更新日:2026/08/06
がんと癌の違い
「がん」という言葉は、文字にすると「がん」と「癌」の2つの表記があります。声に出すとどちらも同じ「がん」ですが、この2つの表記には使い分けがあります。この記事では、「がん」という言葉がもつ意味、細胞の種類による分類、そして「がん」と「癌」の使い分けについて、国立がん研究センターがん情報サービスなどの一次情報にもとづいて解説します。
この記事でわかること
- 「がん」という言葉がもつ意味(悪性腫瘍全体と、癌腫)
- 悪性腫瘍と良性腫瘍の違い(浸潤・転移の有無)
- 発生する細胞による分類(癌腫・肉腫・造血器腫瘍)
- ひらがなの「がん」と漢字の「癌」の使い分け
がんという言葉の意味
「がん(癌)」という言葉は、広い意味では「悪性腫瘍」全体を指します。悪性腫瘍とは、体内にできた細胞のかたまり(腫瘍)のうち、周囲にしみ込むように広がったり(浸潤)、血管などを介して体のあちこちに飛び火して新しいかたまりをつくったり(転移)する性質をもつものをいいます※1。これに対して良性腫瘍は、浸潤や転移をすることがなく、周りの組織を押しのけるようにゆっくりと大きくなります※1。
浸潤とは、がんが発生した場所から周りの組織へ浸み込むように広がっていくことです※3。この「浸潤」と「転移」という性質があるかどうかが、悪性腫瘍と良性腫瘍を分ける大きな違いです。
悪性腫瘍は、かたまりをつくる「固形がん」と、血液の細胞から生じる「血液がん」に大きく分けられ、固形がんはさらに「癌腫(がんしゅ)」と「肉腫(にくしゅ)」に分けられます※1。つまり「がん(癌)」という言葉は、悪性腫瘍全体を指す広い意味でも、固形がんの総称としても、さらに癌腫だけを指す狭い意味でも使われることがあるのです。
どの細胞から発生したがんなのかで分類される
がんは、体のさまざまな組織や臓器から発生します※2。癌腫と肉腫は、がんが発生する細胞の種類によって分類されます。
| 分類 | 発生する細胞 | 代表例 |
|---|---|---|
| 癌腫 | 上皮細胞(体の表面や臓器などを覆う細胞) | 大腸癌・肺癌・胃癌・乳癌・前立腺癌・膵臓癌・肝細胞癌 |
| 肉腫 | 骨・筋肉・脂肪組織などの非上皮細胞 | 骨肉腫・軟骨肉腫・脂肪肉腫・未分化多形肉腫・粘液線維肉腫・平滑筋肉腫 |
| 造血器腫瘍 | 血液・骨髄・リンパ節内の細胞 | 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫 |
上皮細胞から発生するものを癌腫、骨や筋肉などの非上皮細胞から発生するものを肉腫といいます※1。米国国立がん研究所(NCI)も、体の内外の表面を覆う上皮細胞から生じるがんを癌腫(carcinoma)、骨や筋肉・脂肪・血管などの組織から生じるがんを肉腫(sarcoma)、骨髄の造血組織から生じるがんを白血病(leukemia)と説明しています(海外の情報)※2。
また、血液がん(造血器腫瘍)には白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などがあり、血液・骨髄・リンパ節の中の細胞から発生します※1。同じ臓器に生じたがんでも、どの種類の細胞から発生したかによって、癌腫・肉腫・造血器腫瘍のいずれにもなりうるということです。
がんと癌の使い分け
ここまで見てきたように、「がん」も「癌」も広い意味では同じく悪性腫瘍を指す言葉です。そのうえで、がん情報サービスは、ひらがなの「がん」は悪性腫瘍全体を指し、漢字の「癌」は上皮細胞から発生する悪性腫瘍(癌腫)に限って使う、という使い分けを紹介しています。ただし、特に区別しないこともあるとされています※1。
たとえば、体全体のさまざまな悪性腫瘍をまとめて表すときには、ひらがなで「がん」と書きます。一方、肝細胞癌のように上皮細胞から生じる癌腫を医学用語として表すときには、漢字の「癌」が使われます。文章のなかで「がん」全体を指しているのか、それとも癌腫を指しているのかに注目すると、表記の使い分けの意味が読み取りやすくなります。なお、すべてを「癌」と表記しても誤りではなく、区別しない立場もあります※1。
よくある質問
Q.「がん」と「癌」はまったく違うものですか?
A. 別の病気を指すわけではありません。広い意味ではどちらも悪性腫瘍を指します。使い分けをする場合は、ひらがなの「がん」を悪性腫瘍全体に、漢字の「癌」を上皮細胞から発生する癌腫に用いることが多いとされています。ただし特に区別しないこともあります※1。
Q. 白血病も「がん」ですか?
A. はい。白血病は血液・骨髄・リンパ節の細胞から発生する造血器腫瘍(血液がん)で、悪性腫瘍の一つです※1。上皮細胞から発生する癌腫ではないため、漢字の「癌」ではなく、ひらがなで「がん(白血病)」と表されます。
Q. 悪性腫瘍と良性腫瘍はどう違いますか?
A. 悪性腫瘍は周囲へしみ込むように広がったり(浸潤)、離れた場所へ飛び火したり(転移)する性質をもちます。良性腫瘍は浸潤や転移をせず、周りの組織を押しのけるようにゆっくりと大きくなります※1。
本記事は2026年8月7日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。がんの発生や分類のしくみはがんとは -発生・転移メカニズム-でもくわしく解説しています。
参考資料
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がんという病気について」(最終確認日: 2026年8月7日)
- NCI「What Is Cancer?」(最終確認日: 2026年8月7日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス 用語集「浸潤」(最終確認日: 2026年8月7日)


















