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更新日:2026/08/10

がんのリスクを減らす可能性がある食品

「これを食べればがんを防げる」という食品を探している方は少なくありません。しかし、特定の食品を食べることでがんを予防できる、いわゆる「がんと戦う食品」は存在しません。国立がん研究センターも、生活習慣の改善で必ずがんを予防できるわけではないとしたうえで、がんに関わる生活習慣を知り見直すことの大切さを示しています※1。

この記事では、何か一つの食品ではなく「食生活全体」に目を向け、国立がん研究センターの科学的根拠に基づくがん予防法と、国際がん研究機関(IARC)の評価をもとに、がんのリスクと食べ物の関係を整理します。持病があり食事に配慮が必要な方や治療中の方は、自己判断せず主治医や管理栄養士に相談してください。

この記事でわかること

  • 特定の食品でがんを予防することはできず、食生活全体を整えることが大切
  • 野菜と果物をとることは、食道がんのリスクをほぼ確実に下げると評価されている
  • 健康的な体重を保つことがリスク低下につながり、やせすぎにも注意が必要
  • 塩分の多い食事・加工肉や赤肉のとりすぎ・熱い飲食物・飲酒はリスクを高める
  • 飲酒は2026年の改訂で「飲まないことが望ましい」に見直された

がんと戦う食品はあるのか

結論からいえば、「これさえ食べればがんにならない」という食品や、がんの進行を止める食品は存在しません。国立がん研究センターは、生活習慣の改善は「がんになるリスクを減らす」ものであって、予防を保証するものではないと明示しています※1。大切なのは、単一の食品に頼ることではなく、食生活全体を整えることです。

科学的根拠に基づくがん予防法(食生活の3つの柱)

国立がん研究センターは、日本人を対象とした研究にもとづく「日本人のためのがん予防法」を示しています。これは「たばこ」「お酒」「食生活」「身体活動」「体重」「感染」の6つで構成され、このうち食生活については、①食塩をひかえる、②野菜と果物が不足しないようにする、③熱い飲み物や食べ物は冷ましてからとる、の3つが挙げられています※2。がん研究振興財団の「がんを防ぐための新12か条」でも、バランスのとれた食生活・塩辛い食品は控えめに・野菜や果物は不足にならないように、が食に関する項目として示されています※3。

野菜と果物の位置づけ

野菜と果物については、とることで食道がんのリスクが「ほぼ確実に減少する」と評価されています※1。日本人男性を対象とした多目的コホート研究(JPHC研究)では、野菜・果物の摂取量が1日100g増えるごとに食道がんのリスクが約10%低下する関連がみられました※9。ただし、これは食道がんに関する評価であり、あらゆるがんを確実に防ぐという意味ではありません。国立がん研究センターは、野菜を1日350g以上、果物を1日200g程度とることを目標として示しています※2。特定の「スーパーフード」に偏るのではなく、いろいろな食品を組み合わせてとることが基本です。

がんのリスクと食生活を対比した図。左のリスクを下げる工夫は、野菜と果物を十分にとる・塩分をひかえる・熱い飲食物は冷ます・健康的な体重を保つ。右のあわせて控えたいことは、塩分の多い食事・熱いままの飲食物・飲酒・食べすぎ。
がんのリスクは一つの食品ではなく、食生活全体で考えます。

体重管理に役立つ健康的な食品リストを作ろう

「がんと戦う食品リスト」よりも大切なのは、健康的な体重を保つ食生活です。国立がん研究センターは、がん予防の観点から目標とする体格指数(BMI)を、男女とも21〜25の範囲としています(2026年5月の改訂で男性の上限が27から25に見直されました)※4。

体重とがんの関係

肥満は、閉経後の乳がんや肝がんのリスクを確実に高め、大腸がんや子宮内膜がんのリスクをほぼ確実に高めると評価されています※1。一方で、日本人ではやせている人も少なくありません。BMIが21を下回る男性では、がん全体の発生率がやや高くなる傾向も報告されており、「やせすぎ」にも注意が必要です※1。国立がん研究センターの推計では、体重過多に起因するがんは日本のがん全体の0.7%(2015年)とされ、食道・胃・大腸・肝臓・膵臓・乳房・子宮内膜・腎臓など幅広い部位が関連するとされています※5。

体重管理の考え方

体重管理は、特定の食品を足したり抜いたりすることではなく、食べる量と内容のバランスを整えることが基本です。野菜と果物を取り入れ、塩分や食べすぎを避け、こまめに体を動かすことが、無理のない体重管理につながります。食事と栄養の工夫はがんと食事・栄養について、体を動かすことについてはがんと運動についてもあわせてご覧ください。

がんのリスクを高める食品

リスクを下げる工夫と同時に、リスクを高めることが知られている食品や習慣を減らすことも大切です。

塩分の多い食事・塩蔵食品

塩分の多い食事は、胃がんのリスクを男女ともにほぼ確実に高めると評価されています※1。とくに塩辛や練りうになど塩分濃度の高い食品を多くとる人ほどリスクが高まることが、JPHC研究で示されています※10。国立がん研究センターは、食塩の摂取量の目標を男性7.5g未満・女性6.5g未満(1日あたり)としています※2。

熱い飲み物・食べ物

IARC(国際がん研究機関)は2016年に、65℃以上の非常に熱い飲み物を「グループ2A(おそらく発がん性がある)」に分類しました。対象となるがんは食道がんで、問題は飲み物の種類ではなく「温度」とされています※6。熱い飲み物や食べ物は、冷ましてからとることがすすめられています※2。

加工肉・赤肉

IARCは2015年に、ハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉を「グループ1(ヒトに対して発がん性がある)」に、牛・豚などの赤肉を「グループ2A(おそらく発がん性がある)」に分類しました。いずれも主に大腸がんとの関連が示されており、加工肉は毎日50gとるごとに大腸がんのリスクが約18%高くなると推計されています※7。ただしIARCは、「グループ1」は科学的な証拠の確からしさを示す分類であり、たばことがんの危険度が同じという意味ではないと注記しています※7。加工肉や赤肉をとりすぎないようにし、魚や鶏肉、豆などのたんぱく源も取り入れてバランスをとることが大切です。

加工肉と赤肉のIARC評価を対比した図。加工肉はグループ1(発がん性がある)で主に大腸がん、毎日50gで約18%増。赤肉はグループ2A(おそらく発がん性がある)で主に大腸がん、100gで約17%増の可能性。
分類は「証拠の確からしさ」を示すもので、危険度の大きさを示すものではありません。

飲酒

飲酒は、肝がん・食道がん・大腸がん・頭頸部がんのリスクを確実に高めると評価されています※1。厚生労働省も、エタノールとその代謝産物であるアセトアルデヒドの両方に発がん性があり、口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸・女性の乳がんの原因になるとしています※8。国立がん研究センターは2026年5月、飲酒に関する推奨を「節酒する」から「飲酒をひかえる」へと見直しました。少量の飲酒でもリスクが上がることが示されたためで、がん予防の観点からは飲まないことが最も望ましいとされています※4。がんの原因や予防全般についてはがん予防、生活習慣のまとめはがん予防12か条も参考にしてください。

よくある質問

Q. 毎日食べればがんを防げる食品はありますか。

A. ありません。特定の食品でがんを予防できるという科学的根拠はなく、大切なのは食生活全体を整えることです※1。野菜と果物を十分にとり、塩分・加工肉や赤肉のとりすぎ・飲酒を控え、健康的な体重を保つことが、リスクを下げることにつながります※2。

Q. 加工肉は「たばこと同じくらい危険」と聞きました。本当ですか。

A. IARCの「グループ1」という分類は、発がん性についての科学的な証拠の確からしさが同じ水準にあることを意味するもので、危険度の大きさが同じという意味ではありません※7。とりすぎに注意しつつ、極端に恐れる必要はありません。

Q. お酒は少量なら問題ないですか。

A. がん予防の観点からは、少量でもリスクが上がることが示されており、飲まないことが最も望ましいとされています※4。飲む場合も量を控えめにすることがすすめられます※8。

本記事は2026年8月11日時点の公的機関の情報および科学的根拠に基づくがん予防法をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針や食事療法を示すものではありません。持病がある方や治療中の方は、食事について必ず主治医や管理栄養士にご相談ください。

参考資料

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「科学的根拠に基づくがん予防法」(最終確認日: 2026年8月11日)
  2. 国立がん研究センター がん対策研究所「日本人のためのがん予防法(5+1)」(2026年5月26日改訂)(最終確認日: 2026年8月11日)
  3. 公益財団法人がん研究振興財団「がんを防ぐための新12か条」(最終確認日: 2026年8月11日)
  4. 国立がん研究センター プレスリリース「『科学的根拠に基づくがん予防法5+1』をより伝わりやすく刷新」(2026年6月3日)(最終確認日: 2026年8月11日)
  5. 国立がん研究センター がん対策研究所「体重過多と運動不足に起因するがんの割合」(最終確認日: 2026年8月11日)
  6. 農林水産省「国際がん研究機関(IARC)によるコーヒー、マテ茶及び非常に熱い飲料の発がん性分類評価について」(最終確認日: 2026年8月11日)
  7. World Health Organization「Cancer: Carcinogenicity of the consumption of red and processed meat」(2015年)(最終確認日: 2026年8月11日)
  8. 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールとがん」(最終確認日: 2026年8月11日)
  9. 国立がん研究センター がん対策研究所 JPHC研究「野菜・果物摂取と扁平上皮細胞由来食道がんとの関連について」(最終確認日: 2026年8月11日)
  10. 国立がん研究センター がん対策研究所 JPHC研究「食塩・塩蔵食品摂取と胃がんとの関連について」(最終確認日: 2026年8月11日)

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