更新日:2026/07/30
白血病とは|症状や検査、治療、ステージなど
慢性骨髄性白血病(CML)について、フィラデルフィア染色体とBCR-ABL1融合遺伝子・慢性期/移行期/急性転化期という3つの相・骨髄検査・チロシンキナーゼ阻害薬による治療と3カ月/6カ月/12カ月の効果判定の目標値・治療中止(TFR)の考え方・造血幹細胞移植の位置づけなど、さまざまな観点から解説します。
慢性骨髄性白血病(CML)は、治療法が大きく変わったことで見通しが変わった病気です。
この記事では、原因となる遺伝子の異常から、飲み薬による治療と効果の測り方までを、公的機関と学会診療ガイドラインの情報にもとづいて整理します。
慢性骨髄性白血病とは
血液の中にある赤血球、白血球、血小板などを血液細胞といいます。血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で、造血幹細胞からつくられます※1。
慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞に異常が起こり、白血球や赤血球、血小板の数が無制限に増える病気(骨髄増殖性腫瘍)の1つです※1。
フィラデルフィア染色体とBCR-ABL1融合遺伝子
主な特徴は、血管を流れる血液(末梢血)中の白血球の数が通常よりも増えることと、フィラデルフィア染色体(BCR-ABL1融合遺伝子)があることです※1。
仕組みはこうです。BCR-ABL1融合遺伝子によりつくられるBCR-ABL1チロシンキナーゼと呼ばれるタンパク質が常に活性化し、がん化した細胞(白血病細胞)が増えることによって起こる病気です※1。
この「常に活性化しているタンパク質」を狙うのが、後述するチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)です。原因と治療が直結している点が、この病気の特徴です。
なお、慢性骨髄性白血病のほかに骨髄増殖性腫瘍に分類される病気には、真性多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病などがあります※1。
白血病の症状
慢性骨髄性白血病はゆっくりと進行し、増えた白血球もほぼ正常な働きをするため、慢性期と呼ばれる初期の段階ではほとんど症状がありません※1。
病気が進行して移行期や急性転化期になると、正常な血液細胞がつくられなくなり、次の症状があらわれます※1。
- 貧血の症状として息切れや動悸
- 血小板が少なくなるため鼻血が出たり歯ぐきから出血したり
- 倦怠感や発熱
- 脾臓が大きくなるため、おなかに張りを感じる
症状がないまま健康診断の血液検査で白血球数の増加を指摘されて見つかることがあります。
白血病の原因
慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞に異常が起こり、フィラデルフィア染色体(BCR-ABL1融合遺伝子)ができることで発症します※1。
なぜこの遺伝子の異常が起こるのかについて、認定した公的機関の一般向け資料に、危険因子として整理された記述はありません。確かな情報が得られた時点で追記します。
慢性骨髄性白血病の検査と診断
血液・リンパのがんでは、ほとんどの場合、診断や病型(病気のタイプ)を確定するために骨髄検査(骨髄穿刺・骨髄生検)を受けます※1。
骨髄検査は、皮膚を消毒し局所麻酔をした後に、一般的には腸骨(腰の骨)に針を刺して、骨髄組織を採る検査です※1。
慢性骨髄性白血病の病期(ステージ)
慢性骨髄性白血病は慢性期、移行期、急性転化期へと進行します※1。
| 病期 | 内容 |
|---|---|
| 慢性期(CP) | 白血球や血小板が増えるのみで、ほとんど症状がありません※1。ガイドラインは診断後約3〜5年間、自覚症状に乏しいとしています※3 |
| 移行期(AP) | 全身に症状があらわれ始めます※1。ガイドラインは3〜9カ月間持続し、芽球割合15〜29%などとしています※3 |
| 急性転化期(BP) | 急性白血病に似た状態になります※1。ガイドラインは約3〜6カ月間持続し、芽球割合30%以上としています※3 |
ほかのがんのようなTNM分類やステージ分類ではなく、この3つの相のどこにいるかで治療の内容が変わります。
慢性骨髄性白血病の生存率・予後
公表されている統計は「白血病」全体のもので、慢性骨髄性白血病だけを取り出した数値ではありません※2。
| 項目 | 数値(白血病全体) |
|---|---|
| 罹患数(2023年) | 15,165例(男性8,992例・女性6,172例)/人口10万対12.2※2 |
| 死亡数(2024年) | 9,972人(男性6,077人・女性3,895人)/人口10万対8.3※2 |
| 5年相対生存率(2018年診断例) | 50.5%(男性50.0%・女性51.2%)※2 |
この50.5%という数字を、慢性骨髄性白血病の見通しとして受け取らないでください。「白血病」には急性白血病など経過の異なる病気が含まれており、慢性骨髄性白血病の独立した統計は公表されていません※2。
あわせてご注意ください。
- 集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません
- 2018年に診断された方のデータであり、その後に登場した治療の効果は反映されていません
- ご自身の見通しは、病期と治療への反応によって変わります。主治医にお尋ねください
慢性骨髄性白血病の治療法
がん情報サービスは、慢性骨髄性白血病では、分子標的薬を内服する治療が行われますとし、進行期には、細胞障害性抗がん薬を併用する治療や、造血幹細胞移植が行われることもありますとしています※1。
チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による治療
ガイドラインは、慢性期の初回治療として第一世代TKIイマチニブ400mg 1日1回、または第二世代TKI(ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ)のいずれかの投与を推奨しています※3。高リスク群では第二世代TKIが望ましいとされています※3。
効果は数値で判定する
ここが慢性骨髄性白血病の治療の特徴です。効果は分子遺伝学的奏効(MR)を中心に評価されます※3。
| 時期 | 目標 |
|---|---|
| 治療3カ月 | IS ≦10% |
| 治療6カ月 | IS ≦1% |
| 治療12カ月 | IS ≦0.1% |
出典は※3です。「効いているかどうか」を感覚ではなく検査値で追えるため、目標に届いているかを主治医と確認しながら進めることができます。
薬をやめられる場合がある(TFR)
ガイドラインは、定期的なモニタリングを条件にTKI中止を考慮できるとしています※3。
ただし臨床試験外での実施時は専門医による慎重な監督が必須とされています※3。自己判断で中止してよいという意味ではありません。
抗がん剤(化学療法)
進行期には、細胞障害性抗がん薬を併用する治療が行われることがあります※1。抗がん剤一覧もあわせてご覧ください。
造血幹細胞移植
ガイドラインは、造血幹細胞移植について進行期やTKI多剤耐性例で適応があり、移行期・急性転化期(CML-AP/BP)に対しては同種移植を推奨するとしています※3。
がん情報サービスも、進行期に造血幹細胞移植が行われることがあるとしています※1。
放射線療法
慢性骨髄性白血病の標準的な治療として、がん情報サービスは分子標的薬・細胞障害性抗がん薬・造血幹細胞移植を挙げています※1。放射線治療全般については放射線療法とはをご覧ください。
免疫療法
自由診療で提供されている免疫療法には、効果が証明されていないものがあります。詳しくは免疫療法の比較をご覧ください。
慢性骨髄性白血病の再発・転移
慢性骨髄性白血病では、ほかのがんのような「転移」とは異なる形で経過をみます。
治療中は分子遺伝学的奏効の値を定期的に測定し、目標に達しているか、いったん達したあとに悪化していないかを確認します※3。
TKIを中止した場合も定期的なモニタリングが条件とされています※3。
病期が移行期・急性転化期に進んだ場合は、同種移植が推奨されるとされています※3。
再発・転移の考え方についてはがんの再発と転移はなぜ起こる?、療養中のつらさについては緩和ケアもあわせてご覧ください。
本記事は2026年7月30日時点の公的機関の情報および学会診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。薬の中止を含め、治療の変更は必ず主治医にご相談ください。記載の生存率は「白血病」全体を対象とした集団の統計値であり、慢性骨髄性白血病の、また個々の患者さんの見通しを示すものではありません。
参考資料
- 国立がん研究センター がん情報サービス「慢性骨髄性白血病」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計 白血病」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 日本血液学会『造血器腫瘍診療ガイドライン』第3.1版(2024年版)「慢性骨髄性白血病」(最終確認日: 2026年7月30日)


















