更新日:2022/05/15
ラジエーションハウス 2巻
病気は正確な診断ができてはじめて適切な治療を行うことができます。病院を受診すると、主治医から病状や治療方針を聞くことがほとんどですが、どのような治療を行うのか決めるためには、病状を正確に判断することが求められます。その判断の基本となるのがレントゲンをはじめとする放射線などを用いた検査です。
同著は放射線技師を主人公にしたストーリーで、テレビドラマ化されたマンガの原作本です。診断というとても重要な役割を果たしている現場で繰り広げられる出来事が主人公を通して描かれています。
見えないものをみる
本著の主人公は診療放射線技師の五十嵐唯織28歳。放射線技師とは、レントゲンやCTといった放射線を用いた検査を行う専門職のこと。病気の診断には欠かせない重要な職種のひとつです。
連載の第2話では、唯織が前の職場を解雇された日の帰りに河原で出会った写真家の男性菊島が、甘春病院に入院してきたところから始まります。河原で唯織は彼から星の写真を見せてもらいます。肉眼ではみえないといわれている5等星でしたが、唯織は難なくモニターに写っている5等星をみつけることができたのです。頭痛を訴えている菊島に唯織は言葉をかけます。「頭痛を甘くみないで。病院に行ってくださいね」と。
ボリビアでの写真
写真家の菊島が病室にいるのに気づいた唯織は、また星の写真をみせてもらいます。そこにはボリビアのウユニ塩湖で撮影したという星が写っていました。雨季の限られた一時期だけにみられるという光景。そこにも肉眼では見えない星が写っていました。昨年久しぶりに訪れたという菊島は、撮影にあたっては現地に泊まり、現地の人と同じ食事を摂り、地元に溶け込んだと語ります。そんな菊島が気がかりになっていることは、近く結婚するという娘からウユニ塩湖でふたりの写真を撮ってほしいといわれ、撮影を約束したことでした。MRI検査を受けたものの、銀歯による金属のアーチファクトにより病巣が写らないということを聞いた唯織は、自分に撮らせてほしいと申し出ます。
患者の全体像をとらえる
早速、画像のプログラミングの設定を変更する唯織。隣にいる同僚は「勝手にそんなことして大丈夫か」と不安げな様子です。唯織がパソコンで画像処理をしている最中、菊島は激しい頭痛を訴えていました。読影室では甘春医師たちが治療方針について意見を交わしています。菊島は以前脳動脈瘤手術でクリッピングの既往があるため、再破裂したのではないか。そうであればすぐに処置をしなければなりません。しかし、診断の要となる画像はアーチファクトで正確な診断を下すことが出来ません。診断を迫られる放射線科医の甘春医師は造影剤を使うことを決断します。造影剤を使うと重篤な副作用が出るかもしれません。それでも命にかかわる脳動脈瘤の再破裂治療を優先したのでした。
MRIは磁石の磁場を使って撮影する検査装置。唯織は、臨床で用いる画像とは違う隠された画像といわれる位相画像の描写を試みます。これは通常であれば使われることもなく捨てられてしまう画像とのこと。しかし、元の画像の欠けた部分を補正できるもの。そしてようやく唯織は隠れた画像の描写に成功します。手術室では菊島のオペが始まろうとしていました。そんな時、唯織の元にやってきたのが医師の鏑木でした。そこには脳動脈瘤の再破裂とは別の画像が描写されていたのです。
患者を診るとはどういうことか。画像だけでなく、患者の全体像を注意深く観察することの大切さを伝えてくれる内容です。
執筆者 美奈川由紀 看護師・メディカルライター
看護師の経験を活かし、医療記事を中心に執筆
西日本新聞、週刊朝日、がんナビ、時事メディカルなどに記事を執筆
著書に「マンモグラフィってなに?乳がんが気になるあなたへ」(日本評論社)がある
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