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更新日:2023/06/09

小児・AYA世代難治性がん患者のドラッグアクセスの改善を目指す EZH2阻害薬の患者申出療養制度による医師主導臨床研究開始

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院は、標準治療がないまたは治療抵抗性(難治性)の小児とAYA世代の固形がん患者で、EZH2阻害薬の有効性が期待されると判断された患者を対象にEZH2阻害薬の患者申出療養制度を利用した医師主導臨床研究を2023年4月から開始している。

日本における、19歳以下の固形がんの新規発症は年間1,000人程度、若年成人の20歳から29歳では2,700人程度である。小児やAYA世代の悪性固形がんに対する初発時治療法は、がんの種類によって異なるが、ある程度確立しているものもある。しかし、標準治療がないまたは治療抵抗性である難治性の固形がんの年間患者数は400人程度と極めて少なく、大規模な臨床研究は行われたことがないため治療が確立しておらず、再発時においては、がんの種類に関係なく同じような治療が行われたり、緩和治療を勧めたりなど、治療法の選択肢が限られていた。

患者申出療養は、未承認薬等を迅速に保険外併用療養として使用したいという困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、患者からの申出を起点とし、安全性・有効性等を確認しつつ、できる限り身近な医療機関で受けられるようにする制度である。将来的に保険適用につなげるためのデータ、科学的根拠を集積することを目的としている。

EZH2阻害薬(タゼメトスタット)は、ヒストン等のメチル基転移酵素であるEZH(enhancer of zeste homolog)2の酵素活性に対する阻害作用を有する低分子化合物である。タゼメトスタットは、野生型EZH2及び 変異型EZH2(Y646F等)のメチル化活性を阻害することで、ヒストンH3の27番目のリジン残基等のメチル化を阻害し、細胞周期停止やアポトーシス誘導を生じさせることにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと推測されている。国内では成人の再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)に対して効能又は効果が認められている。米国ではFDAが承認した検査でEZH2変異陽性であり、少なくとも2種類の全身療法を受けた再発・難治性の濾胞性リンパ腫の成人、および十分な代替治療法がない再発または難治性の濾胞性リンパ腫の成人、および16歳以上の完全切除ができない転移性・局所進行性の類上皮肉腫に適応がある。

本研究では、小児・AYA世代における難治性固形がん患者のEZH2阻害薬タゼメトスタット(エーザイ株式会社とEpizyme, Inc.の共同創出)の効果(有効性)と副作用(安全性)の情報を収集し、小児・AYA世代のがん患者のEZH2阻害薬に対するドラッグアクセスを改善することを目指す。今回の患者申出療養は、中央病院に通う患者の申出から立案された。また、中央病院での小児・AYA世代がん領域では初めての実施となる。
(Medister 2023年5月22日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 小児・AYA世代難治性がん患者のドラッグアクセスの改善を目指す EZH2阻害薬の患者申出療養制度による医師主導臨床研究開始

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