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更新日:2021/05/29

親子で考える「がん」予習ノート

『親子で考える「がん」予習ノート』書評

著者名:一石 英一郎(国際医療福祉大学病院 内科学 教授)
出版社:KADOKAWA
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日本では毎年約100万人が新たにがんと診断されています。患者さんを支える家族や友人も含めると日本人のほぼ全ての人が何らかの形でがんに関与しているといわれています。このような背景の基、2020年から国内全ての小学校で「がん授業」が取り入れられることになりました。2021年からは中学校、2022年からは高校でがん教育がはじまる予定になっているとのこと。がんは誰がかかってもおかしくない病気です。人生100年時代を迎えた現代の子どもたちにとっては将来罹患するリスクが高い病気であることに違いありません。

著者は現役医師である一石英一郎氏。がんとはどのようなものなか。その診断や治療はどのように決まるのか。がんの常識やこれからのがん治療などについて、本著にはがんに関するあらゆる情報が盛り込まれています。

なぜ今がん教育なのか?

第一章のテーマは、「正しく早く知ることでがんは9割治る」です。著者の一石医師によると、がんの原因となるのは生活習慣や遺伝的要因、細菌やウィルスの感染によるものであることがわかっているとのこと。ひとつの要因だけでがんになることもあれば、いくつかの要因が複数重なった時に発症することもあるそうです。

がん細胞が1センチ程度の大きさになるのにかかる年数は10~20年。1センチというのは、がん検診で発見される大きさです。それ以降もがんは加速度を速めて増殖し、1〜2年で2センチ程度となり、やがて自覚症状が出てくるようになるとのことです。

何故、いま子どもたちにがん教育を行う必要があるのか?がんは科学的に証明された方法を実践することで防ぐことができるため、それらについて教えることが重要なことだと一石氏は述べています。

必要なことは、がんになりにくい生活習慣を心がけることとがん検診を受けることの大切さを伝えること。特に、がん検診については受診率が低いのが現状で、目標受診率50%に対して、有効性が示されている5種類のがん検診(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮がん)はいずれも50%を下回っているのが現状なのだといいます。

今の子どもたちは100歳以上生きることが想定されるため、日々の暮らしの中で子どもたちがどのようにがんに向き合えばいいのか示すこと。そして、早い時期から健康について学ぶ必要があるのだと一石医師は強調しています。

意外と知らないがんの常識

同著には、知っているようで知らないがんの常識についても触れられています。この章を読むと、意外に勘違いしていることが多いことに気づかされます。例えば、がんは遺伝するといわれていますが、同じ遺伝子を持っている双子が同じ病気になったとしても、その40%は環境によるものなのだといいます。がんによる遺伝は、思った以上に低いことがわかります。つまり、がんの遺伝子を持っていたとしても、それを刺激しないような生活を送ることで遺伝子が変異する可能性は低くなるということです。

また、興味深かったのは大腸がんの話です。大腸がんによる死亡者数は、この50年で7.5倍になりました。そんな大腸がんですが、右にできた場合と左にできた場合で、悪性度に違いがあるといいます。最初にできたがんが大腸の右側(盲腸、上行結腸)にある場合は、左側(下行結腸、S状結腸、直腸)にある場合より、重篤になりやすいのだそうです。

大腸がんの発生部位は、左側が7割を占めているそうですが、できた部位によって、発見のしやすさも異なるとのこと。便が液状の状態にある右側は発見されにくく、固形状態にある左側では腸閉塞などが起こることで発見されやすいのだそうです。大腸がんの左右差については、以前から研究も行われていたそうですが、最近では遺伝子レベルでの研究が進み、新たな展開が広がっているとのことです。

がんにならない生活習慣を

がん治療においては早期発見が重要ですが、それ以上に大切なことはがんにならない生活習慣を整えることです。同著6章には、がんにならない方法についてまとめられています。研究などの結果から、現段階では、禁煙、節酒、食生活、身体活動、適正体重の維持、感染の6つが重要であることがわかっています。例えば、たばこはがんのリスクを高めることが科学的にも立証されています。しかし、それでもやめられないという人もいるはずです。そんな場合は、たばこ以外のところでがんばってみるというのも一つの方法だといいます。

たばこ以外には肥満もリスク要因のひとつです。適正体重を守るためには、その数値を知ることが必要となります。同著の中にはその指標となるBMIの計算方法も載っています。BMIとは、適正体重のことで、日本肥満学会の判定基準では「BMI18.5以上25未満」とされています。

がんは昔と違って治る病気となりました。根治が難しい場合でもがんとの共存が可能な時代となりました。以前のように恐れる病気ではないこと。がんを正しく知ること。子どもの頃から生活習慣を整えることで、将来がんになるリスクを減らすことができることなど、子どもたちへの大切なメッセージが詰まった一冊です。

執筆者 美奈川由紀 看護師・メディカルライター

国立療養所南福岡病院(現・国立病院機構福岡病院)附属看護学校卒業。看護師
看護師の経験を活かし、医療記事を中心に執筆
西日本新聞、週刊朝日、がんナビ、時事メディカルなどに記事を執筆
著書に「マンモグラフィってなに?乳がんが気になるあなたへ」(日本評論社)がある

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