更新日:2024/05/10
がんのタイプ分けなどのゲノム医療分野の課題を世界最高精度で解く、説明可能なAI技術を開発
富士通株式会社は、がんのタイプ分けや病気の判定支援など、ゲノム医療分野の課題を解決するため、世界最高精度かつ説明可能なAI技術を開発しました。このAI技術は、複数の異なる形式のデータを統合し、高精度な判断や推定を行うことができます。
開発されたAI技術は、テキストや画像、数値などのデータをナレッジグラフとして抽象化し、自動的に統合・学習します。肺がんのタイプ分けや乳がん患者の生存期間予測など、医療分野の課題に対しても高い精度を実現しました。特に肺がんのタイプ分けでは、病理画像情報に基づいて要因を説明し、高精度な判定支援を行うことが可能です。
さらに、絵画や写真などの画像データに対しても高精度な判定を行う技術も開発されました。この技術は、対象物の描かれ方が異なる画像の特徴量を統合し、画像の内容を正確に判定することができます。これにより、病理画像などの学習データが不足している場合でも、ゲノム情報と組み合わせて高精度な判断を行うことが可能です。
今後は、マルチモーダル技術を医療分野だけでなく、様々な領域に適用するための研究開発を進めていきます。また、富士通株式会社は開発した様々な先端技術を試せる環境である「Fujitsu Research Portal」で、2024年度中にこれらの技術を公開する予定です。
このAI技術は、複数の異なるデータ形式や観点を統合して判断を行うことができるため、個別のデータ形式に特化したAIと比べて、より幅広い場面での活用が期待されます。医療分野では、検査数値情報や画像情報、ゲノム情報など、複数のデータを統合して分析することで、より正確な判断が可能です。今回の開発により、異なる分野やデータ形式を統合して学習させることが可能となりました。
富士通株式会社は、今後もマルチモーダル技術を研究開発し、医療分野をはじめとするさまざまな領域での活用を目指していきます。
(Medister編集部 2024年5月10日)
<参考資料>
富士通株式会社 がんのタイプ分けなどのゲノム医療分野の課題を世界最高精度で解く、説明可能なAI技術を開発