脳腫瘍とは|検査や治療、グレードなど

脳腫瘍について、特徴・症状・原因・検査方法・分類・グレード・生存率・治療法・予後・再発・転移など様々な観点から解説します。

目次


脳腫瘍とは

脳は頭蓋骨という脳を保護する骨に囲まれていて、さらに頭蓋骨の内側にある髄膜という膜によって覆われています。脳は大まかに、大脳や小脳、脳幹という部位に分けることができます。脳腫瘍とはこの頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称であり、脳や脳の周囲の組織から生じた「原発性脳腫瘍」と、ほかの臓器で生じたがんが血液の流れによって脳に運ばれて増えた「転移性腫瘍」に分けられます。原発性脳腫瘍の、年間で人口10万人あたりの発生率は、日本での地域がん登録全国推計値によれば3.6人、アメリカでの統計によれば18人と報告されています。(この数の違いは、基礎資料の収集方法、解析方法、人種差によるものと思われる) 頭蓋骨の中は、脳そのもの、脳を包む膜、脳から情報を伝達する脳神経、体の機能を調節するホルモンを分泌する下垂体などで構成されており、これらの各部位からさまざまな種類の腫瘍が発生します。

脳腫瘍の症状

腫瘍によって頭蓋骨内部の圧力が高まるために起こる「頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)」と、腫瘍が発生した場所の脳が障害されて起こる「局所症状(巣症状)」に分けれられます。

頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)

多くに共通して起こる症状。脳は周囲が頭蓋骨に囲まれた閉鎖空間であるため、その中に腫瘍ができると逃げ場がなく、その結果、頭蓋の中の圧力が高くなってしまいます。これによって現れる頭痛、吐き気、意識障害などの症状を頭蓋内圧亢進症状といいます。人間の頭蓋内圧はいつも一定ではなく、睡眠中にやや高くなるため、朝起きたときに症状が強くでるのが特徴です。

局所症状(巣症状)

腫瘍の場所によって起こる症状。脳は神経の中枢であり、運動や感覚などさまざまな機能は脳の中でそれぞれ担当する部位が決まっています。脳の中に腫瘍ができると、腫瘍によってその部位の機能が障害され、局所症状として出現するため、脳のどの部位がどのような機能を担っているのかを理解することが大切です。人の脳は大脳半球と呼ばれる左右の脳に分かれ、多くのひとが左の大脳半球が優位半球となっています。優位半球とは言語中枢(話す、理解する)がある大脳半球で、この優位半球が障害されると、言葉での意思の疎通が障害される可能性が出てきます。

脳腫瘍による局所症状には、以下のようなものがあります。
● 頭頂部:感覚障害
● 前頭葉:認知症症状、尿失禁、失語(優位半球の場合)
● 視神経:視野、視力障碍
● 側頭葉:失語(優位半球)
● 下垂体:無月経、乳汁分泌、性欲低下、ホルモン過剰による症状
● 聴神経:聴力障碍
● 後頭葉:視野障害
● 小脳:失調歩行
● 脳幹:運動麻痺、眼球運動障害

脳腫瘍の症状として特徴的なものは、慢性の頭蓋内圧亢進症状です。頭蓋内圧亢進症症状とは、腫瘍ができることで頭蓋骨内の圧が上昇することで、脳が圧迫され続けてしまし、脳の実質がダメージを受けることで起こる症状です。他の脳疾患の症状と異なり、ゆっくりと頭蓋内圧が亢進するため、じわじわと症状が強くなることが特徴です。

脳腫瘍による頭蓋内圧亢進症状には、次のような3つの代表的症状があります。

①頭痛:早朝頭痛ともいわれ、早朝に「強めの頭痛」が、よく起こります。

②嘔気、嘔吐:噴射性嘔吐ともいわれ、言葉通り「噴射する」ように嘔吐します。こちらも朝方によく起こります。

③うっ血乳頭:頭蓋内圧が亢進し、視神経に浮腫が生じることで起こり、眼底検査で発見されます。左右両目とも耳側の視野が欠け、頭蓋内圧が亢進することで、網膜にある「盲点」の範囲が拡大します。(これを「マリオット盲点」といいます)

この他に、脳腫瘍の3人に1人は「てんかん発作」を起こすといわれています。また、てんかんを起こす場合には、その初発症状として痙攣(けいれん)も見られます。

脳腫瘍の原因

脳腫瘍の原因は、ほとんどのケースで「不明」であることが多いようです。その中でも、現在のところ2つの原因が考えられています。

1つ目は、遺伝によるものです。脳腫瘍の発生には、多くの遺伝子異常が関係していることが知られています。一部の脳腫瘍では、家族性で引き継がれることが明らかになっている「特徴的な遺伝子異常」が確認されています。神経線維腫症、フォンヒッペルリンドー病、結節性硬化症、コーデン病などが、その代表的です。しかし、遺伝子異常が関与してはいるものの、家族で遺伝することはほとんどないとされているため、「脳腫瘍の原因イコール遺伝」とは考えられていません。

2つ目は、脳以外で発生したがんが、脳へ転移してきたことにより発生する脳腫瘍です。転移する前のがん、つまり「原発がん」は、肺がんが半数を占め、乳がんが約10%程度とされています。

また、脳腫瘍は原因によって2つに分類され、遺伝を含む「脳が原発となって発症した腫瘍である原発性がん」と、「脳以外の部位からがんが転移してきた転移性」に分けられます。

原発性がんが脳腫瘍の82.4%、転移性がんが17.4%であるとされています。

脳腫瘍の検査と診断

脳腫瘍が疑われると、症状の経過を詳しく聴く問診を受けた上で、専門的な診察や脳神経機能の検査などを行います。腫瘍の位置・大きさを確かめるためには、CTやMRIなどで頭の中の画像検査を行います。また、脳に栄養を供給している血管と腫瘍との関係を見るために、脳血管造影検査を行うこともあります。

CT、MRI検査

磁気を利用した検査で、頭蓋骨の内部を描き出し、腫瘍の存在を調べます。CT、MRIでは病気をより明瞭に描き出すために、造影剤を静脈から注射します。アレルギー体質の方、特にCTではヨードアレルギー、MRIでは喘息の既往がある方は、副作用の起こる危険性が高まるので医師に申し出る必要があります。

脳血管造影検査

造影剤を用いてX線で脳血管の流れを撮影する検査です。血管の異常と腫瘍の関係を調べるために、大腿部もしくは肘の動脈に挿入したカテーテル(細い管)から造影剤を注射して、脳や腫瘍の血管の様子を調べます。最近では省略されることもあります。

これらの診察や検査によって、脳腫瘍がどうか、また脳腫瘍である場合、腫瘍の性質や種類、発生部位などを推測することができます。しかし、確定診断には、腫瘍組織の細胞を顕微鏡で観察して病理医が診断する病理検査(病理診断)が必要となります。

脳腫瘍の主な種類とグレード、治療のめやす

脳腫瘍は原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍に分かれます。さらに、原発性の脳腫瘍には、脳実質から生じる腫瘍と脳付属器から生じる腫瘍があります。ここではその主なものを紹介します。

原発性脳腫瘍

【腫瘍の性質】

脳腫瘍の性質は腫瘍の増殖速度(増える速さ)と広がりなどによって決められます。増殖速度が速く、浸潤性に広がり、正常組織との境界がはっきりしない腫瘍は悪性で、主に脳の実質(大脳、小脳、脳幹、脊髄など)に生じます。一方、増殖速度が遅く、正常組織との境界がめいりょうな主要は比較的良性で、主に脳の付属器に生じます。

【腫瘍の悪性度】

脳腫瘍の悪性の程度(悪性度)は世界保健機関(WHO)が定めた4段階(グレード1~4)の基準で示されます。グレード1は、手術で取り除くことができれば、通常、再発の危険はかなり少ないです。グレード2、3と4の順に腫瘍の増殖速度が速くなり、悪性度が増しているという指標として用いられます。

●グレード2
グレード2の脳腫瘍はローグレードグリオーマとも呼ばれ、ゆるやかに成長していくタイプであり、近くの組織内へとゆっくり広がっていきます。一度がんを摘出しても、再発することがあります。
グレード2の脳腫瘍には、星細胞腫と乏突起神経膠腫が該当します。
星細胞腫は「び漫性星細胞腫」とも呼ばれ、原発性脳腫瘍のおよそ8%、全グリオーマの約30%を占めます。
一方の乏突起神経膠腫は、大脳半球の前頭葉に発生し、原発性脳腫瘍の2.5%を占めます。正常細胞によく似ているため、手術で細胞を取り出して病理検査をすることで確定診断となります。
どちらも、成人男性の大脳半球に多く発生し、頭痛や痙攣の症状が見られ、進行すると片麻痺などが見られます。手術が主な治療方法で、化学療法や放射線療法を併せて行うこともあります。
●グレード3
グレード3の脳腫瘍とは、腫瘍の成長が早く、近くの組織内に広がる可能性が十分にあるものです。腫瘍細胞は、正常細胞とは明らかに異なった「見た目上の特徴」をもっています。
グレード3の脳腫瘍は、退形成星細胞腫、退形成乏突起神経膠腫が該当します。
退形成星細胞腫とは、原発性脳腫瘍のおよそ5%、全神経膠腫の約15%を占める脳腫瘍で、悪性星細胞腫、高悪性度星細胞腫とも呼ばれます。さらに高いグレードまで進展し、膠芽腫になることがあります。
退形成乏突起神経膠腫とは、医学の進歩によって近年発見率が増加している脳腫瘍であり、成長スピードは非常に早いです。
退形成星細胞腫は成人男性の大脳半球、退形成乏突起神経膠腫40~50代の前頭葉、側頭葉に発生しやすいとされており、乏突起神経膠腫に罹患した人が7~8年後に発症することがあります。
グレード3のがんはいずれも、症状に痙攣が見られ、手術と化学療法、放射線療法を併用します。
●グレード4
グレード4の脳腫瘍は非常に悪性度が高く、腫瘍は非常に迅速に成長して広がります。腫瘍内に死滅細胞の領域が存在することもあり、治癒が困難な場合もあります。
グレード4に該当する脳腫瘍は膠芽腫であり多形成膠芽腫とも呼ばれます。原発性脳腫瘍の9%、全神経膠腫の36%を占め、最も予後が悪い脳腫瘍とされています。発症部位は前頭葉35.4%、側頭葉24.8%、頭頂葉17.8%であり、小脳発生は2.2%、脳幹は1.4%となります。
膠芽腫は2種類に分類され、初発時から膠芽腫の所見が見られる一次性膠芽腫と、星細胞腫などから悪性転化して生じた二次性膠芽腫があります。初発時から膠芽腫の所見が見られる場合は、突然発症し、急に進行することが多く、3か月前の検査画像では何も症状が見られなかった、ということもあります。
45~65歳の男性の大脳半球に多く、側頭葉よりも前頭葉に多く見られます。浸潤性が強く、脳の神経線維の走行に沿って進展していくため、病変の広がりが早いのが特徴です。また、脳脊髄液にがん細胞がこぼれることによって、脳脊髄液の流れにのってしまい、その結果として、がんが全脊髄にばらかまれてしまうこともあります。
症状は週単位でどんどん悪化していき、頭痛、痙攣や性格変化、認知症、運動麻痺などが生じます。
治療は、手術・放射線・テモダールを用いた化学療法を行うものの、生存率が悪いため、早急に治療を行わないと助からないこともあります。
【脳実質から生じる腫瘍】

脳実質は、神経細胞と神経膠細胞(グリア細胞)から形成されますが、このうち神経膠細胞が腫瘍化したものを「神経膠腫(グリオーマ)」と呼びます。原発性脳腫瘍では髄膜腫(後述)についで多く見られます。
神経膠腫は浸潤性に増殖し、正常組織との境界がはっきりしないです。また、脳の機能を保つために、治療による影響をできる限り少なくする必要があります。このことから神経膠腫では腫瘍のすべてを手術によって切除することが難しく、一部を切除した後に残存腫瘍に対して放射線や抗がん剤による治療を行います。
神経膠腫の多くは悪性ですが、一部では切除可能なものもあります。髄液の流れに乗って脳のほかの部分に転移することもあります(播種)。

・神経膠腫
神経膠腫は腫瘍化している細胞の種類によって分類されます。神経膠細胞には星細胞、乏突起膠細胞、上衣細胞などがあり、これらの細胞が腫瘍化したものを、それぞれ星細胞腫、乏突起膠細胞腫、上衣腫といいます。最も多くみられるのは、星細胞腫で、その悪性度によって大きく4段階(グレード1~4)に分けられます。グレード4の星細胞腫が膠芽腫と呼ばれ、脳腫瘍の中でも悪性度の最も高い腫瘍の1つとされているが、最近新しい抗がん剤が認可され、その効果が期待されています。
【脳付属器から生じる腫瘍】

脳の付属器から生じる腫瘍は正常組織との境界がはっきりしているため切除できるものが多く、完全に切除できれば治癒が可能です。ただ、脳の奥深くにある一部の腫瘍などに対しては、部分切除を行った上で、切除後に放射線治療を行うことがあります。腫瘍の増殖速度が遅いため、すぐには治療の必要がないと判断した場合には、しばらく経過を観察することがあります。
脳付属器から生じる腫瘍は基本的には良性であり、がんのように転移することはまれです。これらの腫瘍には髄膜腫下垂体腺腫神経鞘腫などがある。

・髄膜腫
髄膜は頭蓋骨の内側にある脳を包んでいる膜です。髄膜は外側から硬膜、クモ膜、軟膜という3層の構造になっており、これから生じる腫瘍を髄膜腫といいます。原発性脳腫瘍の中では、近年もっとも発生頻度の高い脳腫瘍です。これは診断技術の進歩により、無症候性脳腫瘍と呼ばれるまったく症状を示さない脳腫瘍の診断される機会がふえている結果と考えられます。大部分の髄膜腫は良性ですが、まれに悪性化するものもあります。
・下垂体腺腫
下垂体腺腫は脳の中心部に位置する下垂体の一部が腫瘍化したもので、原発性脳腫瘍では3番目に多い腫瘍です。ホルモンを過剰に分泌するもの(ホルモン産生腺腫)と、ホルモンを分泌しないもの(ホルモン非分泌生腺腫)に分けられます。ホルモン産生腺腫には、プロラクチン産生腺腫、成長ホルモン産生腺腫、副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫(クッシング病)などがあります。
<症状>
腫瘍が大きくなることにより、周囲の組織を圧迫して生じてしまう症状と、ホルモン産生の変化による症状とに大別されます。
<圧迫による症状>
腫瘍が大きくなって視神経や視神経交叉部を圧迫することにより、視力や視野(見える範囲)に障害が生じます。ホルモン非分泌性腺腫では、腫瘍の圧迫によりホルモンの産生が障害され(下垂体機能低下症)、男性では体毛が薄くなり、性欲低下や勃起不全などの性機能障害が、また女性では月経不順が見られます。抗利尿ホルモンの産生が障害されると、尿の濃度がうまく調節されず、薄い尿が大量に出る症状(尿崩症)が起こります。
<ホルモン産生の変化による症状>
プロラクチン産生腺腫…
女性では乳汁分泌と月経不順が見られます。男性では性欲低下や勃起不全などの性機能障害が見られます。
成長ホルモン産生腺腫…
手足の先端や、額、あご、唇、舌などに肥大が見られます。成長ホルモンの異常分泌が長期間続くと、糖尿病や高血圧などを合併しやすくなります。副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫(クッシング病)顔が丸くなり、手足に比べ胸や腹部が太ってきます。にきびができやすくなり、体毛が濃くなります。高い割合で高血圧や糖尿病を合併します。
治療…
ほかの脳付随器から生じる腫瘍と同様に手術を主体とし、残存腫瘍に対しては放射線治療が行われますが、成長ホルモン産生腺腫に対しては、ホルモン類似薬による治療も有効です。手術で腫瘍を切除するとホルモンの産生が障害されるので、治療後、不可欠なホルモンについては、その欠乏の程度により補充療法を行います。なおプラクチン産生腺腫に対しては、最近では手術しないで内服薬で治療することが可能になってきました。
・神経鞘腫
脳から出る神経は、それぞれ頭蓋骨を通り抜けて、目や耳、下など頭部の各部分につながっていますが、これらの神経を取り巻いて支えている鞘のような組織(神経鞘)から生じる腫瘍を神経鞘腫といいます。聴神経に生じることが最も多く、次いで三叉神経などに生じます。
・頭蓋咽頭腫
下垂体と視神経の近くに生じる先天性腫瘍の一種で、小児に多く見られる腫瘍ですが、大人でも発症することが知られています。腫瘍が大きくなると、腫瘍のすぐ近くにある視神経や視神経交叉部を圧迫するため、視力や視野の障害が起こりやすいです。また、下垂体や視床下部の圧迫により、ホルモンの産生が低下し、月経不順や性機能障害、尿崩症、甲状腺機能低下などが起こります。治療後に下垂体ホルモンが不足する場合は、ホルモンの補充が必要になります。

転移性脳腫瘍

肺がんや乳がん、大腸がんなど、ほかの臓器で生じたがんが血液の流れによって脳に運ばれ、そこでふえることによって腫瘍が発生することがあります。これを転移性脳腫瘍といいます。頭蓋内圧亢進症状や局所症状など、腫瘍の大きさや位置によって症状は異なります。治療方法は転移のもととなったがんの状態、全身状態、転移した脳腫瘍の数と大きさ、分布などによって決定されます。それぞれの患者さんの状況に合わせて、手術治療と放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)などを組み合わせた治療が行われます。

脳腫瘍の生存率

脳腫瘍の生存率は以下のようになります。

●グレード2
グレード2の星細胞腫は生存期間中央値7~8年で5年生存率50~70%といわれています。また、乏突起神経膠腫は生存期間中央値11.6年、5年生存率約70%といわれています。
●グレード3
グレード3の退形成星細胞腫は、発症からの生存期間中央値は2.5年で、5年生存率も20%程度とグレード2と比較すると、生存期間中央値、5年生存率ともに悪くなります。また、退形成乏突起神経膠腫では2年生存率は57%、5年生存率も33%となるものの、染色体の欠失による遺伝的要因が強い場合は生存期間中央値7年と、予後が比較的良好となることが特徴です。
●グレード4
グレード4の膠芽腫は最も生存率が悪く、膠芽腫の発症からの生存期間中央値は約1年程度、2年生存率30%以下、5年生存率8%以下と、最も低くなります。

脳腫瘍の治療法

手術(外科療法)

<特徴>

がん病巣を手術で除去する療法で、原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除きます。がんそのものを外科手術で除去する局所療法です。がんの治療法として最も基本的な治療法です。

手術療法は全摘出、亜全摘出、部分摘出に分類されます。また、腫瘍が多発していて摘出が困難である場合や、画像診断での判別が難しい場合など、確定診断目的で小さく開頭して腫瘍の一部を取り出すという手術が行われることがあります。

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抗がん剤(化学療法)

<特徴>

化学物質(抗がん剤)を利用してがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。
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放射線療法

<特徴>
腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。

脳腫瘍による放射線療法には標準的放射線治療と定位放射線照射の2種類があります。

標準放射線治療とはX線を発生させる装置を用いて、1週間あたり数日の治療を、数週間単位にわけて行います。

一方の定位放射線照射は、標準放射線治療よりも細い放射線治療ビームを、腫瘍に集中的に照射する方法です。このうち、「定位手術的照射」と呼ばれる照射方法は、別名ガンマナイフと呼ばれます。

● ガンマナイフ
放射線を小さな範囲に集中させて、照射する方法です。複数の放射線を照射する装置の「目標部位」が正確に一致するよう、装置の位置を決めて固定し、1回で大量の放射線を照射します。
適応病変としては、大きさが直径30mm以内です。適応疾患は
● 良性の腫瘍
● 転移性脳腫瘍
● 原発性悪性脳腫瘍の中でも手術困難な脳深部の腫瘍
● 多発性で手術治療が困難な場合
● 脳の機能的に「重要部位」であり、手術操作などで重大な機能障害が起きると予想される危険な部位
● 合併症や高齢などで全身麻酔が困難
● 標準放射線治療が適応外となる小児
● 手術でとりきれなかった腫瘍
● 治療後の再発
などがあります。症例によって、この治療が第一選択とならない場合や、他の治療法と組み合わせて行うこともあります。
ガンマナイフでは、コバルト線源が半円球状に配列され、細いビームが一点に集中するように作られており、患者さんは特殊な装置に頭をはめ、しっかりと固定した上で照射を行います。
原則は1回照射となりますが、腫瘍の大きさや部位によっては、複数回行うこともあります。
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免疫細胞療法

<特徴>

身体の免疫を担う本人の細胞を体外で大量に数を増やし、機能を増強あるいは付加した上で体内に戻して行われる治療法です。上記の三大治療法に対して、近年注目されてきている、副作用がほとんど確認されていない先進的ながん治療法で、目に見えないがんや転移防止に有効な全身療法です。
がんに対する抗がん剤などの積極的な治療は行わず、症状などを和らげる治療に徹する
ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)の選択肢の一つです。
免疫療法は副作用が少ないため、症状の緩和やQOLを高めることにつながります。
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<論文紹介>

活性化自己リンパ球を施行した再々発神経膠芽腫の1乳児例.
小児がん第43巻第1号:50-54,2006

本報告の対象は、神経膠芽腫術後の生後2ヶ月の乳児である。治療には、活性化自己リンパ球が用いられた症例である。患児は、生後12か月目から活性化自己リンパ球の投与を開始し、生後3歳6か月の時点で無病生存しており、また重篤な副作用も認められていない。

陽子線治療

<特徴>

通常のX線の放射線治療ではがん局部の周囲の正常な細胞も傷つけてしまいますが、陽子線治療はがん局部だけを照射して周囲の正常な 細胞が傷つくことをより抑えることができます。また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療です。1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。
陽子線治療についてもっと詳しく見る

重粒子線治療

<特徴>

陽子線治療と比べて、さらにがん局部を集中的に治療が可能となります。がん細胞の殺傷効果は陽子線治療の2~3倍大きくなります。進行したがんは低酸素領域がありますが、このようながんでも治療が可能です。また、X線では治療が難しい深部にあるがんの治療も可能です。治療は1日1 回、週3~5回行い、合計1~40回程度繰り返します。平均では3週間程度の治療になります。1回当たり、20~30分程度の治療時間になります。
重粒子線治療についてもっと詳しく見る

脳腫瘍の予後

脳腫瘍の予後は、生命予後と機能予後に分けて考えられます。グレードが低いものほど生命予後も機能予後も良好であり、手術により全摘出できれば、永久治癒が可能な場合があります。また、グレード4の神経膠芽腫の場合は浸潤性発育のため、肉眼的に全摘出が行えていたとしても、再発や腫瘍による死は避けられないものと言われています。

術後1年の相対生存率は
● 原発性脳腫瘍は89.5%
● 転移性脳腫瘍で38.6%
● 全脳腫瘍で81.4%とされています。

また、生存期間の中央値は
● 星状細胞腫で5~10年
● 退形成星状細胞腫で1~4年
● 膠芽腫で1 年ほどとされています。
進行性、浸潤性の腫瘍である場合は、生命予後だけではなく、機能予後も悪くなり、言語障害や麻痺などが出現します。

脳腫瘍の再発・転移

脳腫瘍は、播種といって「髄液や脳を覆っている膜に腫瘍が伝わり脊髄に広がる」ということはありますが、他臓器への転移は滅多に見られないとされています。

脳腫瘍の手術を行っても、摘出が不完全であれば再発する可能性は十分にあります。また、脳腫瘍のあった部位で再発しなくても、他の部位のがんが脳に転移してくることで、脳腫瘍が再発してしまうこともあります。

また、脳腫瘍の中でもグレードの低いグレード2であり、手術で全摘出できた場合でも、半数が5年以内に再発するとの報告もあります。この再発率は乳がんと近しいともいわれています。

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