腎細胞癌とは|症状や検査、治療、ステージなど

腎細胞癌について、特徴・分類・症状・検査方法・病期(ステージ)・生存率・治療法など様々な観点から解説します。

目次


腎細胞がんとは

腎臓は、背骨の両側のちょうど腰の高さのところに左右1つずつあるソラマメのような形をした臓器です。腎臓にできるがんには、成人に発生する腎細胞がんと腎盂がん、小児に発生するウィルムス腫瘍があります。まれながんとして肉腫があります。ここでは腎細胞がん(以下、腎がんと呼ぶ)について説明します。

腎臓には、血液によって運ばれてきた体内の老廃物をこして、不要なものを尿として排泄する働きがあります。その他、血圧をコントロールするホルモンや血液をふやすホルモンをつくったり、ビタミンの働きを活発にする機能があります。

腎臓には尿細管という細い管があり、ここでは糸球体という細い血管でつくられた尿のもとから水分やさまざまな物質を吸収したり老廃物を排泄したりして尿をつくります。腎がんは、この尿細管の中に発生したがんです。

これに対して腎臓でつくられた尿が流れる通路(腎盂)をおおっている粘膜からできるがんもあります。同じ腎臓からできるがんですが、腎盂がんといわれ、ここで説明している腎がんとはがんの性質も治療法もまったく異なります。

腎がんもかかる率(罹患率)は50歳代後半以降に増加しはじめる傾向にあり、男性に多いがんです。発生の危険因子として、肥満、高血圧、喫煙などが明らかになっています。また透析を受けている方では、腎がんの罹患率が高いと考えられています。

がんが小さいうちは症状はあまりなく、大きくなるにつれてさまざまな症状がみられるようになります。腎がんに特徴的な症状としては、血尿、腹部のしこり、わき腹の痛みがあります。全身的な症状としては、食欲不振、体重減少、貧血、発熱などがみられることもあります。まれに、腎がんによってつくられる物質によって、赤血球増多症や高血圧、高カルシウム血症などが合併することもあります。腎がんは、静脈の中にがんが広がりやすい傾向があります。ただし最近では、検診などで症状のない腎がんが発見される機会が多くを占めるようになっています。

腎がんは、早期に発見されれば手術での完治も可能です。症状が続くときはもちろんですが、症状がなくても検診等で腎臓の「おでき」を指摘されたときには早めに受診することが腎がんの早期発見につながります。

腎細胞がんの検査と診断

腎がんが疑われると、超音波検査やCTなどの画像検査を行います。痛みや苦痛がほとんどなく、外来でできます。

超音波(エコー)検査
腎がんの診断は、まず腹部の超音波検査によるスクリーニングを行うのが一般的です。超音波診断装置を使って腎臓の中をみることで、がんと血管の位置がよくわかります。偶然発見された腎がんの多くが、超音波検査によるものです。腎嚢胞や、良性腫瘍である腎血管筋脂肪種との鑑別診断にも有用です。
腹部CT、MRI検査
CTは、Ⅹ線を使って体の内部(横断面)を描き出し、腹部の断層画像が得られるため、腎がんの確定診断がほぼ可能です。他のがんでは針で組織をとる生検を行って診断を確定することが多いですが、腎がんの場合は、腫瘍に針を刺すとがんを周囲にまき散らしたり転移する危険があるので、針生検は通常、行わないです。
静脈ががんでふさがっているか、リンパ節転移がないかなどもCTで診断できます。
腎がんにはとくにダイナミックCTが有用です。造影剤を静脈から急速に注入することで短時間にたくさんの画像を得てがんの結構状態などを見る撮影法で、がんの発見・鑑別に大きな力を発揮します。
CTで腎がんが確定できなかったり他の病気との区別が困難なときにはMRIを行うことがあります。また、腎静脈や下大静脈ががんでふさがっていることが疑われた場合は、補助的にMRIを施行してその範囲を確認します。MRIは磁気を使って体の内部を描き出します。CTやMRIで造影剤を使用する場合、アレルギーが起こることがあるので、以前に造影剤のアレルギーの経験のある人は医師に申し出る必要があります。
胸部X線撮影/骨CT、骨シンチグラム
胸部X線写真や肺CTによって肺転移がないかどうかを、またアイソトープを用いた骨シンチグラムで骨転移の有無を確認することがあります。

腎細胞がんの病期(ステージ)

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉で、英語をそのまま用いてステージともいいます。説明などでは、「ステージ」という言葉が使われることが多いです。病期には、ローマ数字が使われ、Ⅰ期~Ⅳ期に分けられます。病期はがんの大きさや周辺の組織のどこまで広がっているか、リンパ節や他の臓器への転移があるかどうかで決まります。

腎がんではTNM分類に基づいて、病気を判定します。(T:原発腫瘍primary Tumorの頭文字)(N:所属リンパ節regional lymphNodesの頭文字)(M:遠隔転移 distant Metastasisの頭文字)

T、N、Mはさらにいくつかにわけられます。これをTNM分類と呼びます。

参考のために「腎癌取扱い規約(第3版)」に掲載されているTMN分類を示します。

~腎がんの病期分類~
T1a
腎がんの直径が4㎝以下で腎臓にとどまっている
T1b
腎がんの直径が4㎝~7㎝で腎臓にとどまっている
T2
腎がんの直径が7㎝以上で腎臓にとどまっている
T3a
腎がんが副腎または周囲の脂肪組織まで及んでいる
T3b
腎がんが腎静脈または横隔膜の下の下大静脈に広がっている
T3c
腎がんが横隔膜を越える下大静脈内に広がっている
T4
腎がんがゲロタ筋膜を越えて広がっている(ゲロタ筋膜:腎臓をおおっているいちばん外側の膜)
N0
所属リンパ節への転移はない
N1
所属リンパ節に1ヵ所転移あり
N2
所属リンパ節に2ヵ所以上転移あり
M0
遠隔転移はない
M1
遠隔転移がある

転移と広がりの程度の組み合わせで病期がきまる。

腎細胞がんの治療法

手術(外科療法)

<特徴>

がん病巣を手術で除去する療法で、原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除きます。がんそのものを外科手術で除去する局所療法です。がんの治療法として最も基本的な治療法です。
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抗がん剤(化学療法)

<特徴>

化学物質(抗がん剤)を利用してがん細胞の増殖を抑え、がん細胞を破壊する治療法です。全身のがん細胞を攻撃・破壊し、体のどこにがん細胞があっても攻撃することができる全身療法です。
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免疫細胞療法

<特徴>

身体の免疫を担う本人の細胞を体外で大量に数を増やし、機能を増強あるいは付加した上で体内に戻して行われる治療法です。上記の三大治療法に対して、近年注目されてきている、副作用がほとんど確認されていない先進的ながん治療法で、目に見えないがんや転移防止に有効な全身療法です。
がんに対する抗がん剤などの積極的な治療は行わず、症状などを和らげる治療に徹する
ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)の選択肢の一つです。
免疫療法は副作用が少ないため、症状の緩和やQOLを高めることにつながります。
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放射線療法

<特徴>

腫瘍の成長を遅らせるために、あるいは縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存が出来ますまた、がんの局所療法であるため、全身的な影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法です。
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陽子線治療

<特徴>

通常のX線の放射線治療ではがん局部の周囲の正常な細胞も傷つけてしまいますが、陽子線治療はがん局部だけを照射して周囲の正常な 細胞が傷つくことをより抑えることができます。また、痛みもほとんどなく、1日15~30分程度のため、身体への負担が少ない治療です。1日1回、週 3~5回行い、合計4~40回程度繰り返します。
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重粒子線治療

<特徴>

陽子線治療と比べて、さらにがん局部を集中的に治療が可能となります。がん細胞の殺傷効果は陽子線治療の2~3倍大きくなります。 進行したがんは低酸素領域がありますが、このようながんでも治療が可能です。また、X線では治療が難しい深部にあるがんの治療も可能です。治療は1日1 回、週3~5回行い、合計1~40回程度繰り返します。平均では3週間程度の治療になります。1回当たり、20~30分程度の治療時間になります。
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