人
全体的にみても男性より比較的女性に多いがんといえるでしょう(以上、国立がん研究センターがん情報サービス「地域がん登録全国合計によるがん罹患データ」より)。
また、2017年に甲状腺がんで亡くなった人は、男性531人、女性1,202人の男女合わせて1,733人でした。同年にがんで亡くなった人は、男性220,398人、女性152,936人で男女あわせると373,334人でしたので、がんで亡くなった人全体のうち、甲状腺がんで亡くなった人は0.46%となります(以上、国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より)。
甲状腺がんとは
甲状腺は、いわゆる「のどぼとけ」(甲状腺軟骨先端)のすぐ下にある重さ10~20g程度の小さな臓器で、全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。羽根を広げた蝶のような形で、右葉と左葉からなり、気管を取り囲むように位置しています。
甲状腺の病気は、男性よりも女性に多く見られ、これらは腫瘍ができるもの(腫瘍症)とそうでないもの(非腫瘍症:甲状腺腫、バセドウ病、慢性甲状腺炎[橋本病]など)に分けられます。さらに甲状腺の腫瘍のうち大部分は「良性」で、がんではないです。しかしながら、中には大きくなったり、ほかの臓器に広がる「悪性」の性質を示す腫瘍があり、これを甲状腺がんといいます。甲状腺がんでは、通常、しこり(結節)以外の症状はほとんどないですが、違和感、痛み、飲み込みにくさ、声のかすれ(嗄声)などの症状が出てくることがあります。このため、甲状腺の病気が甲状腺がんかどうかは、診察や検査をもとに詳しく調べていくことになります。
甲状腺がんは、1年間に人口10万人あたり12.4人(2014年)の割合で発症するとされています(地域がん登録全国推計値)。組織の特徴(組織型)により、乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんに大きく分類されています。また、甲状腺から発生するリンパ系のがんとして悪性リンパ腫を加えて分類される場合もあります。これらは悪性度(広がりやすさ、ふえやすさ)、転移の起こりやすさなどにそれぞれ異なった特徴があり、治療費も大きく異なります。
乳頭がん
乳頭がんは甲状腺がんの中で最も多く、甲状腺がんの約9割がこの種類に分類されます。40歳から50歳代の比較的若い女性に多く、極めてゆっくり進行します。リンパ節への転移(リンパ行性転移)が多く見られますが、リンパ節の切除(リンパ節郭清)を含めた手術を中心とした治療が行われ、予後(治療後の経過)がよいがんとされています。生命にかかわることはまれですが、一部の乳頭がんでは、悪性度の高い未分化がんに種類が変わることがあります。高齢で発症するほど悪性度が高くなりやすいと考えられています。
濾胞がん
甲状腺がんのうち、約5%がこの種類のがん。乳頭がんよりやや高齢者に多い傾向があり、血液の流れに乗って肺、骨などの遠くの臓器に転移(血行性転移または遠隔転移)しやすい性質があります。治療後の経過は比較的よいがんとされていますが、血行性転移した場合の予後はあまりよくないです。
髄様がん
髄様がんは、傍濾胞細胞(カルシウムを調節するカルシトニンと呼ばれるホルモンを分泌する細胞)ががん化したもので、甲状腺がんの約1~2%に見られます。乳頭がんや濾胞がんよりも症状の進行が速く、リンパ節や、肺や肝臓への転移を起こしやすい性質があります。約2~3割は遺伝性(家族性)に起こるため、家族も含めて検査が行われることがあります。
未分化がん
未分化がんは、甲状腺がんの約1~2%に見られるがんですが、進行が速く、甲状腺周囲の臓器(反回神経、気管、食道など)への浸潤(広がり)や遠くの臓器(肺、骨など)への転移を起こしやすい悪性度の高いがんです。特に高齢者に多い種類のがんです。
悪性リンパ腫
甲状腺の悪性リンパ腫は、血液・リンパの腫瘍である悪性リンパ腫が甲状腺にできたものです。慢性甲状腺炎(橋本病)を背景にしている場合が多く、中でもその経過が長期にわたる高齢者に多いとされています。甲状腺全体が急速に腫れたり、嗄声(声がれ)や呼吸困難が起こることがあります。
甲状腺がんの症状
甲状腺がんでは初期症状がほとんど見られません。痛みなどの自覚症状がほとんどないことから、進行して初めて気づく場合や、日常の診療中に甲状腺の腫脹などがたまたま発見されて、調べてみたらがんであったということも少なくありません。
甲状腺がんの最初の徴候として、頸部前部にある甲状腺に痛みのないしこりができます。このしこりは甲状腺結節とも呼ばれ、このしこりを見つけたことによってがんが分かる、ということがあります。
甲状腺がんに見られる症状には、以下のようなものがあります。
● 甲状腺やその周囲のしこり(結節)、違和感
● 声帯を動かす神経(半回神経)の麻痺による声のかすれ(嗄声)
また、ハイリスクの場合、あるいは未分化がんの場合は、上記に加えて次のような症状がみられることもあります。
● 血痰
● 息苦しさ(呼吸困難)
● 飲み込みにくさ(嚥下困難)
● のどの痛み
甲状腺がんが進行してくると、次第に栄養状態の悪化や全身の衰弱もみられるようになります。
甲状腺がんの原因
甲状腺がんのリスク要因には、年齢、性別、放射線暴露などが考えられています。特に甲状腺がんになりやすいとされるのが、25歳~65歳の間の女性であり、アジア系の人種であることです。海藻などをよく食べ、ヨード摂取が充足していると考えられる地域では特に、甲状腺がんが好発しています。
また、甲状腺腫などの既往歴を持っている、あるいは家族に甲状腺疾患もしくは甲状腺がんの人がいる場合にも、甲状腺がんになるリスクが高いとされています。
さらに、小児期に頭頸部に放射線を浴びた経験がある、もしくは原爆に被爆した経験があるという方も甲状腺がんになりやすく、放射線に暴露してから早くて5年程度で、甲状腺がんへ移行するとされています。
また、それぞれのがんによって原因が定まっていることもあり、例えば、橋本病にかかったことがある方は、甲状腺がんの中でも悪性リンパ腫を発症しやすいとされています。未分化がんも、甲状腺がんにかかっている方がなりやすいがんであり、こちらは男性であっても罹患する可能性が高いがんとされています。
甲状腺がんの検査と診断
甲状腺腫瘍の診察の基本は触診です。自覚症状がほとんどないため、健康診断やほかの病気で診察を受けるときに、首の触診や検査で、甲状腺がんが疑われることが少なくないです。ただし、触診だけでは腫瘍が良性か悪性かの判断ができないことが多いため、血液検査、超音波(エコー)検査、穿刺吸引細胞診を行います。腫瘍やがんの広がりを調べるためには、CTやシンチグラフィー検査を行い、MRI検査は必要に応じて選択されます。
診察(問診、視診・触診)
症状、病歴、家族歴、過去に放射線の被曝がなかったかどうかなどについて、まず問診します。その後、甲状腺の大きさ、腫瘍の有無と大きさ、硬さや広がりなどを調べるために、甲状腺の周辺部を観察(視診)したり、直接触って(触診)診察します。首の周りリンパ節の触診も行います。
画像検査(画像診断)
- 超音波(エコー)検査
- 超音波を体の表面に当て、臓器から返ってくる反射の様子を画像にする検査です。甲状腺の大きさや、内部にあるしこりの性質を観察し、周囲の臓器との位置関係やリンパ節への転移の有無を調べます。
- CT、MRI検査
- CTではX線を、MRIでは磁気を用いて体の内部を描き出し、周辺の臓器へのがんの広がりや転移の有無を調べます。いろいろな角度から体内の詳細な画像を連続的に撮影することで、より詳しい情報を得ることができます。ただし、MRI検査は時間がかかり、その間に呼吸の影響で甲状腺周辺部が動いて画像がぼけてしまうことがあるため、甲状腺の検査では必要に応じて選択されます。造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがあります。ヨードアレルギーなどの経験がある人は医師に申し出る必要があります。
- シンチグラフィー検査
- 放射線物質を服用、または注射して行う検査です。放出される微量の放射線を専用の装置で検出し、画像にします。甲状腺疾患では甲状腺シンチグラフィーと腫瘍シンチグラフィーが用いられ、甲状腺のしこりやがんの再発の有無、甲状腺の機能を調べるために行います。
病理検査(病理診断)
- 穿刺吸引細胞診
- しこりがある場合に、それがどのような細胞からできているかを詳しく調べるために行います。甲状腺に細い注射針を刺して、しこりから直接細胞を吸い取り、顕微鏡で観察します。しこりが良性であるか悪性(がん)であるかを判定するには最も優れた方法です。しこりの大きさにもよりますが、多くの場合には超音波(エコー)の画像を見ながら直接細胞を採取する方法で行われます。
- 血液検査、腫瘍マーカー検査
- 甲状腺がんの検査は、病理診断や画像診断を組み合わせて行いますが、必要な場合は血液検査によって、甲状腺ホルモンや腫瘍マーカー(がんの存在により異常値を示す血液検査の項目)を調べます。甲状腺がんの中でも髄様がんの場合には、特にカルシトニン(甲状腺から分泌されるホルモン)やCEAなどの腫瘍マーカーの値が上昇します。しかし腫瘍マーカーは、がんになると必ず上昇するとは限らないため、単独でがんかどうかを確定できる検査ではないです。例えば、乳頭がんや濾胞がんの検査では、サイログブリン(甲状腺から分泌されるたんぱく質の中にだけある物質)の値は、腫瘍が良性であっても上昇するため、それだけで診断に有用とはいえないですが、甲状腺をすべて摘出した後の経過観察には、再発の有無を調べるために有用な場合があります。
甲状腺がんの病期(ステージ)
病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてステージともいいます。説明などでは、「ステージ」という言葉が使われることも多いです。病期には、ローマ数字が使われ、甲状腺がんでは、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期(ⅣA、ⅣB、ⅣC)に分類されています。病期はがんの大きさだけではなく、がんがどこまで広がっているか、リンパ節や遠くの臓器への転移があるかどうかで決まります。
甲状腺がんでは、がんの種類、進行の程度によって治療法が異なるため、組織型や病期を正確に把握することがとても重要です。組織型や病期を知ることで、これからの治療の目安について大まかに予測することができます。
乳頭がん、濾胞がんの病期は、年齢によって異なります。他のがんの場合はがんの大きさとリンパ節転移、遠隔転移の有無によってステージが決められるのに対して、甲状腺がんはがんの種類と年齢によってステージが決定することが特徴です。45歳未満の場合には、がんの大きさ、広がり、リンパ節転移の有無には関係なく、遠くの臓器へ転移があるかどうかでⅠ期、Ⅱ期に分類されます。
-
● I期:がんが頸部(甲状腺)にとどまっており、遠くの臓器への転移がない(甲状腺に隣接する組織、リンパ節まで広がっている可能性はあり)
● II期:がんが甲状腺から肺や骨など、遠くの臓器にまで転移している
45歳以上の場合は、大きさ、広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無によって病期が決まります。
● I期:がんが甲状腺内にとどまっており、大きさは2cm以下
● II期:がんが甲状腺内にとどまっており、大きさは2cmより大きく、4cm以下
● III期 :
≫ がんの大きさが4cmを超える
≫ がんが甲状腺のすぐ外側まで広がっているが、リンパ節までは転移していない
≫ がんが甲状腺のすぐ外側まで広がっており、さらに気管周囲または喉頭付近のリンパ節まで転移している
● IVA期 :
≫ 頸動脈の外側にある頸部リンパ節、あるいは縦隔の上寄り部分のリンパ節まで転移している
≫ がんが甲状腺の外側の臓器(皮膚組織、咽頭、気管、食道、反回神経)まで広がっている
● IVB期:がんが甲状腺の外側の臓器(椎骨前筋膜、縦隔の血管や頸動脈)まで広がっており、遠くの臓器への転移はないが、リンパ節まで転移していることもある
● IVC期:甲状腺がんが、肺や骨など、甲状腺から離れた臓器にまで転移している
また、未分化がんははじめからⅣ期に分類されるという特徴もあります。
● IVA期:がんの大きさにかかわらず、甲状腺内にがんがとどまっているが、リンパ節まで転移していることもある
● IVB期:甲状腺の外側までがんが広がっており、リンパ節まで転移していることもある
● IVC期:がんが甲状腺から肺や骨など、遠くの臓器にまで転移している
また、甲状腺髄様がんに対しては、次のような病期が用いられます。
● 0期:甲状腺内にがんは認められないが、特殊なスクリーニング検査で発見できる
● I期:がんが甲状腺内にのみ限局しており、大きさは2cm未満
● II期:がんの大きさが2cm以下で甲状腺内に限局しているか、腫瘍の大きさに関わらず甲状腺のすぐ外側の組織まで広がっているが、リンパ節までは広がっていない
● III期:がんの大きさに関わらず、気管および喉頭(発声器)付近のリンパ節や、甲状腺のすぐ外側の組織まで広がっている
● IV期:甲状腺髄様がんのⅣ期は、さらに3つの病期に分けられます
≫ IVA期:がんは、その大きさに関わらず甲状腺の外側に広がっており、皮膚、気管、食道、喉頭、反回喉頭神経下の組織まで拡がっているか、気管または喉頭付近のリンパ節まで広がっている、またはがんの大きさに関わらず、甲状腺のすぐ外側の組織まで広がっており、頸部または肺の間の片側または両側リンパ節まで広がっている。
≫ IVB期:がんは、脊柱前部の組織または頸動脈周囲、肺の間の領域中の血管まで広がっており、リンパ節まで広がっていることがある。
≫ IVC期:がんの大きさに関わらず、肺、骨など身体の他の部分まで広がっており、リンパ節まで広がっていることがある。
甲状腺がんの生存率・予後
甲状腺がん全体で見てみると、5年生存率はステージⅠ期では100.0%、ステージⅡ期98.9%、ステージ>Ⅲ期98.7%、ステージⅣ期71.3%となっています。 ステージ1期からステージⅢまでは90%以上の5年生存率ですが、ステージⅣ期になると70%台にまで下がってしまいます。
病期(ステージ) | 症例数 | 5年生存率 |
---|---|---|
Ⅰ期 | 1,247 | 100.0% |
Ⅱ期 | 372 | 98.9% |
Ⅲ期 | 447 | 98.7% |
Ⅳ期 | 980 | 71.3% |
全病期 | 3,276 | 91.1% |
全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査(2018年12月現在)による
※対象データは、診断年:2005年~2009年の最新5年間とした
参考:甲状腺がんの組織型別生存率(疾患特異的生存、がん研有明病院)
https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/thyroid.html
2018年12月30日閲覧
甲状腺がんの治療法
手術(外科療法)
甲状腺がんの手術では基本的に、甲状腺切除と、がんが広がっているリンパ節も摘出する「リンパ節郭清」を行います。
甲状腺切除には以下のような種類があります。
<葉切除>
がんの広がりを調べ、甲状腺を出来る限り温存する手術法です。これは、日本で発展してきた考え方によるもので、術後の補助療法はなるべく行わないものとしています。
<甲状腺亜全摘手術>
甲状腺を約2/3以上切除する手術ですが、基本的には術後の補助療法(化学療法)を行わない、とされています。
<甲状腺準全摘術>
甲状腺をわずかに残して、ほぼすべて摘出する術式です。
<甲状腺全摘出術>
甲状腺をすべて摘出します。甲状腺にがんが残ることがなく、手術後には放射性ヨードを使った転移の治療や、精密検査が容易にできることが特徴です。一方、手術による合併症(副甲状腺機能低下、反回神経麻痺)が起こる確率が高く、生涯にわたって甲状腺ホルモン薬を飲まなければならない場合もあります。
このうち、「葉手術」と「甲状腺亜全摘手術」は、甲状腺の摘出範囲が少ないこともあり、手術による副甲状腺(上皮小体)機能低下、反回神経麻痺などの合併症が起こる確率が、低くなるという特徴があります。また、この二つの術式は、手術後の補助療法(化学療法)を行わないため、甲状腺ホルモンを飲む必要がないケースが多いことも特徴です
しかし、葉切除、甲状腺亜全摘手術を選択した場合でも、手術する部位と反対側にも病変がある(両側病変)場合や、両側頸部に明らかなリンパ節転移がある場合、遠隔転移が確認できる場合には、甲状腺全摘出術が適応となることがあります。
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抗がん剤(化学療法)
化学物質(抗がん剤)を利用してがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。
甲状腺がんの場合は、がんのタイプによって、適応されるかどうかが分かれます。例えば、未分化がんや悪性リンパ腫など、他の治療法が難しい場合に抗がん剤治療が選択されrことがあります。一方で、乳頭がんや濾胞がんは、手術による効果が高いため、抗がん剤治療は行われないことが多いです。さらに、明らかな転移がある場合は、転移した部位に対し、局所的に抗がん剤治療を行うこともあります。
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放射線療法
腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。
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免疫療法
上記の三大治療法に加えて、免疫療法は近年「第4の治療法」として期待されています。免疫療法は研究が進められていますが、有効性が認められた免疫療法は免疫チェックポイント阻害剤などの一部に限られています。自由診療で行われている免疫療法には効果が証明されていない免疫療法もありますので、慎重に確認する必要があります。
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陽子線治療
通常のX線の放射線治療ではがん局部の周囲の正常な細胞も傷つけてしまいますが、陽子線治療はがん局部だけを照射して周囲の正常な 細胞が傷つくことをより抑えることができます。また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療です。1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。
陽子線は水素の原子核を加速させたものであり、従来の放射線(ガンマ線、エックス線)との違いは「一定の深さで止まる」という性質をもっていることです。この陽子線の「止まる」という性質を利用し、止まるまでの深さをコントロールすることで、がん細胞に集中的に放射線を照射することができます。陽子線は「止まる」深さで最大限の力を出すという特徴があるため、がん細胞の周囲の臓器への影響が少なくなります。
甲状腺がんに対する陽子線治療の適応は、手術による治療が難しい場合、あるいは手術を希望しない場合、となります。
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甲状腺がんの再発・転移
甲状腺がんでは、もともとがんがあった甲状腺やその周辺のリンパ節での局所の再発が多く、肺や骨、肝臓などの遠隔臓器への転移や再発はまれとされています。
また、血行転移が起こる前に原発巣の治療ができれば転移をする可能性はかなり低いと言われています。その治療成績は10年生存率90%以上ともされています。
参考文献
国立がん研究センター がん情報サービス 各種がん117 甲状腺がん
https://ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/odjrh3000000ul06-att/117.pdf
がん研有明病院 がんの種類について 甲状腺がん
http://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/thyroid.html
PDQ日本語版がん情報サイト
http://cancerinfo.tri-kobe.org/pdq/summary/japanese.jsp?Pdq_ID=CDR0000258038#scrollTop
国際医学情報センター がんinfo 甲状腺がん
https://www.imic.or.jp/library/cancer/004_thyroid.html
国立がん研究センターがん情報センター
https://ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/odjrh3000000ul06-att/117.pdf
日本癌治療学会 がん診療ガイドライン 甲状腺腫瘍
http://www.jsco-cpg.jp/guideline/20.html
愛知県がんセンター中央病院 いろいろながん 甲状腺がん
https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/16kojosen.html
国立がん研究センター東病院 陽子線治療の概要
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/radiation_oncology/consultation/pbt/about.html
同上 特殊外来 陽子線治療について
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/radiation_oncology/consultation/pbt/index.html
南東北がん陽子線治療センター 症例と治療成績 症例紹介 甲状腺がん
http://www.cancer-center.jp/adaptation/cases/cases_008.html
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