更新日:2021/05/29
がんの治療費
目次
がんの治療費について、がん治療にかかるお金、高額療養費制度、傷病手当金、医療費以外にかかるお金、先進医療の医療費、民間保険など様々な観点から解説します。
がん治療にかかるお金
がんの治療にかかるお金は、がんの部位や進行度、実際に行った治療内容によって大きく異なります。他の疾患の治療費と比べると、治療内容によっては高額になることがわかっています。例えば、2014年の医療給付実態調査から、生活習慣病の代表といえる糖尿病や、消化器系疾患などにかかった医療費を、がんの医療費と比較してみた場合、入院費と入院外治療費はともに、がんに対する費用の方が高くなっています。厚生労働省の調査によると、がんとなった時に受ける治療の割合で最も多いのが化学療法(抗がん剤治療)、次に手術を含む外科的治療、最後に放射線療法となります。
例えば、乳がんを例にとって考えてみます。抗がん剤治療で実際に使用する薬剤と使用頻度にもよりますが、総額おおよそ13万円から68万円かかります。手術等外科的治療は入院と併せて100万円前後かかることもあります。放射線治療では、週5日、5週間の治療を行う場合、47万円から70万円ほどかかります。これらの治療を医療保険の適応範囲で受けたとすると、自分自身の自己負担の割合に応じた、支払が発生することになります。
少し前ですが、平成22年の診療報酬改定において、外来化学療法や放射線治療では、治療の内容にもよりますが、保険点数が少し高く設定されました。診療報酬は2年ごとに改訂をされているため、初期治療を受けてから2年以上経過している方では、現在の方が治療費がかかってしまうことも考えられます。さらに、製薬技術の進歩により、抗がん剤では高額な薬剤も増えています。
がん診療拠点病院で治療を受けた場合など、実際の治療を受けた医療機関によっても、わずかですが診療費が加算されることがあります。そのため、治療において同一月に高額な治療費を支払った場合には、一定以上の金額までを自己負担とし、それを超える分は後で払い戻される「高額療養費」という制度がありますので、活用してみるのも良いでしょう。高額療養費制度には適合しない場合でも、例えば飲み薬の治療であればジェネリック医薬品に変更するという方法でも、自己負担額を抑えることが可能です。
また、会社員や公務員などの加入する公的医療保険には「傷病手当金」の給付があります。
高額療養費制度
高額療養費制度を利用するには適用要件があり、年齢や所得によって、1か月の自己負担額は変わります。またこの制度は、医療保険の適応となる治療費に対してのみ利用できるものであり、国が定めた先進医療などを受ける場合は、全て自己負担となります。例えば、現在、治療施設が増えつつある陽子線治療や重粒子線治療などは、先進医療にあたるため、高額療養費制度の対象にはなりません。
また、高額療養費制度には、世帯合算と多数回該当という仕組みもあります。
<世帯合算>
世帯合算とは、同じ世帯の中で他にも何らかの医療行為を受けている人がいる場合、あるいは、一人でも複数の医療機関で医療行為を受けている場合に適用されます。家族全員分の医療費を合算した金額が、自己負担の限度額を超えた場合に、超えた分の金額が払い戻される制度です。
<多数回該当>
多数回該当とは、直近12カ月の間ですでに3回以上の高額療養費を受給している場合、その月以降の負担額の上限が引き下がる仕組みとなっています。
このように、保険適用範囲内で行った治療では、この高額療養費制度を活用することで自己負担を減らしつつ治療を行うことができます。
高額医療費の自己負担額(70歳未満の場合)
70歳未満 | |
---|---|
所得区分 | 自己負担限度額 |
一般 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% ※4ヶ月目以降:44,400円 |
上位所得者 | 150,000円+(総医療費-500,000円)×1% ※4ヶ月目以降:83,400円 |
低所得者 | 35,400円 ※4ヶ月目以降:24,600円 |
上位所得者:標準報酬月額53万円以上、基礎控除額の総所得600万円超
低所得者:住民税非課税
高額医療費の自己負担額(70歳以上の場合)
70歳以上 | 自己負担限度額 | |
---|---|---|
所得区分 | 外来のみ(個人単位) | 外来+入院(世帯単位) |
一定額を超える所得者 | 44,400円 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% ※4ヶ月目以降:44,400円 |
一般 | 24,600円 | 44,400円 |
低所得者① | 8,000円 | 24,600円 |
低所得者② | 15,000円 |
低所得者①:住民税非課税世帯
低所得者②:住民税非課税世帯で、世帯全体の所得が0円
例えば、70歳未満・一般(被保険者の標準報酬月額が53万円未満)の場合
負担の上限額:80,100 円+(総医療費-267,000 円)×1%となります。
4ヶ月目からは、上限が引き下げられ、負担の上限額は44,400となります。

傷病手当金
会社員や公務員などの加入する公的医療保険には「傷病手当金」の給付があります。(注意:国民健康保険にはありません)
病気やけがなどの療養のために働けない日が連続して3日以上あった場合、4日目以降から1日につき、給与の3分の2が支給されます。
期間:最初に支給された日から最長で1年6カ月になります。
<ポイント>
1.働けなくなった日から連続した3日間の欠勤(公休や有休を利用してもよい)があります。
2.期間中なら途中で働いても、再受給が可能です。但し、傷病手当金は原則、同一疾病で1回限りと決められています。追加治療や再発などで療養が長引いても、1年6ヶ月で期間満了となります。
一般的に、病気による休業中は、給与が支払われません。そのため、被保険者とその家族の生活を保障するという目的の下、「傷病手当金」という制度が設けられました。がんに限ったことではありませんが、被保険者が病気やケガのために仕事(会社)を休み、事業主からの十分な報酬が受けられない場合、被保険者の申請により支給されます。
医療費以外にかかるお金
医療費とは一概に、がんの治療にかかった薬剤費や、手術など治療そのものの手技に対する費用のみではありません。がん治療ではこれらの他にも、入院すれば「入院基本料」という費用が発生しますし、室料(病室の使用料)や食事代なども必要です。
これらの費用については、基本的に健康保険が適用されるため、負担割合に応じた自己負担額でまかなうことができます。
しかし、例えば
●個室を使用するための差額
●食事の内容について費用のかかる内容を選択した場合
●パジャマをレンタルした場合
●診断書などの文書作成を依頼した場合
など、別途実費としてのお金がかかります。
これら以外にも、日用品を購入したり、飲み物を購入するなどした場合など、少しずつではありますが、お金がかかることになります。
さらに、外来への通院であれば、交通費なども必要ですし、外来とはいえ抗がん剤治療を数日間~数週間の間受け続けるには、医療費以外にも多額のお金がかかるということが分かります。
先進医療の医療費
健康保険の診療で認められている一般の医療の水準を超えた最新の医療技術の中で、厚生労働大臣から承認され、保険診療との併用(混合診療)が認められた医療行為を「先進医療」と言います。
先進医療は、患者自身が治療を希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合に、行われることになります。
しかし、「先進医療」として認められた療養に関しては、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)について は、一般の保険診療と同様に公的医療保険が適用され、先進医療にかかわる費用は全額自己負担となるといった、「保険診療」と「保険外診療」の併用が認められています。
尚、先進医療費としてかかった費用は、実際に治療を受けた医療機関によって、変動することがあります。また、高額療養費の払い戻しの対象とはなっていないものの、所得税の控除の対象となります。平成28年1月1日現在、第2項先進医療【先進医療A】62種類、第3項先進医療【先進医療B】52種類が承認されています。
がん治療において行われている先進医療の一例を見てみましょう。
1.放射線の一種である粒子線(陽子線)を病巣に照射することにより、悪性腫瘍を治療する「陽子線治療」は、およそ288万円以上かかります。
2.肺がんに対する化学療法を受けた場合、例えば1日目にペメトレキセドを500mg/平方メートルと、シスプラチン75mg/平方メートルを使い、3週毎に4回投与するという、「ペメトレキセド静脈内投与およびシスプラチン静脈内投与」と呼ばれる抗がん剤の併用療法があります。この併用療法にかかる費用は、およそ40万円~41万円です。
3.海外ではすでに標準治療となっている成人T細胞白血病リンパ腫に対する治療法として、インターフェロン(IFNα)の連日皮下注射と、ジドブシン(AZT)を連日経口内服する治療法があります。これを「インターフェロンα皮下投与及びジドブジン経口投与」と呼びますが、これにかかる費用はおよそ33万~34万円です。
4.肺がんの中でも「非小細胞肺がん」に対して行われる「周術期カルペリチド静脈内投与による再発抑制療法」と呼ばれる治療法がありますが、この費用はおよそ12万円~13万円です。
民間保険
民間保険は、公的医療保険ではまかなえない差額のベッド費用や、入院中の食事費などのほか、保険適応とはならない医療費のうち「自己負担分の支払いを補助する」という役割をもっています。民間企業による保険には、医療保険やがん保険など、さまざまな名称、さまざまな種類があり、加入している商品によって、保障内容は大きく異なります。一般的には、民間医療保険契約の本体となる主契約に加え、オプション部分となる特約から成り立っていることが多いようですが、中には「がん保険」として、がん治療に特化した内容で主契約ができるものもあります。
「医療保険」は、病気だけではなくケガなど保証が幅広いのですが、入院給付金の支払いに限度日数があります。また「がん保険」の場合は、契約締結後90日など、一定期間が経過した後に、保証が開始されることが多く、一般的には、その間にがんと診断されても保障の対象とはならないことが多くあます。
特定疾病保障保険では、対象となる疾患が、がん、急性心筋梗塞、脳卒中などのように、具体的に指定されています。実際にこれらの疾患を発症したと診断されると、保険金が支払われ、契約は終了します。
また、がんを含む女性特有の疾病に備える特約、がん入院に対する特約、通院に対する特約などもあり、自身のニーズに合わせて選択できるものが増えています。中には、医療に関連する保障が、生命保険の特約として付随している場合もあります。
いわゆる「がん保険」の中には、がんに対するがん入院給付金に対する支払い限度日数がなく、何日、何回入院しても日数分の給付金が受け取れる、というものがあります。しかし、特約(オプション)の場合は、支払金に上限が設けられている場合もあります。
また、がんと診断された場合に受け取ることのできる「がん診断給付金」などと呼ばれる給付金については、がんと診断され、一定の条件を満たすと支払われることが多いようです。さらに、一度給付を受けた後でも、一定期間が経過すれば、何回でも支払われる保険商品もありますし、「特定疾病保証金」などと呼ばれる、がんと診断されて一定の条件を満たしていれば、給付金を受け取ることができる保険もあります。
がん保険についてについてもっと詳しく見る
自由診療
免疫療法
活性化リンパ球療法 料金一覧
- 初診時の料金(リンパ球治療を始める場合)
- 70,000円
・初診料:患者様ご本人の初診料になります。
・採血処置料:細胞培養の為の採血処置料になります。
の他状況に応じて作成する文書料(紹介状の返信)などは含んでおります。
3ヶ月以内に投与の予定がない方については、短期凍結保管料として別途30,000円必要となります。 - 活性化自己リンパ球療法治療費(リンパ球投与時)
- 210,000円/投与
・再診料:2回目以降の診察料になります。
・活性化自己リンパ球調製料:リンパ球の培養費用になります。
・検査料・検査判断料:初回の血液検査、感染症検査になります。
の他医師が必要と認め実施する検査料・検査判断料(定期的な検査)などは含んでおります。
投与の間隔・回数は医師が病状を見て相談の上、決定するため、患者様の病状によっては治療回数や治療期間が異なる場合があります。
スケジュールは医師が患者様の状態を診察した上で患者様・お一人様毎に治療回数と治療期間を決定します。
また、患者様の希望に応じて治療を実施しているので、途中で治療計画を変更や中断することもできます。
治療費は掲載時(2013年)のものになりますので、最新の治療費についてはクリニックにお問い合わせください。
参考文献
国立研究開発法人 国立がん研究センターがん対策情報センター
https://ganjoho.jp/hikkei/chapter2-2/02-02-01.html
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001sp25-att/2r9852000001spdf.pdf
e-Stat 統計で見る日本
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E3%81%8C%E3%82%93&layout=dataset&toukei=00450389&tstat=000001044924
乳がん診療ガイドライン
http://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g4/q16/
国立がん研究センター 東病院 先進医療
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/d001/info/innovative_medicine/index.html
厚生労働省 先進医療の概要について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/index.html
国立がん研究センター がん情報サービス 民間保険に加入しているときには
https://ganjoho.jp/hikkei/chapter2-2/02-02-01.html
全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3030
書籍:
生活習慣の改善でがんを予防する5つの法則 監修津金昌一郎