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更新日:2021/12/08

がん遺伝子パネル検査データの研究開発利活用が開始

国立研究開発法人国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター(略称: C-CAT)は、保険診療で行われたがん遺伝子パネル検査から得られた遺伝子変化の情報と診断・治療効果・副作用等の臨床経過に関する情報を研究や開発に利活用するの「利活用検索ポータル」の運用を10月4日より開始している。

がん遺伝子パネル検査が保険診療で用いられるようになり、がん細胞のゲノムを調べて、どの遺伝子に変化が起こっているのかを知り、その変化に対応した治療法を選択するがんゲノム医療が本格的に開始されている。

C-CATでは、患者の同意に基づいて、がん遺伝子パネル検査で検出された遺伝子の変化や診療情報を収集している。この収集は、がんゲノム医療中核拠点病院等や検査企業の多大な協力のもと行われ、2021年8月末にはその登録数は2万例を超えている。C-CATは、それぞれの遺伝子の変化に対応して治療効果が期待できる薬剤や治験・臨床試験の情報を「C-CAT調査結果」としてがんゲノム医療中核拠点病院等に返却し、患者の治療法の選択に役立ており、2020年8月末時点の厚生労働省の調査では、がん遺伝子パネル検査によって、既に標準治療が終了した患者の8.1%(607人/7,467人)が、遺伝子の変化に基づく治療を受けたとされている。今後、治療を受けられる患者をさらに増やすためには、遺伝子の変化に基づいた治療開発を一層促進する必要がある。

そこでC-CATでは、がん遺伝子パネル検査で検出される遺伝子の変化と患者の診療情報を、学術研究や医薬品等の開発に役立てるための「利活用検索ポータル」の運用を開始した。

C-CATに自身のデータを登録することに同意した患者の99.7%が、学術研究や医薬品等の開発のために、学術研究機関や企業にご自身のデータを提供すること(二次利活用)に同意を得ている。C-CATの「利活用検索ポータル」では、情報利活用審査会の適正な審査のもと、二次利活用に同意した患者の匿名化されたデータをがん種、遺伝子変化、薬剤名、治療効果などで検索を行い、結果を閲覧することができる。

C-CATの「利活用検索ポータル」を利用することにより、日本人のがんでは、特定の遺伝子変化がどのくらいの頻度で生じているか、遺伝子変化と病態や治療への応答性・有害事象(副作用)に結びつきがあるかなどを調べることができる。また、特定の遺伝子変化を持つがんの患者数を把握することが可能となり、日本人に適した抗がん剤の臨床試験の計画や実施が促進されると期待される。また、登録されている大規模なデータを用いた研究により、新しいがんの診断法や治療法が開発されることも期待される。

C-CAT は、C-CATの「利活用検索ポータル」に集積されたデータの利用を行う機関の名称や課題名等についてホームページで公開する。患者の同意・理解のもと、また、がんゲノム医療中核拠点病院等、検査企業のご協力により集積される貴重なデータが、どのように学術研究や医薬品等の開発のために利活用されているか、情報公開を行っていく。

C-CATの「利活用検索ポータル」に集積されたデータの利活用は、がんの研究・開発を大きく推進するものと考えられる。その結果、日本のがんゲノム医療が進展し、患者に多くの有効な治療法が届くことが期待される。

(Medister 2021年12月8日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース がん遺伝子パネル検査データの研究開発利活用が開始 保険診療で得られたデータを日本のがんゲノム医療の発展に還元

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