更新日:2024/05/11
8K腹腔鏡手術システムによる映像を伝送し遠隔で手術支援を行う 世界初の実証実験で医学的有用性を確認
国立研究開発法人国立がん研究センターと一般財団法人NHK財団が、8Kスーパーハイビジョン技術を用いた腹腔鏡手術システムで手術映像をリアルタイムに送受信し、遠隔で手術支援(指導)を行うことが臨床で有用かを確認するため、大腸がん患者さんを対象とした臨床試験を世界に先駆けて開始しました。
発表のポイント
• 8Kスーパーハイビジョン映像システムで撮影した手術映像をリアルタイムに伝送し、遠隔から手術支援(指導)するシステムについて臨床試験を行います。
• 2021年に行った動物での実証実験の結果、本物に迫る立体感を保持した8Kの映像により遠隔地でも手術状況を詳細に把握でき、遠隔支援(指導)を加えることで、外科医(術者)の内視鏡技術が向上し、手術時間が短縮することを確認しています。
概要
国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)中央病院(病院長:瀬戸泰之、所在地:東京都中央区)と一般財団法人NHK財団(理事長:田中宏曉、所在地:東京都世田谷区)は、日本発の8Kスーパーハイビジョン技術を用いた腹腔鏡手術システムで手術映像をリアルタイムに送受信し、遠隔で手術支援(指導)を行うことが臨床で有用かを確認するため、大腸がん患者さんを対象とした臨床試験を世界に先駆けて開始しました。本試験において本システムでの手術支援の安全性、有用性と、通常外科医3名で行う腹腔鏡手術を1名減らしても質の高い腹腔鏡下直腸切除術が実施できるかどうかを評価します。
本システムは、8K技術ならではの超高精細映像による「本物に迫る立体感」を保持した手術現場の映像を、伝送画質と遅延を最適化した状態で伝えることで、遠隔地においても手術状況を詳細に把握することが可能です。また、8Kカメラに取り付けられた腹腔鏡を、腹腔を俯瞰する位置に半固定して得られる8K映像と、その一部を電子ズームで拡大表示した映像を手術室と遠隔地(支援側)双方の8Kモニタに並べて表示し、リアルタイムにアノテーションと音声で技術指導を行います。本システムは2016年より開発を開始し、2021年には動物を用いた実証実験において、外科医の内視鏡技術の向上と、手術時間の短縮を確認しました。本試験では大腸がん患者さんでの安全性と有用性を評価し、その結果を踏まえ、医療機器としての承認に向けた計画の策定および遠隔手術支援の普及を進めてまいります。
(Medister編集部 2024年5月9日)
<参考資料>
国立がん研究センター 8K腹腔鏡手術システムによる映像を伝送し遠隔で手術指導を行う臨床試験を世界に先駆けて開始