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がんの発症リスクを高める「発がん性物質」に要注意!

更新日: 2019/06/24

日本人の死因第一位はがんです。日本人の2人に1人は一生のうちに一度はがんを発症するとされており、がんは私たちにとって非常に身近な病気です。
しかし、がんと言えば、「治療を行ったとしても再発や転移を繰り返す」、「発見が遅れると手術などの積極的な治療ができずに死に至る」といったネガティブなイメージを持っている人が多いのではないでしょうか?
そんな身近で恐ろしいがんの発症を促す化学物質として注目されている「発がん性物質」。今回は、世の中に多く存在する発がん性物質について詳しく解説します。

目次


発がん性物質の概要

なぜがんを発症するのか?

そもそもなぜヒトはがんを発症するのでしょうか?がんは全身の様々な部位に発症し、それぞれ名前も異なります。しかし、そのほとんどの発症メカニズムは共通していると考えられています。
がんは、何らかの原因によって細胞の複製に必要な遺伝子にダメージが加わることで発症します。遺伝子が傷つくことで、ヒトの体では異常な細胞が形成されます。異常な細胞の多くは免疫の力で体外に排除されますが、なかには異常増殖を引き起こすものもあります。これががんの正体です。そして、異常増殖したがん細胞は塊になって「腫瘍」を形成し、周辺の正常な細胞や組織を侵食するようにどんどん増大していき、血管やリンパ管などに入り込むと「腫瘍」から離れた部位に「転移」を引き起こすのです。

発がん性物質とは?

発がん性物質とは、がんの発症を促す化学物質や化学物質の複合体、ウイルスなどのことです。
がんは上述のように遺伝子へのダメージが生じることで引き起こされる病気ですが、地球上にはヒトの遺伝子を傷つけ、がんの発生率を上昇される化学物質が多数存在します。
現在、発がん性物質考えられているものには、実際に長年の調査から暴露されると明らかにがんの発症率が上昇すると証明されたもの、動物実験などから発がん性が認められたものなどがあります。
もちろん、明らかにがんの発生率を上昇させることがわかっているものもあれば、動物実験のみで発がん性が認められたもののヒトへの効果は証明できていないものもあります。しかし、後者の場合でもヒトへの影響が完全にないことが証明されない限り、通常は発がん性物質と考えられ、使用の禁止や制限が行われたり、使用の注意喚起がなされています。
では、現在、発がん性物質と考えられているものにはどのようなものがあるのでしょうか?

発がん性物質の種類~国際がん研究機関(IARC)の分類~

現在、発がん性が認められているものの種類は多岐に渡ります。しかし、それぞれがんを発症するリスクは異なり、暴露されれば明らかにがんの発症率が急上昇するもの、発がん性に関して十分な証明がなされていないものなど様々です。
世界保健機関(WHO)の一機関である国際がん研究機関(IARC)
では発がん原因や発がん状況などの研究がなされており、発がん性物質のメカニズムの解明も行われています。国際がん研究機関(IARC)は数多く存在する発がん性物質やがん発症に関与する環境などをヒトに対する発がん性があるかどうかの「根拠の強さ」によって5段階に分類しています。この分類は国際的に広く用いられており、とくに「根拠の強さ」が高い発がん性物質や環境には適切な対応が必要となります。
では、国際がん研究機関(IARC)による発がん性分類について詳しく見てみましょう。

分類の見方とは?

国際がん研究機関はヒトへの発がん性に対する「根拠の強さ」によって、発がん性があると考えられている物質や環境を分類しています。具体的には、グループ1、2A、2B,3、4に分類し、2017年6月現在では約1000もの物質が挙げられています。
それぞれのグループは次の条件に当てはまるものが含まれています。

・グループ1:
ヒトに対する発がん性が明らかに証明されているもの
・グループ2A:
ヒトに対しておそらく発がん性があると考えられるもの
(動物実験では確実な発がん性が証明されたものの、ヒトに関しては限られた証明しかなされていない)
・グループ2B:
ヒトに対しての発がん性を指摘されているもの
(動物実験では明確な発がん性は立証されていないがヒトへの発がん性は限られた証明がなされている、動物実験では十分な発がん性が証明されているがヒトへの証明が十分でない)
・グループ3:
ヒトに対する発がん性はあるとは言えないもの
(動物実験では発がん性が示唆されるがヒトへの発がん性は不十分な証明しかなされていない)

それぞれのグループには含まれる発がん性物質

国際がん研究機関の発がん性分類グループ1~4の各段階にはそれぞれ次のようなものが含まれています。

・グループ1
 120種類の化学物質、混合物、環境要因が含まれています。
 代表的に化学物質には、アスベスト、ベンゼン、カドミウム、塩化ビニルポリマーなどの物質や肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ピロリ菌などの感染症、放射線の暴露などが挙げられます。また、混合物にはアルコールやハム・ベーコンなどの加工肉、たばこ、環境要因には紫外線を発する日焼けマシーン、塗装職人など有害物質に暴露されやすい職業などがあります。
 このように、グループ1には一般的にもがん発症の原因として知られているものが多く含まれています。

・グループ2A
 81種類のものが含まれていますが、様々研究を重ね、グループ2Bからより「根拠の強い」グループ2Aへ繰り上がったものも多々あります。  代表的なものでは、アクリルアミド、クロロトルエンなどの化学物質、紫外線、赤肉などが挙げられます。

・グループ2B
 299種類のものが含まれています。今後も研究が進むことで、タイプ2Aやタイプ1に繰り上げるものもある可能性があり、さらなる解明が期待されています。
 代表的なものでは、アセトアルデヒド、アクリルニトリル、クロロホルムなどの化学物質、ガソリン、重油などの混合物、わらび、低周波地場、大工、ドライクリーニング業者などの職業が挙げられます。

・グループ3
 502種類のものが含まれ、全てのグループの中で最多です。ヒト、動物問わず発がん性が十分に証明されたわけではありませんが、必要以上の暴露は避けたいところです。
 代表的なものでは、塩酸、次亜塩素酸塩、水銀などの化学物質、コーヒーや茶、軽油などの混合物、ペンキ業者や製紙業などの職業などが挙げられます。また、どのグループにも分類できない心臓ペースメーカーや豊胸用シリコンなど医療用インプラントもグループ3に含まれています。

発がん性物質はどんながん発症を促す?

発がん性物質によって引き起こされるがんが最もできやすい臓器は肺です。次いで、鼻腔や喉頭、膀胱などにも発症しやすいとされています。
発がん性物質は吸い込んだり、口にしたり、皮膚に触れたりすることで体内に取り込まれます。このため、発がん性物質が最初に暴露される部位である肺、鼻、のど、発がん性物質の排泄に関わる膀胱などに発症しやすいと考えられているのです。



発がん性物質~食品編~

発がん性物質は、私たちが口にする機会のある食品にも含まれていることがあります。
食品を通して私たちが晒される発がん性物質には大きく分けて2つのタイプがあります。1つは「単独の食品そのものが発がん性を有するもの」、もう一方が「食品に含まれる物質に発がん性があるもの」です。
では、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?

食品そのものが発がん性を有するもの

世界がん研究基金の発表によると、明らかにがんの発症に関与していることが証明されている食品は少なく、国際がん研究機関(IARC)による発がん性分類でグループ1に含まれるのは加工肉、アルコール、グループ2Aに含まれるのは赤肉などが挙げられます。
また、発がん性の可能性が大きいと考えられている食品としては、塩蔵食品、マテ茶などが挙げられます。
しかし、これらの食品は少量でも口にすればがんを発症するというわけではありません。神経質になりすぎず、毎日毎食ごとにメニューに加えるなど極端な過剰摂取を控えるようにしましょう。

食品に含まれる物質に発がん性があるもの

私たちが日ごろ口にしている食品には、様々な種類の農薬、食品添加物、汚染物質などが含まれています。その中には、国際がん研究機関(IARC)による発がん性物質の分類でグループ1~2Bに含まれるものが多々あります。
このタイプには更に2つのタイプがあり、「少量でも摂取するとがん発症リスクが高まるもの」、「ある一定量を摂取しない限りがん発症リスクは高まらないもの」に分けられます。
前者のタイプには、発がん性が高いダイオキシンを含有するCNPやPCP、残留性有機汚染物質(POPs)であるDDTやリンデンなどが挙げられますが、これらの物質は農林水産省によって販売が禁止されており、一般市場に出回ることはまずありません。
一方、後者のタイプは即座に使用や販売が禁止されることは少なく、遺伝性毒性試験・反復投与毒性試験、発がん性試験など様々な研究を重ねて、毎日摂取しても健康被害を引き起こさない量=無毒性量(NOAEL)を求め、一日摂取許容量(ADI)が決定されます。それに合わせて食品に含まれる発がん性物質の残留基準値が設定され、発がん性物質を含む食品は市場に出回る前に厳重なチェックを受けることになるため、基本的には口にしたとしてもそれを原因とした発がんはないと考えられているのです。

食品の摂り方にも要注意

食品の中には発がん性を高めるものがあります。しかし、加工肉や赤肉、アルコール類などを除いて市場に出回っている食品の多くは、発がん性を高めることはほとんどありません。
しかし、食品はその取り方にも注意しなければならず、誤った摂り方をしていると食品自体に発がん性がなくてもがん発症リスクを高めてしまう場合があります。
世界がん研究基金によると、食道がん、膵臓がん、肝臓がん、大腸がん、乳がん、子宮体がん、腎臓がんなど全身の様々ながんの発症リスクを確実の上昇させる要因として「肥満」が挙げられています。
肥満の原因は多々ありますが、高カロリーのものを好んで食べることも大きな要因の一つです。一方、食物繊維を多く含む食品や果物はがん発症リスクを下げる可能性が指摘されています。
このように、がん発症のリスクを低減させるためには肥満にならないよう食生活に注意し、野菜や果物を多く摂ることが大切であると考えられるのです。

発がん性物質~職業編~

国際がん研究機関(IARC)による発がん性物質の分類でもあるように、長年にわたってある特定の物質に暴露されることでがんを発症しやすくなるものがあります。 とくに、職業上連日長時間にわたる有害物質の曝露を避けられない人々が特定のがんを発症しやすくなることがあり、それらを「職業性がん」と呼びます。
国際がん研究機関(IARC)による発がん性分類においても、グループ1にはアルミニウム精錬従事、オーラミン製造従事、コークス製造従事、靴製造従事など様々な職業が挙げられています。
また、所謂「職業病」として種々のがんを発症するリスクを高める約30種類もの薬剤や金属、化学物質などが労働基準法で明記されています。

新たに指摘された職業性がん

職業性がんを引き起こす物質や環境などは以前から様々な研究が行われており、2016年時点では健康被害を引き起こす可能性がある物資が640種類も特定されています。その中で発がん性がある物質は1%程度にしか満たないとされていますが、それら発がん性物質の規制や定期的な健康診断の徹底などが行われることで、特定の職業に就くとある種のがん発症率が大幅に上昇するなどということはほとんどなくなっています。
しかし、現在、世界に存在する化学物質は約1億5000万種にも上り、年間1000万個の物質が新たに誕生しているとされています。このため、人体への危険性がよくわかっていない物質も多々あるのが現状であり、発がん性のある物質が広く使用されている可能性もあります。 近年の事例を挙げると、2014年には塩素系の有機洗浄剤を多く使用する印刷業者の胆管がんの発症率が多職種より極めて高いことが報告され、大きな社会問題となりました。
調査の結果、塩素系の有機洗浄剤に含まれるジクロロプロパンに発がん性があることが疑われました。
そして、2016年には体内に入り込んだジクロロプロパンは肝臓で代謝される段階である種の発がん性物質を産生し、それが胆汁中に分泌されることで胆管がんを発症しやすくなとの仮説が東京大学の豊田豊特任教授らの研究チームによって提唱されています。
また、この仮説はジクロロプロパンに限らず肝臓で代謝される様々な有害物質に足しても当てはめることができ、胆管がんの発症や悪化のメカニズムを解明する鍵になることが期待されています。

まとめ

世の中には様々な発がん性物資が存在しており、種々のがんを引き起こすことがわかっています。がんは遺伝子がダメージを受けることによって生じる病気であり、その最も大きな原因は「加齢」です。「加齢」は誰もが通る道であり、決して避けることはできません。
しかし、その他の要因を少しでも軽減することでがん発症リスクを抑えることができます。
特に、ここで挙げられているような発がん性が極めて高い物質の過剰摂取は控えることが大切です。しかし、日々新たな物質が生まれる昨今においては思わぬ物質に発がん性があり、知らず知らずのうちに曝露を重ねてしまったというケースも少なくありません。
がんは早期発見・早期治療が非常に大切です。どのような職業・環境にあったとしても一年に一度は健康診断を受けて体の状態をチェックするようにしましょう。

参考文献

国立がん研究センターがん情報サービス 知っておきたいがんの基礎知識
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/knowledge/basic.html
国立がん研究センターがん情報サービス がんの発生要因
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/factor.html
厚生労働省 e-ヘルスネット 発がん性物質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-041.html
農林水産省 国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/iarc.html
農林水産省 農薬の販売・使用の禁止
http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_kinsi/
IARC MONOGRAPHS ON THE IDENTIFICATION OF CARCINOGENIC HAZARDS TO HUMANS
https://monographs.iarc.fr/agents-classified-by-the-iarc/
内閣府 食品安全委員会事務局 発がん性がある化学物質を含む食品の安全性について
https://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/33gou/33gou_8.pdf
厚生労働省 職業病リスト
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/syokugyoubyou/list.html
東京大学 職業性胆管がんと関連する、発がん性の候補物質を発見 発がん性の候補物質は胆汁に排泄されていた
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/a_00493.html

執筆者 成田 亜希子  医師


2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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