PET-CT検査

PET-CT検査は、がん治療で使われる最先端の画像診断装置を使った検査のことです。がんの早期発見や転移したがんの確認、人間ドックなどで使われています。PET-CTという名前の通り、ポジトロン断層撮影装置(PET、Positron Emission Tomography)とコンピューター断層撮影装置(CT、Computed Tomography)を組み合わせた機器です。PET-CTは、PETとCTの良いところを合わせた画期的な検査機器といえます。

目次


PET-CT検査とは?

PET-CT検査を知るには、まずはPETとCTのそれぞれの特徴を知っておく必要があります。

PETとは

PETは核医学検査のひとつで、微量の放射線を放出する18F-FDGという放射性薬剤を患者に投与して、特殊なカメラで全身を撮影する装置です。放射性薬剤には18F-FDG以外にも11C-メチオニンや11C-コリンなどもありますが、18F-FDGを使ったFDG-PET検査が一般的になっています。

18F-FDGは放射線を放出する以外に、ブドウ糖に似た性質を持ちます。がん細胞はとても活発で増殖をするため、通常の正常細胞より3~8倍(多い場合は20倍)ものブドウ糖を消費します。そのため、患者に投与した18F-FDGが、がん細胞に多く集まります。

PETの特殊カメラはがん細胞に集まった18F-FDGが放出する放射線をとらえることができます。PETで撮影した画像は、18F-FDGが光っているように見えるので、18F-FDGが集まっているところにがん細胞があると分かるのです。

PETは画像の鮮明度が低いという欠点がありますが、PET-CTはこの欠点を補っています。

PETはがん検査だけでなく、てんかんや心不全などの検査でも使われています。

CTとは

CTはX線を使って身体の断面を撮影する装置です。断面写真を何枚も撮影することで、身体の内部を画像にします。CTは人の体の形態を正確に画像にすることが得意な検査機器です。よってCTは、がん細胞がある正確な位置や、がんの形を正確に描写することができます。

ただし、CTは全身に散らばったがんを把握するのが苦手です。例えばがん細胞がリンパ節に転移して広がった場合は、CTでは正確な検出が難しくなります。PET-CTはCTのこのような欠点を補っています。

PET-CTとは

PETは、がんの存在をかなり高い確度で把握し、CTは、がんの正確な位置とがんの正確な形を描写します。この2つの長所がドッキングしたことから、PET-CT検査は「PETとCTの良いところを合わせた画期的な検査」と呼ばれているのです。

PET-CT検査のメリット:わかること

PET-CT検査には、従来の画像診断装置にはない、さまざまなメリットがあります。

がんの早期発見が得意

PET-CT検査は、1センチ前後の小さながんを見つけることができます。がんの早期発見が得意な検査といえます。

全身検査で転移や再発したがんを見つけるのが得意

PET-CTは一度の撮影で全身を診ることができるという特長があります。従来の画像診断機器は全身に散らばったがんを見つけることが苦手でしたが、PET-CT検査では、転移がんの全身分布を把握することができます。これは「がんの見落とし」が少なくなるメリットがあります。

悪性度と活動性を把握するのが得意

PET-CTで撮影した画像は、18F-FDGが多く集まっている場所ほど光が強く見えます。その光の強弱によりがんの悪性度や活動性が分かります。

がんの活動性の低下が分かると、抗がん剤治療や放射線治療の効果を判定することができます。また、がんには小さくても悪性度の高いがんがあります。PET-CTなら悪性度が分かるので、例えば「小さくても危険」ということが推測できます。このような情報は、外科医が手術で切除する範囲を検討するときに役立ちます。

細胞を調べることができない脳腫瘍の診断で活躍

脳腫瘍が疑われても、簡単には細胞を採取して調べることができません。しかしPET-CTを使えば、脳腫瘍であっても悪性度が分かるので、治療方針が立てやすくなります。

脳腫瘍を検査する場合は、18F-FDGの代わりに11Cメチオニンというアミノ酸の一種を患者に投与することがあります。11Cメチオニンは正常な脳細胞には集まらず、脳腫瘍にだけ集まるからです。11CメチオニンによるPET-CT検査を行えば、手術で切除する範囲を定めることなどができます。

造影剤を使わないのでアレルギーがある人も安心

一般的なCT検査では造影剤を使うことがあるのですが、患者によっては造影剤にアレルギー反応を起こす方もいます。しかし、PET-CTでは造影剤を使わないので、アレルギーがある方でも安心して検査を受けることができます。

PET-CT検査のデメリット

患者や一般の人の中には、PET-CT検査を「どのようながんでも早期発見できる」「がんの存在を完璧に把握できる」と理解している方もいると思いますが、デメリットも存在します。

18F-FDGが集まりにくいがんの検出は苦手

PET-CTのデメリットは、18F-FDGが集まりにくい胃がん、肝臓がん、肺がんなどを見つけにくいことです。胃がんの早期発見では、胃内視鏡検査のほうが優れているとする医師もいます。また、がんの大きさが5ミリ以下の小さいものだと検出できる確率が落ちてしまいます。

ただし、胃がんや肝臓がんなどであっても、がん治療を受けた後で転移があるかどうかを調べるときにPET-CT検査を行うことがあります。

肺炎との区別がつきづらい

18F-FDGは炎症を起こしている場所に集まりやすい性質があります。例えばPET-CT検査を受けた人が肺炎を起こしている場合、肺がんとの区別が難しいといった欠点もあります。

PET-CT検査の安全性:副作用・被曝量

PET-CT検査で患者が受ける被曝量は12~16mSvで、これは一般的な健康診断で行われるX線の胃バリウム検査と同程度です。副作用を起こすレベルではありません。また、PET-CT検査を受ける前に投与される放射線を放出する18F-FDGは、翌日には尿と一緒に体の外に排出されるため、18F-FDGによる副作用もほとんどありません。

PET-CT検査の流れ

PET-CT検査を受けるには、検査の5~6時間前から絶食となります。この間、水や緑茶は飲めますが、ジュースなどの糖分を含むものは飲むことができません。 PET-CT検査の2~3時間前に18F-FDGを注射で投与します。18F-FDGを注射した後は約1時間安静にします。体を激しく動かしてしまうと、がん細胞がないにもかかわらず筋肉に18F-FDGが集まってしまうからです。

PET-CT装置の形はCTと似ています。患者は横になってドーナツ型の装置の中に入り、撮影をします。撮影時間は20~40分が目安です。

検査結果は医療機関によって異なりますが、数日~1週間程度で出ます。

PET-CT検査の注意事項

次にPET-CT検査の注意点を紹介します。

糖尿病の方は、体内にがん細胞があってもPET-CT検査でうまくがん細胞が検出できないことがあります。そのため、糖尿病の治療で使っているインスリン投与は一時中断することもあります。糖尿病の方は医師に相談してください。

下剤を使っている方は、検査前日は下剤の服用を控えることになります。

検査前日から検査前まで、ジョギングやゴルフなどの激しい運動はできません。また検査前に大声で話したり、長話をしたりすることもできません。

妊娠中の方や、妊娠の可能性がある方はPET-CT検査を受けることができません。

PET-CT検査に向くがん、向かないがん

PET-CT検査では、次のがんは検出しにくいとされています。
胃がん、腎がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、肝細胞がん、胆道がん、白血病、肺がんの一部。

これら以外の臓器のがんは、PET-CT検査で検出しやすいとされています。

PET-CT検査の料金

PET-CT検査は、早期胃がんを除くすべてのがんで医療保険が適用されます。検査費が10万円だった場合、3割負担の方は3万円で済みます。

保険適用(3割負担)で3万円程度

医療保険を使うには、
・確定診断がついている
・他の検査や画像診断では病期(ステージ)診断や転移、再発の診断が確定できない
という条件をクリアしなければなりません。

例えば「肺がん疑い」の状態のときは、医療保険を使ったPET-CT検査を受けることはできません。

人間ドックのPET-CT検査は10万円程度

医療保険が使えませんが、人間ドックなどでPET-CT検査をオプションでつけることは可能です。

人間ドックの費用は医療機関によって異なるのですが、PET-CT検査は大体1回10万円程度に設定しているところが多いようです。人間ドックは保険非適用ですので、全額患者負担となります。

参考文献

国立がん研究センターがん情報サービス ポジトロンCT(PET)検査Q&A
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/diagnosis/PET.html
国立国際医療研究センター病院 PET-CTとは
http://www.hosp.ncgm.go.jp/s037/010/010/pet.html
国立がん研究センター中央病院 PET-CT検査
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/cancer_screening/kenshinkibo/030/020/150/index.html
仙台厚生病院 PET-CT検査とは
http://www.sendai-kousei-hospital.jp/general/human/pet-ct_inspection.html
新百合ヶ丘総合病院 PETがん検査
http://www.shinyuri-hospital.com/pet/
千葉県がんセンター PET/CT
https://www.pref.chiba.lg.jp/gan/center/service/kiki/pet-ct.html
日本メジフィジックス PET検査のご案内
http://www.nmp.co.jp/public/pet/index.html
済生会西条病院 がん検診 PET-CTとは
http://www.saiseikaisaijo.jp/pet-ct/about_petct/
核医学文献情報研究会 腫瘍のPETイメージングに用いられる放射性薬剤の例
https://www.jrias.or.jp/pet/pdf/kakuigakukennsa_q_and_a_201501.pdf
宮城県立がんセンター PET-CT検査について
http://www.miyagi-pho.jp/mcc/medical/bumon/housyasen/petct.html

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