更新日:2026/08/10
アピアランスケア
がんの治療では、脱毛や肌・爪の変化、手術のあとなど、さまざまな外見の変化が起こることがあります。「人にどう見られるか気になる」「自分らしさが失われた気がする」——そうしたつらさを和らげ、その人らしい生活を支えるのがアピアランスケアです。
この記事では、アピアランスケアとは何か、その目的と具体的な方法、相談できる窓口を、国立がん研究センター アピアランス支援センターと、がん情報サービスのT1情報をもとに整理します。外見の変化の感じ方や必要な支援は人によって異なります。ひとりで抱え込まず、主治医や看護師、相談窓口に相談することが大切です。
この記事でわかること
- アピアランスケアとは、外見の変化に起因する苦痛を和らげ、その人らしい生活を支えるケア
- 目的は「外見を美しくする」ことではなく、苦痛を軽くしその人らしい生活を支えること
- 方法には「整容的な支援(見た目の手当て)」と「心理社会的な支援」の両面がある
- ウィッグは必ずしも必要ではなく、気にならなければそのまま過ごしてよい
- がん相談支援センターで無料で相談でき、自治体の助成制度がある場合もある
アピアランスケアとは
アピアランスケアとは、広く一般には「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」と表現されています※1。国立がん研究センター中央病院のアピアランス支援センターは、脱毛や肌・爪の変化、手術のあと、部分的な欠損など、がんやその治療による外見の変化に対して、多職種のチームで支援するアプローチと位置づけています※1。
がんは身近な病気になっています。2023年に新たにがんと診断されたのは993,469例(約99万人)で、生涯のうちにがんと診断される確率は男性61.1%、女性50.1%と、男女ともおよそ2人に1人です※2。治療をしながら通院し、仕事や社会生活を続ける方も増えました。人と接する機会が多いほど外見を意識する場面も増えるため、アピアランスケアの大切さが広く知られるようになっています。
アピアランスケアの目的
アピアランスケアは、外見が変わっても安心して自分らしく生活を送れるよう支えるケアです※3。目的は、外見を美しくすることそのものではありません。外見が変化したときのつらさの本質は、変わった部分そのものよりも、「自分らしさが失われたように感じる」「周囲からどう思われるか気になる」といった、自分らしさや他者との関係にかかわる部分にあります。アピアランスケアは、こうした苦痛を和らげ、その人らしい生活を支えることを目的としています※1。
大切なのは、治療を始める前の姿に戻すことではないという点です。治療前と同じ姿でなくても、自分らしさを感じられ、周囲が気にならずに過ごせればよいのです。外見の変化が気にならない方は、そのまま生活しても問題ありません※3。
アピアランスケアの方法
アピアランスケアは、その定義にあるとおり、整容的な支援(見た目そのものへの手当て)と、心理社会的な支援(気持ちや人との関わりを支えること)の両面から行われます※1。
見た目への手当て(整容的な支援)
脱毛にはウィッグ・帽子・スカーフを使ったり、眉やまつ毛をメイクで描き足したりします。肌の色素沈着はファンデーションやコンシーラーでカバーでき、爪の変化にはネイルカラーで保護する方法があります。手術のあとは衣服や医療用テープでカバーするなど、必要に応じて皮膚科・形成外科とも連携しながら対応します※3。ただし、脱毛に必ずウィッグを使う必要はありません※3。抗がん剤による脱毛は投与後1〜3週間ごろから始まり、治療が終わると再び生えはじめ、数か月かけて回復していくことが多いとされています※4。ウィッグは公的医療保険の対象外で費用は自己負担となりますが、自治体によっては購入費の助成制度があります※4。脱毛への対処はがん治療と脱毛で詳しく解説しています。
気持ち・関わりへの支援(心理社会的な支援)
もう一つは、外見の変化にともなう気持ちや、人との関わりを支える面です。外見が変わっても安心して自分らしく生活を送れるよう支えることがアピアランスケアの目的であり※3、「自分らしさ」は場面によって違ってよく、外見以外の部分でも自分らしさは表せます。外見が変わっても以前と同じように人と関われていると感じられるよう、病気や外見の変化をどう伝えるかを一緒に考えるなどの支援もあります。治療と仕事の両立については仕事とがん治療、気持ちのつらさについてはがんの不安もあわせてご覧ください。
どこに相談できるか
外見の悩みは、ひとりで抱え込む必要はありません。全国のがん診療連携拠点病院などに設置されたがん相談支援センターでは、その病院にかかっていない方でも無料で、治療や療養生活、外見の変化などについて相談できます※5。相談したい窓口は、がん情報サービスのウェブサイトから探すことができます※5。また、ウィッグや胸部補整具の購入費を助成する自治体もあります。助成の内容は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村やがん相談支援センターに確認してみましょう※3。
よくある質問
Q. アピアランスケアは、必ずウィッグを使うのですか。
A. いいえ。ウィッグは選択肢の一つで、必ず使う必要はありません※3。帽子やスカーフ、メイクなど、自分に合った方法を選べます。外見の変化が気にならない方は、そのまま過ごしても問題ありません※3。
Q. 外見のことで相談したいのですが、費用はかかりますか。
A. 全国のがん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターでは、無料で相談できます※5。ウィッグなどの購入費については、自治体の助成制度が使える場合があります※3。
Q. アピアランスケアの目的は、見た目をきれいにすることですか。
A. 見た目を整えることも方法の一つですが、目的は外見の変化による苦痛を和らげ、その人らしく過ごせるように支えることです※1。治療前の姿に戻すことが目的ではありません※3。
本記事は2026年8月11日時点の公的機関の情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。外見の変化やケアについては、主治医や看護師、がん相談支援センターなどにご相談ください。
参考資料
- 国立がん研究センター中央病院 アピアランス支援センター「アピアランス(外見)ケアとは?」(最終確認日: 2026年8月11日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」(2023年 全国がん登録)(最終確認日: 2026年8月11日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「アピアランスケア:がんの治療による外見の変化とケア」(最終確認日: 2026年8月11日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「脱毛」(最終確認日: 2026年8月11日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん相談支援センターとは」(最終確認日: 2026年8月11日)





















