更新日:2023/09/09
全ゲノム解析により新たな胃がんの発がん機構を解明
国立研究開発法人国立がん研究センターは、臨床情報が付随した胃がんの大規模な全ゲノム解析により、染色体構造異常の全体像と、染色体外DNAが胃がんの発生に寄与していることを明らかにしました。
・胃がんの新たな発がん機構に注目
国立がん研究センターの研究チームは、170症例の胃がん全ゲノム解読データを用い、染色体の増幅や欠損といった染色体構造異常の全体像を明らかにしました。その結果、胃がんの染色体構造異常には特徴的な6種類のパターンがあることを見出し、また、染色体外DNA(ecDNA)が既知のがん遺伝子の高度増幅を引き起こし、胃がんの発生・進展に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。これにより、がん遺伝子パネル検査による検出では見逃されていた染色体構造異常や染色体外DNAが胃がんの新たな治療標的や分子マーカーとなる可能性があります。
・胃がんの予防・診断・治療開発に期待
染色体外DNAは、がん遺伝子パネル検査では検出できないことから、今後全ゲノム解析を活用した新たな検査法の開発が期待されます。また、本研究成果を基に、胃がんの予防・診断・治療開発の新たな戦略が考えられ、全ゲノム解析の医療現場への活用が期待されます。
・胃がんについて
胃がんは、日本における罹患者数 (2019年)と死亡数 (2021年)がともに3位と上位に位置する対策が極めて重要ながんであり、その予防・診断・治療に向けた研究が強く期待されています。
(Medister編集部 2023年9月6日)
<参考資料>
全ゲノム解析により胃がんの新たな発がん機構を解明


















