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更新日:2019/07/24

がんを抱えて、自分らしく生きたい がんと共に生きた生きた人が緩和ケア医に伝えた10の言葉

『がんを抱えて、自分らしく生きたい がんと共に生きた生きた人が緩和ケア医に伝えた10の言葉』書評

著者名:西 智弘 出版社:PHP研究所
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「がんを抱えて、自分らしく生きたいと願うなら、医師に任せるべきではない」。

こんなことばではじまる同書の著者は、腫瘍内科医であり緩和ケア医である西智弘医師。年間に多いときには4千件の生と死に向き合ってきた著者が読者に伝えたいことのひとつなのだといいます。

本書では実際の症例をあげながら、それぞれの患者さんが選んだ治療法やその背景、その後の経過などについて解説が加えられています。

緩和ケアへの誤解

がんという病気を抱えて生きていくうえで緩和ケアとの関わりはとても大切になりますが、緩和ケアへの誤解は未だに多いようです。

西医師はこんな経験をしたそうです。病棟の患者さんにあいさつに行ったとき、「あんただけには会いたくなかったよ」と言われてみたり、「死に神が来た」と言われてみたり。

しかし一方で、「もう死なせてほしい」といっていた患者さんが緩和ケアチームの看護師や臨床心理士との対話の中で生きる力を取り戻していくこともあったそうです。

いまの緩和ケアのシステムは少し複雑です。たとえば、入院中は緩和ケアが利用できても退院したら外来での継続診療が受けられなかったり、緩和ケア外来が設置されていても治療が終了しなければ受けられない場合や抗がん剤治療中でも受けることができたり、医療機関によって異なるのが現状です。また、病院によって緩和ケアに対する考え方が違っていたり、マンパワー不足のためにシステムを構築できなかったり、事情はさまざまのようです。

それでも緩和ケアを希望してほしいと西医師は強調します。本人の意向を無視した抗がん剤治療や適切な鎮痛剤が使われないことによる苦痛。緩和ケア病棟に移ってきて数時間での死。緩和ケアを早い段階から取り入れられなかったばかりに、「こんなはずではなかった」と言いながら旅立った方も少なくないのだそうです。

がんを抱えて生きる患者さんにとって緩和ケアチームは心強い味方といえるでしょう。

緩和ケアができること

緩和ケアのスタッフは共に人生を考えるパートナーですが、生き方を教えたり導いたりするということではありません。話し相手になったり、患者さんの背中を押して傍らを歩いたりする存在です。大切なことは、決めるまでの道のりを、これらのスタッフとともに歩んでいくことだといいます。

医師の役割は患者さんを導くのではなく患者自身が自分の足で歩けるように支えること。その邪魔をしないことだと西医師は強調しています。

緩和ケアができることは、患者さんの人生が平穏な時はその思いを支え、下り坂になった時にはそのスピードを弛めること。もし「死にたい」と思っている患者さんがいれば、そばにいることで死への思いをひとときでも感じないようにできるかも知れません。

また、抗がん剤治療を受ける患者さんには、抗がん剤治療によって延びる時間にどのような意味があるのか考えてほしいと著者は投げかけています。

抗がん剤治療は副作用を伴います。もちろん行ったほうがいいと前置きをした上で、それでも生存期間が延びることに患者さん自身が意味を感じているのかどうかということが重要なのだといいます。時間を延ばすことに意味を感じないのであれば、抗がん剤治療をしない選択だってあっていい、と西医師ははなしています。

ひとことで「がん」といっても、患者さんの背景はさまざまで、これまでの生き方や価値観、家族や友人など患者さんが置かれている環境はひとりとして同じ人はいないでしょう。

必要な医療を自らの手で選んで自立していくこと、自分の生き方に合わせて医療を味方にして歩んでいくこと。同著の中にはそんな生き方の参考となる実例が語られています。

がんを抱えて生き方に迷った時、自分がどう生きたいのか、自分らしい生き方をみつけたい方にお勧めしたい一冊です。

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