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更新日:2021/05/23

腎盂尿管がんとは|症状や検査、治療、ステージなど

腎盂尿管がんについて、特徴・分類・症状・検査方法・病期(ステージ)・生存率・治療法など様々な観点から解説します。

腎盂尿管がんとは

腎盂は腎臓の一部で、尿管は腎臓と膀胱をつないでいる長い管のことです。どちらも、腎臓でつくられた尿を集めて膀胱に運ぶ働きをしており、腎臓と同じように左右に1つずつあります。腎盂と尿管は上部尿路と呼ばれ、ここにできるがんは「腎盂尿管がん」という1つのグループとして扱われます。治療法にもあまり差がないため、両方をまとめて考えることが多いです。

腎盂から尿管、膀胱、尿道の一部へとつながる尿路の内側は尿路上皮(移行上皮)と呼ばれる粘膜でできています。これは機能に応じて伸びたり縮んだりと形が変化する粘膜のことです。この細胞から発生するがんを尿路上皮癌といい、腎盂尿管がんのほとんどを占めます。腎盂は腎臓の一部ですが、腎細胞がんは尿路上皮癌ではなく腎盂尿管がんとは性質が違うので、別のグループになっています。

なお、腎盂尿管がんは、尿路内のいろいろな場所に多発しやすい特徴があります。腎盂と尿管の療法にできることもありますし、左右どちらかの腎盂か尿管にがんができ、その治療後に反対側の腎盂か尿管にがんが発生することもあります。

腎盂尿管がんにかかる率(罹患率)は50歳代後半以降に増加し始める傾向にあり、男性に多いがんです。発生の危険要因として喫煙、フェナセチン含有鎮痛剤などが明らかになっています。

腎盂尿管がんでもっとも多い症状は、肉眼でもわかる血尿です。尿管が血液でつまった場合や、がんが周囲に広がった場合などには、腰や背中、わき腹の痛みが起こることもあります。これらの痛みは尿管結石と似ており、刺すような強い痛みが起こったり消えたりします。排尿痛や頻尿が起こることもあります。

がんで尿管がふさがると腎臓の中に尿がたまって拡張した状態(水腎症)になります。これは、長く続くと腎臓が機能しなくなってしまうことがあります。片方の腎臓が機能しなくなっても、もう一方の腎臓が機能を補うので、尿の出が少なくなったり、体がむくむなどの腎不全の症状が起こることはまれです。

最近は超音波(エコー)検査が広く行われるようにたったため、特別な症状がなくて発見される腎盂尿管がんが増えています。また、水腎症があって精密検査した結果、腎盂尿管がんが発見されることもあります。

腎盂尿管がんの検査と診断

目で見て血尿があった場合、出血源を明らかにするために膀胱鏡検査を行い、また、がん細胞の有無を知るために尿細胞診検査、がんの広がりを調べる画像検査などを行います。

【膀胱鏡検査(内視鏡検査)】
膀胱鏡(膀胱の内視鏡)を尿道から膀胱へ挿入します。腎盂尿管がんよりも膀胱がんのほうが発生頻度は高いので、まず膀胱がんを疑って検査をします。膀胱内にがんがなければ、左右の尿管口から出血がないかを確認します。
【尿細胞診検査】
尿にがん細胞が出ていないかどうかを確認するために行います。尿細胞検査は5段階または3段階で評価されます。1、2は悪性所見なし、3は疑陽性(悪性の疑い)、4、5は悪性所見が強く疑われます。しかしがんがあっても尿細胞診に異常を認めないこともあり、尿細胞診の結果が陰性であるからといってがんがないとはいえないです。
【排泄性腎盂造影(DIPまたはIVP)】
腎機能に問題がなければ、次は排泄性腎盂造影が行われます。これは静脈性尿路造影とも呼ばれます。造影剤を静脈から点滴して、何回かX線撮影を行います。尿の流れに異常があるかどうかがわかり、がんの有無を判断することができます。腎盂尿管がんの90%以上に異常所見がみられるとても重要な検査です。造影剤に含まれるヨードによりアレルギーが起こることがあります。アレルギーの経験がある方は、医師に申し出ることです。
【腹部超音波(エコー)検査】
患者さんへの負担が少なく、最初に行う検査としては簡便で有用です。腎盂内にがんがあるかどうか、水腎症を起こしているかどうか、リンパ節に転移しているかどうかなどがわかります。
【逆行性腎盂造影(RP)】
ここまでの検査で異常が見つかり、腎盂尿管がんが疑われた場合、逆行性腎盂造影が行われることがあります。膀胱鏡を尿道から入れ、膀胱内の尿管口からカテーテル(細い管)を挿入します。尿を採取後、このカテーテルから造影剤を注入してX線撮影を行い、腎盂や尿管の形状を観察します。排泄性腎盂造影ではよく見えなかった部位や、その他の異常を明らかにすることができます。
【尿管鏡検査】
腎盂尿管がんが疑われても、これまでの検査で診断するには十分な所見が得られなかった場合、尿管鏡検査が行われることがあります。麻酔をして行う。まず尿道から膀胱内に内視鏡を入れ、尿管口から尿管、腎盂まで内視鏡を進めます。内視鏡で尿管や腎盂の様子を観察できることと、異常が疑われる部分を採取すること(生検)も可能です。生検した組織を顕微鏡で調べることで、浸潤(がんが周囲に広がること)性の有無、異型度が術前に判定できることもあります。画像診断だけではわからなかったことが明らかになる場合もあります。
【CT、胸部X線、骨シンチグラフィー】
腎盂尿管がんと診断された場合には、がんの広がりや、リンパ節、肺、骨、肝臓などへの転移がないかどうかを調べるためにCT、胸部X線、骨シンチグラフィーなどの画像検査を行います。CTはX線を使って体の内部を描きだします。骨シンチグラフィーは、ラジオアイソトープを使った骨の検査です。造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがあります。アレルギー経験のある方は医師に申し出る必要があります。

腎盂尿管がんの病期(ステージ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてステージともいいます。説明などでは、「ステージ」という言葉が使われることが多いです。病期には、ローマ数字が使われ、0期~Ⅳ期に分けられます。病期は、がんがどのくらい広がっているか、リンパ節や他の臓器への転移があるかどうかで決まります。腎盂尿管がんは、0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期に分類されます。病期によって治療方法を選択しますが、必ずしも治療前のステージが正しいとは限らないです。手術を行って摘出した組織を顕微鏡で調べる組織検査の結果が、術前の画像診断と必ずしも一致しないこともあるからです。その場合は、組織検査の結果に従ってその後の治療を選択します。

織検査により、がん細胞の組織型や浸潤性の有無のみならず、がん細胞の異型度も明らかになります。異型度とは、がん細胞の大きさ、細胞間のまとまりなどをもとに悪性度(がんが広がりやすいか、あるいは移転しやすいか)を表現したものです。グレードとも呼ばれ、1~3の3段階に分かれています。グレード1はあまり進行しない最もおとなしいタイプのがん細胞で、グレード3は悪性の度合いがいちばん高く転移しやすいがん細胞です。

腎盂尿管がんの治療法

手術(外科療法)

がん病巣を手術で除去する療法で、原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除きます。がんそのものを外科手術で除去する局所療法です。がんの治療法として最も基本的な治療法です。

手術(外科療法)についてもっと詳しく見る

抗がん剤(化学療法)

化学物質(抗がん剤)を利用してがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。

抗がん剤(化学療法)についてもっと詳しく見る

放射線療法

腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。

放射線療法についてもっと詳しく見る

免疫療法

上記の三大治療法に加えて、免疫療法は近年「第4の治療法」として期待されています。免疫療法は研究が進められていますが、有効性が認められた免疫療法は免疫チェックポイント阻害剤などの一部に限られています。自由診療で行われている免疫療法には効果が証明されていない免疫療法もありますので、慎重に確認する必要があります。

免疫療法についてもっと詳しく見る

陽子線治療

通常のX線の放射線治療ではがん局部の周囲の正常な細胞も傷つけてしまいますが、陽子線治療はがん局部だけを照射して周囲の正常な 細胞が傷つくことをより抑えることができます。また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療です。1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。

陽子線治療についてもっと詳しく見る

重粒子線治療

陽子線治療と比べて、さらにがん局部を集中的に治療が可能となります。がん細胞の殺傷効果は陽子線治療の2~3倍大きくなります。 進行したがんは低酸素領域がありますが、このようながんでも治療が可能です。また、X線では治療が難しい深部にあるがんの治療も可能です。治療は1日1 回、週3~5回行い、合計1~40回程度繰り返します。平均では3週間程度の治療になります。1回当たり、20~30分程度の治療時間になります。

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