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更新日:2020/12/24

がんとは -発生・転移メカニズム-

がん細胞と正常細胞

人間の体は約60兆個の細胞からできていると言われています。
がん細胞は、普通の細胞から発生した正常でない=異常な細胞で、がんはこの異常な細胞の塊です。

正常細胞は、体や周囲の状態に応じて、増えたり、増えることをやめたりします。
例.けがをすれば細胞が増殖して傷口を塞(ふさ)ぎます。しかし、傷が治れば増殖を停止します。

対して、がん細胞は、体や周囲の状況を無視して殖え続けます。増え続けるので、どんどん数を増し、周囲の大切な組織を圧迫したり、壊したり、機能障害を引き起こします。

発がん要因

老化による遺伝子の変化 加齢に伴うホルモンバランスの変化、生活環境(ストレス)や環境因子(発がん物質)の蓄積、免疫低下による感染症などによって発がんすると考えられています。

発がんの段階

がん細胞は、正常細胞の遺伝子が2個~10個程度の傷がつくことにより、発生すると言われています。
これらの遺伝子の傷は一度に誘発されるわけではなく、長い間に徐々に誘発されるということもわかっています。
正常細胞ががん細胞に向かってだんだんと進むことから、「多段階発がん」といわれます。

この傷がつく遺伝子は大別して2種類に分けることができます。
・細胞の増殖を促す役割をもつ遺伝子→ 傷が付き常に増殖をさせるようになってしまう。
・細胞の増殖を抑える役割を持つ遺伝子→ 傷が付き常に細胞の増殖を止めないようになってしまう。

がん遺伝子

ある遺伝子に傷がついたときに、細胞の増殖を促し続ける状態になる場合があることが知られています。このような遺伝子は、がん遺伝子と呼ばれています。

がん抑制遺伝子

がん遺伝子が細胞の増殖を促す遺伝子に対して、そのブレーキにあたる遺伝子が、がん抑制遺伝子と呼ばれます。がん抑制遺伝子は細胞の増殖を抑制したり、細胞にアポトーシス(細胞死)を誘導したりする働きをします。

遺伝子の変異

遺伝子の傷はDNAの傷を意味します。
ヒトの細胞の中にはDNAが存在し、そこに遺伝子が暗号として記録されています。遺伝子の変異とは、この遺伝子の暗号が変わることを意味しています。食物の焦げ、紫外線、ストレス等、さまざまな外的要因(発がん要因)が遺伝子の変異を引き起こすことがわかっています。
DNAはG、A、T、Cの4種類の文字で表わされる物質の組み合わせで構成されています。
さまざまな発がん要因により、これらの物質の並び順に間違いが生じると変異が起こります。
がん遺伝子やがん抑制遺伝子を記録したDNAに間違いが生じた場合、がん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活性化が起こります。

がん発生部位

がんは基本的に、すべての臓器、組織に発生すると言われます。
体は、固有の働きを持つ臓器細胞と、それを支持する組織からなります。
がんは、
造血器でできるもの
上皮細胞でできる「癌、癌腫、cancer,carcinoma)」
非上皮性細胞(間質細胞:支持組織を構成する細胞)でできる「肉腫、sarcoma)」
に大きく分類されます

造血器でできるがんの代表的なものは、白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫等があります。
癌腫の代表的なものは、肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、頭頸部のがん(喉頭(こうとう)がん、咽頭(いんとう)がん、舌(ぜつ)がん等)等の「癌」があります。肉腫の代表的なものは、骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫等の「肉腫」があり、発生した組織名と関連付けられています。造血器がんを除くと、ほとんどのがんにおいて塊を形成し増大するので、固形腫瘍(こけいしゅよう)と一括して呼ばれることもあります。

がんの転移

転移(てんい、metastasis)とは、がん細胞が原発病変とは違う場所に到達し、そこで増殖し、同一種類の腫瘍を二次的に生じることをいいます。
転移した細胞は、原発病変のものと同一種となります。乳癌が肺に転移した場合、二次がんは悪性の肺細胞ではなく、悪性の乳腺細胞によって形成されます。がんの転移は早期がんでも血液中にがん細胞が漏れ出ていることも確認されています。

転移の種類

局所転移(local metatasis):原発巣付近に転移するもの
領域転移(regional metatasis):局所リンパ節に転移するもの
遠隔転移(remote metatasis):原発巣より離れた遠隔部位に転移するもの

転移の経路

がん細胞が原発病変と異なる場所に転移する際に通過する経路には以下のパターンがあります。

■リンパ行性転移
リンパ流に沿って移動し、転移するもの。口腔癌では顎下リンパ節、乳癌では腋下リンパ節
■血行性転移
血流に沿って移動し、転移するもの。血管壁の薄い細静脈や毛細血管に侵入し、壁の厚い動脈へは稀である。好発部位としては大量の血液が流れ込む肺や肝臓に多い。
■播種
播種(はしゅ、dissemination)は、腹腔や胸腔といった体腔へ漿膜を突き破って連絡した腫瘍から、がん細胞が体腔内に遊離して他の漿膜面に移植され転移するもの。癌性の腹膜炎や胸膜炎が発生することが多い。

がん(悪性腫瘍)の特徴

自律性増殖能をもつ

がん細胞は正常な全身的な新陳代謝のバランス無視して、自律的に勝手に増殖を続ける。浸潤と転移をするがん細胞が発生部位周囲にしみ出るように広がる(浸潤)とともに、体のあちこちに散らばり(転移)し、次から次へと新しいがん組織を作り上げる。

悪液質(あくえきしつ)を起こす

がん組織は、他の正常組織が摂取しようとする栄養を取ってしまい、体を衰弱させる。

対して良性腫瘍は自律性増殖能を有しますが、「浸潤と転移」、「悪液質」を起こすことがないものです。増殖のスピードも、悪性腫瘍に比べると比較的ゆっくりです。臨床的には、圧迫症状を来すことがあります。代表的な良性腫瘍は、子宮筋腫、卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)、皮様嚢腫(ひようのうしゅ)等があります。ただし、良性腫瘍の中でも脳腫瘍のように発生部位によっては重篤(じゅうとく)な臨床経過を来すものもあります。

がん悪液質についてもっと詳しく見る

腫瘍による症状の一例

腫瘍を形成されることによって起こる症状には様々なものがあります。

局所的な症状

■圧迫症状
脳腫瘍 頭蓋内圧亢進→頭痛、嘔吐 脳幹圧迫→呼吸停止
胆道系のがん 胆汁うっ滞→黄疸
消化管のがん 内部狭窄、通過障害→嘔吐、食欲不振、便秘、腸閉塞
尿路系のがん 尿路狭窄→水腎症
■局所破壊症状
血管 血管浸潤→出血(下血、喀血、血尿、腹腔内出血など)
神経 神経浸潤→疼痛
消化管 消化管穿孔→腹膜炎
その他 脳腫瘍の中枢神経症状(麻痺、意識障害) 膵臓がんの糖尿病 肝臓がんの肝機能障害など
■免疫抑制状態
細菌およびウイルス等による感染症
■ホルモン過剰産生状態
ホルモンを過剰産生による症状 →高血圧 高カルシウム血症 糖尿病 など

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