がんの痛みについて
がん痛み
がんの疼痛
痛みは、急性痛と慢性痛に分かれます。
急性痛の場合は、痛み自体が警告反応であり、また痛みが経過を示すパラメータの一つ(診断価値)になるため、診断が確定するまではできるかぎり除痛を行わないことが望ましいと言われていました。
しかし、近年においては、診断の発達とともに、診断や治療の妨げとなる疼痛を除去することで最大限の効果を期待する考えが浸透していています。
慢性痛の場合は、診断的価値もなく、慢性痛自体が、患者の様々な障害となりうる。そのため疼痛の制御が重要となります。
がん痛みの原因
がんの進行に伴う身体的痛み
- 内臓器官へのがん浸潤による痛み
- 一般に、消化管や泌尿器・生殖器に原発した初期がんは痛みを伴わないことが多いが、進行すると痛みが生じるようになります。
- ・がんが後腹膜腔に拡がると、痛みが出る。
- ・胃、腸、胆道、尿管、子宮、膀胱などの管腔臓器にがん組織が浸潤して、内容物の通過を妨げると、痛みが現れる。
消化器のがんの痛み 食道がん/胃がん/大腸がん/肝がん/膵がん
- 【食道がんの痛み】
- ・がんの初期、食べ物を飲み込んだ時に胸の奥がチクチクしたり、熱いものを飲み込んだ時しみるような痛みが出ます。
(がんが大きくなると感じなくなる時があります。) - ・がんが増大すると、食道の内側が狭くなり、食べ物がつかえます。この時に痛みが出ます。
- ・がんが拡大し、食道の壁を貫くと、肺や背骨、大動脈を圧迫し、胸の奥や背中に痛が出ます。
- ・がんが進行し、気管、気管支、肺へ及ぶと、咳、血痰と共に痛みが出ます
- 【胃がんの痛み】
- ・胃がんが進行し、管腔が狭窄すると、通過障害を引き起こし、痛みを生じます。
(幽門部に発生したがんは狭窄をきたしやすい。) - ・痛みの中で、最も多いのが、みぞおちを中心とした心窩部の痛みです。
- 【大腸がんの痛み】
- ・大腸がんは進行する際、まず内腔に向かって増殖するので、痛みはなかなか出ないとされています。
(集団検診で、大腸がんが発見された患者の3大自覚症状:1. 便秘がち、2. 便が細くなった、3. 痔。腹痛は少ない。 ) - ・直腸がんが潰瘍化し、二次感染を起こすと、炎症の痛みが出ます。
- ・がんが増大し、通過障害が起こると、イレウスとなり、腹痛が出ます。
- ・がんが大腸の外壁に拡がり、骨盤腔内に入り込むと、痛みが出ます。
- 【肝がんの痛み】
- ・肝臓に原発したがんや肝臓に転移したがんによって、右季肋部、心窩部に痛みが出ます。
- ・肝臓にがんが発生して増殖すると、肝臓の被膜が伸のび、被膜にある痛覚受容器を刺激して、鈍い疼く痛みが出ます。
(肝臓全体:腹部上部に痛み、圧迫感、不快感等を感じます。) - ・肝がんが肝表面に拡がると、腹腔内に出血して、痛み出ます。
- ・がん増大による門脈の塞栓症や排便等の腹圧上昇により、肝がんが破裂すると、痛みが出ます。
- 【膵臓がんの痛み】
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- 膵臓原発のがんでは、膵管が徐々に閉塞され急激に膵管の内圧上昇が起こらないため、強い腹痛は起こらないとされています。
- ・がん増大により、膵液の通路となる膵管の内圧が上昇すると痛みが出ます。
- ・膵臓内および膵臓周囲への炎症の影響で、痛みが出ます。
- ・がんが増殖し、後腹膜膜に拡がると、強い上腹部痛あるいは背部痛が現れます。
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- 転移したがんにより、膵液の排泄が滞ることで、膵液に含まれる解酵素が活性化されて、膵臓の分解が促進されます。この影響で、血液成分が血管外に出てることで膵臓が腫れ、心窩部から背部にかけて痛みが出ます。
泌尿器のがんの痛み 腎がん / 膀胱がん
- 【腎がんの痛み】
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- 腎臓に発生したがんが急速に増殖すると、腎臓の被膜が伸び、腰背部、特に肋骨錐体三角部(肋骨と脊柱に囲まれた三角形の部分)に痛みが出ます。
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- 腎臓がん、腎盂・尿管のがんから大量に出血すると、血液が固まって凝血塊となりが尿管を閉塞します。閉塞が急に起こると、尿管結石症のような疝痛発作を生じます。
- 【膀胱がんの痛み】
- ・膀胱にがんが広がると、下腹部に限局した鈍痛が出ます。
- ・膀胱がから大量に出血すると、膀胱内で血液が固まり、痛みが出ます。
乳がんの痛み
- ・がんが炎症を伴わずに乳腺内にとどまっている場合では、痛みは感じることは少ないです。
- ・炎症が乳房内に拡がると、痛みが出ます。
- ・がんが胸郭にまで及んだり、がん組織に潰瘍できたりや感染が発生すると、痛みが出ます。
- ・乳房手術の結果神経損傷により痛みが出ることがあります。
その他
- 【がん組織による血管閉塞】
- ・血管壁にがん組織が及ぶと、びまん性の灼けつく痛みや疼く痛みが出ます。
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- 血管を部分的に閉塞あるいは完全に閉塞すると、うっ血、虚血が現れ、浮腫を招き、結果として痛みが出ます。
頭蓋腔を出る静脈が閉塞すると、頭痛が出ます。
- 【骨転移の痛み】
- ・がんが増大し、骨膜に分布する痛覚受容器を刺激することで痛みが出ます。
- ・進行がんにおいて以下の場合などで胸痛が出ます。
- 【がん組織の末梢神経浸潤による痛み】
- ・がんによる末梢神経や脊髄神経の圧迫、がんの軟部組織への広がりによって痛みが出ます
- ・手術や化学療法・放射線療法などのがん治療の結果、神経損傷による痛みが出ます。
- 【脳内転移】
- ・脳実質そのものは痛みを感じませんが、がんが脳に転移したときなど、痛覚受容器が分布する大血管髄膜で痛みが
痛みの種類
がん患者の持つ痛みには、身体的な疼痛のみならず、社会的、精神的、経済的、霊的な痛み等がありこれらを統合して全人的痛み(total pain)として捉える必要があります。
痛みの評価としては、痛みの質、痛みの量、困りの度合いの評価が重要です。
- 痛みの評価
- 1.疼痛の性質と強さ
- (1)痛みの部位
- (2)痛みの始まりと経時的変化(いつから、頻度、間欠的・持続的、時間経過による痛みの変化)
- (3)痛みの性質と強さ
- (4)痛みに影響する因子(増強因子・緩和因子、痛みと関連する他の症状)
- (5)今までの治療(これまでの治療法とその効果)
- (6)生活への影響(身体機能・社会機能・日常生活・精神状態への影響)
- 2.痛みの原因を診断するために必要な身体所見、画像検査
- (1)神経学的所見
- (2)画像検査所見(CT、MRI、骨シンチグラフィなど)
- (3)精神学的所見
がん性痛は、がん患者にみられる体重減少、食欲不振、呼吸困難などの症状などと密接な関連を持つことが多く、逆に睡眠や休息、人とのコミニケーションなどは、痛みを減少させるとされています。疼痛コントロールは、がんの治療および身体的疼痛を取り除くことが第1優先であるが、それが難しい患者でも、理解し、指示する態度を示すことで痛みを和らげることができる可能性があります。








