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更新日:2023/04/17

前立腺癌における新たな骨転移進展機構を解明

東京医科大学(学長:林由起子/東京都新宿区)医学総合研究所の落谷孝広教授と東京慈恵会医科大学泌尿器科学講座の木村高弘教授、占部文彦助教、および国立がん研究センター研究所病態情報学ユニットの山本雄介ユニット長らの研究チームは、前立腺癌細胞から分泌されるエクソソームが骨の腫瘍微小環境に与える機能として、前立腺癌細胞由来のエクソソーム膜上に存在するCDCP1が破骨細胞の分化を誘導していることを明らかにした。また、骨転移を有する前立腺癌患者では、血中エクソソームに含まれるCDCP1の発現が上昇しており、前立腺癌骨転移における新規病態解明および診断法の確立につながることが期待された。

エクソソームは、あらゆる細胞が分泌する100nm程の脂質二重膜で囲まれた小胞で、細胞間相互作用に重要な役割を担っていることが知られている。特にがん細胞由来のエクソソームは、がん細胞の周辺の細胞を制御し、がんの進展に関わることが、これまでの多くの報告によって証明されているが、これまでに前立腺癌細胞由来のエクソソームが、骨の腫瘍微小環境に与える影響に関してはあまり報告がなかった。

前立腺癌は進行すると骨に転移しやすく、その多くが造骨性の骨転移像を示す。しかしながら実際には、治療法が多様化した近年、特に悪性度の高い進行した前立腺癌では溶骨性の骨転移像を呈することもあり、破骨細胞との関わりも注目されている。今回の研究では、前立腺癌由来のエクソソームにおける骨微小環境に与える影響の解析を行い、前立腺癌の新たな治療標的の同定を目指した。

同研究チームは、前立腺癌細胞由来のエクソソームが、破骨細胞前駆細胞をRANKL存在下において破骨細胞の分化を誘導することを見出した。そこで、その責任分子を同定するために、前立腺癌細胞由来のエクソソームと正常前立腺上皮由来のエクソソームとを比較して、前立腺癌細胞由来のエクソソームにおいて有意に発現が高いタンパク質を候補タンパク質として抽出した。さらに、siRNAを用いて候補タンパク質の発現を抑えた前立腺癌細胞からエクソソームを抽出し、スクリーニングを行なったところ、エクソソームの膜上に存在するCDCP1が破骨細胞の分化に寄与することを明らかにした。

また、本研究では、前立腺癌細胞由来のエクソソームの骨微小環境における役割を明らかにするとともに、前立腺癌患者の血漿由来のエクソソームにおけるCDCP1の発現を評価したところ、骨転移を有する前立腺癌患者のエクソソームにおいてCDCP1の発現が上昇していることがわかり、バイオマーカーとしての可能性も呈示した。

CDCP1は、これまでに細胞膜上に存在した場合での腫瘍増殖に寄与するメカニズムは報告されていたが、エクソソームの膜上に存在した場合での機能は報告がされていなかった。これまでのエクソソームに関する論文ではマイクロRNAなどのエクソソーム内包された分子に着目した研究が多く、これらを直接的に標的とすることは困難であった。本研究では、エクソソームの膜上に存在するタンパク質に着目しており、抗体を用いる事で直接標的とすることができ、従来の治療法とは異なるエクソソーム標的治療という、新たな診断治療法確立への道を拓くことが期待される。

さらに本研究において過去のデータベースから骨が主要な転移先であるがん種においてCDCP1の発現が上昇していることがわかっており、前立腺癌のみならずあらゆるがん種においても応用できる可能性も期待される。
(Medister 2023年4月17日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 前立腺癌における新たな骨転移進展機構を解明 ~エクソソームを標的とした新たな前立腺癌治療法への期待~

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