更新日:2026/08/19
子宮頸がんとは|症状や検査、治療、ステージなど
子宮頸がんについて、HPV感染との関係・前がん病変・2026年時点のHPVワクチン制度(9価ワクチンと個別勧奨の再開)・20歳からの検診・検査と診断・病期(ステージ)・生存率・円錐切除術から広汎子宮全摘出術までの治療・妊よう性を残す選択肢・再発と転移など、さまざまな観点から解説します。
子宮頸がんは、原因がわかっていて、ワクチンと検診の両方で対策できる数少ないがんです。
この記事では、HPVとの関係、2026年時点のワクチン制度、検診、治療までを、公的機関と学会診療ガイドラインの情報にもとづいて整理します。
子宮頸がんとは
子宮頸がんは子宮頸部にできるがんです※1。
組織型では扁平上皮がんが約8割、腺がんが約2割を占めます※1。この違いは、後述する治療の選択肢に関わります。
日本では2023年に10,457例が子宮頸がんと診断されました。人口10万人あたりでは16.4です※2。
子宮頸がんの症状
早期の段階では症状がなく、おりものや出血、痛みもありません※1。
進行すると次の症状があらわれます※1。
- 月経中でないときや性交時の出血
- 濃い茶色や膿のようなおりもの
症状が出てからでは進行している可能性があります。子宮頸がんは、症状ではなく検診で見つけるがんです。
子宮頸がんの原因
子宮頸がんの発生には、多くの場合にヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連しています※1。HPVは性交渉で感染することが知られています※1。
感染すれば必ずがんになる、というものではない
ここを誤解しないでください。HPVはありふれたウイルスで、感染しても多くは自然に排除されます。
問題になるのは、感染が続いて子宮頸部の細胞に前がん病変が生じ、それが進行した場合です。
日本婦人科腫瘍学会の『子宮頸がん治療ガイドライン』2017年版は、CIN 3(子宮頸部上皮内腫瘍のグレード3)を子宮頸部扁平上皮癌の前癌病変として取り扱うとし、腺がんについては上皮内腺癌(AIS)を前癌病変として取り扱うとしています※4。
前がん病変の段階で見つかれば、子宮を残したまま治療できる可能性があります。これが検診を受ける最大の理由です。
子宮頸がんワクチン
ここは制度が大きく変わった部分です。2026年7月時点の状況を整理します。
定期接種の対象と回数
厚生労働省によれば、定期接種の対象は小学6年〜高校1年相当の女子で、合計2回または3回接種します※3。接種する年齢によって、接種のタイミングや回数が異なります※3。
がん情報サービスも、初めての性交渉前に接種することが望ましいとしています※1。
使われるワクチンが変わった
現在、定期接種で使用できるのは9価ワクチン(シルガード9)のみです※3。
厚生労働省は「2025年度まで、定期接種に用いるワクチンとして2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)も位置付けられていました」としています※3。
つまり「2価と4価のどちらを選ぶか」という情報は、現在の制度には当てはまりません。古い解説記事を読むときはご注意ください。
積極的勧奨の差し控えと再開
厚生労働省は、経緯を次のように説明しています※3。
- 平成25(2013)年6月から、積極的な勧奨を一時的に差し控えていた
- 令和3(2021)年11月に専門家の評価により再開が妥当とされた
- 令和4(2022)年4月から、他の定期接種と同様に個別の勧奨を行っている
副反応について
主な副反応として疼痛・腫脹・紅斑・頭痛などが報告されており、重い副反応の可能性もあるとされています※3。
厚生労働省は感染症・予防接種相談窓口(0120-995-956、平日9時〜17時)を案内しています※3。
接種を受けるかどうかは、有効性と副反応の両方の説明を受けたうえで決めるものです。接種の対象や実施方法はお住まいの市区町村にご確認ください。
子宮頸がん検診とその費用
子宮頸がん検診は、国が推奨する対策型がん検診の一つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 20歳以上 |
| 間隔 | 2年に1回 |
| 内容 | 問診と視診、細胞診と内診 |
出典は※1です。ワクチンを接種していても、検診は必要です。ワクチンはHPVのすべての型を防ぐものではありません。
費用は市区町村が実施する検診では自己負担が抑えられていることが多いものの、金額は自治体によって異なります。お住まいの市区町村にご確認ください。
子宮頸がんの検査と診断
| 検査 | 何を調べるか |
|---|---|
| 子宮頸部の細胞診 | 基本となる検査。検診でも行う |
| ハイリスクHPV検査 | 必要に応じて実施する |
| コルポスコープ下の組織診 | 拡大して観察しながら組織を採取し、診断を確定する |
| CT検査・MRI検査・PET検査 | 病期を確認する |
出典は※1です。
円錐切除術は「検査」でもある
知っておくとよい点があります。ガイドラインは、術前の検査でCIN 3やAISと診断された場合でも、実際には両者の混在や浸潤癌の併存があるため、確定診断のための円錐切除術をまず行うことが基本としています※4。
つまり円錐切除術は、治療であると同時に、正確な診断のための手段でもあります※4。
子宮頸がんの病期(ステージ)
子宮頸がんの病期はI期からIV期に分類され、I期はさらにA・Bに分かれます※1。
ガイドラインによれば、IA期は子宮頸部間質浸潤の深さが5mm以内で、縦軸方向の広がりが7mmを超えないものとされ、浸潤の深さが3mm以内をIA1期、それを超えるものをIA2期としています※4。
2014年度の日本産科婦人科学会 婦人科腫瘍委員会の報告では、IA期は子宮頸がんI〜IV期の15%を占め、そのうち83%がIA1期でした。またIA期の7%が20〜29歳、31%が30〜39歳で、IB期以上に比べて若い方が多いとされています※4。
子宮頸がんの生存率
子宮頸がんの5年相対生存率は73.1%です。2018年に診断された方についての、全国がん登録生存率データによる数値です※2。
参考として、死亡数は2024年で2,751人でした(人口動態統計死亡データ)※2。
この数字を読むときは、次の点にご注意ください。
- 病期別の数値は、一般向けの統計としては公表されていません。ご自身の病期における見通しは主治医にお尋ねください
- 集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません
- 2018年に診断された方のデータであり、その後に登場した治療の効果は反映されていません
子宮頸がんの治療法
手術(外科療法)
がん情報サービスは、手術として円錐切除術・単純子宮全摘出術・広汎子宮全摘出術を挙げています※1。
前がん病変・ごく早期の場合
ガイドラインの推奨は次のとおりです※4。
| 状態 | 推奨される対応 |
|---|---|
| 摘出標本の断端が陰性のCIN 3 | 円錐切除術を最終治療とすることが推奨される(推奨グレードA) |
| AIS(上皮内腺癌) | 単純子宮全摘出術が推奨される(推奨グレードB) |
| 断端陽性で遺残病変のあるCIN 3 | 再度の円錐切除術もしくは単純子宮全摘出術が考慮される |
| 断端陰性で遺残病変を認めないAISで妊よう性温存を希望する場合 | 厳密な管理の下で子宮温存が考慮される |
IB期〜IIB期の場合
ガイドラインは、本邦でのIB期からIIB期の扁平上皮癌に対する標準治療としては、広汎子宮全摘出術および根治的放射線治療(同時化学放射線療法を含む)の両者が選択可能としています※4。
欧米では、IIB期に対して手術という選択肢が示されていません。日本の広汎子宮全摘出術は欧米のものとは術式・根治性において異なるため、日本ではIIB期でも手術が選択されています※4。海外の情報をそのまま当てはめられない部分です。
妊よう性を残したい場合
がん情報サービスは、妊よう性温存を希望する場合に広汎子宮頸部摘出術の検討を挙げています※1。
ガイドラインは、IA2期・IB1期に対する妊よう性温存療法として広汎子宮頸部摘出術が試みられているとしつつ、現状では標準治療とまでは言い難く、婦人科腫瘍専門医によって十分に適応を検討したうえで施行されるべきとしています※4。限られた施設で行われているのが実情とも述べています※4。
卵巣を残せる場合がある
ガイドラインは、広汎子宮全摘出術の際に生活の質の面から、症例を選択したうえで卵巣温存が推奨されるとしています※4。閉経前の方にとって重要な点です。
抗がん剤(化学療法)
がん情報サービスは、進行した場合に薬物療法を行うとしています※1。また放射線治療と組み合わせる同時化学放射線療法が治療の柱の一つです※1。
抗がん剤一覧もあわせてご覧ください。
放射線療法
子宮頸がんでは、放射線治療が手術と並ぶ治療の柱です。前述のとおり、IB期からIIB期では広汎子宮全摘出術と根治的放射線治療の両方が選択可能とされています※4。
ガイドラインは、単純子宮全摘出術のあとにIB期以上と診断された場合について、放射線治療あるいは同時化学放射線療法の追加が考慮されるとしています※4。
放射線治療全般については放射線療法とはをご覧ください。
免疫療法
自由診療で提供されている免疫療法には、効果が証明されていないものがあります。保険診療で使われるものとは別のものです。詳しくは免疫療法の比較をご覧ください。
陽子線治療
子宮頸がんは、粒子線治療の保険適用の対象に含まれています。
重粒子線治療では子宮頸部腺がんII〜IVA期と局所進行子宮頸部扁平上皮癌(長径6cm以上のもの)が保険適用疾患とされています※5。
すべての子宮頸がんが対象になるわけではありません。詳しくは陽子線治療をご覧ください。
重粒子線治療
上記のとおり、子宮頸部腺がんII〜IVA期・局所進行子宮頸部扁平上皮癌(長径6cm以上)が重粒子線治療の保険適用疾患です※5。対象になるかは主治医・治療施設にご確認ください。詳しくは重粒子線治療をご覧ください。
治療後に起こること
手術後にリンパ浮腫や排尿障害が起こることがあります※1。また卵巣を切除した場合は卵巣欠落症状(更年期に似た症状)が生じます※1。
ガイドラインは、骨盤リンパ節郭清後のリンパ浮腫を避ける目的でセンチネルリンパ節生検も試みられているとしていますが、これも現状では標準治療とまでは言い難いとしています※4。
子宮頸がんの再発・転移
再発
治療後は定期的に通院して経過をみます。再発した場合の治療は、初回にどの治療を受けたか、再発した場所はどこかによって変わります。
ガイドラインが示すように、手術の後に放射線治療・同時化学放射線療法を追加する場面があり※4、逆に放射線治療を行った部位に再び放射線治療を行うことはできません。初回治療の内容が、その後の選択肢を左右します。
転移
病期の判定にはCT検査・MRI検査・PET検査が用いられます※1。これらは転移の有無を調べるための検査でもあります。
再発・転移の仕組みについてはがんの再発と転移はなぜ起こる?、療養中のつらさについては緩和ケアもあわせてご覧ください。
本記事は2026年7月30日時点の公的機関の情報および学会診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。ワクチンの接種および治療の選択にあたっては、必ず医師にご相談ください。記載の生存率は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。
参考資料
- 国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計 子宮頸部」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症(HPVワクチン)」(最終確認日: 2026年7月30日)
- 日本癌治療学会 がん診療ガイドライン「子宮頸がん」(日本婦人科腫瘍学会『子宮頸がん治療ガイドライン』2017年版)(最終確認日: 2026年7月30日)
- QST病院(量子科学技術研究開発機構)「重粒子線治療が適応となる疾患」(最終確認日: 2026年7月30日)


















