google+
はてなブックマーク
LINE
  • Medister
  • コラム
  • 書評
  • 医療系企業・特集
がん治療.com おすすめコンテンツ
心理状態の遷移
告知をされてから、がん患者の心理はどのように遷移するのか?
ストレス解消法
がん治療は大きなストレスとなりますが、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
医師との付き合い方
がん治療するうえで、医師と上手に付き合っていくには?
  • がん治療.com コンテンツ一覧
  • がん治療.com 用語集

更新日:2023/04/15

日本のがんゲノム医療の新たな研究成果を世界に発信

国立研究開発法人国立がん研究センター東病院は、全国12のがんゲノム医療中核拠点病院の専門家会議であるエキスパートパネルの代表者からなる研究チームを組織し、がんゲノム医療中核拠点病院のエキスパートパネルの実力を検討するために、50例の模擬症例とその模範解答を作成した。本模擬症例を用いて、全国12のがんゲノム医療中核拠点病院の各エキスパートパネルでどのような治療が推奨されるかを検討した。

がんゲノム医療は、第3期がん対策推進基本計画の分野別施策「がん医療の充実」に掲げられている重要課題である。質の高いがんゲノム医療の提供には、がんゲノム医療中核拠点病院等のエキスパートパネルの質の向上、標準化が不可欠である。

2019年6月よりがんゲノムプロファイリング検査が保険適用となり、2022年12月末までに46,000件以上の検査が行われている。しかし、実際にがんゲノムプロファイリング検査に基づいて適合する治療が行われるのは10%未満であると報告されている。 適合する治療の約3分の2は治験などの研究段階の治療であることも報告されている。このため、がんゲノムプロファイリング検査に基づいて最適な治療を検討するためには、治験情報の把握が重要である。一方、がんゲノムプロファイリング検査の結果を日常診療で用いるためには、がんゲノム医療中核拠点病院等に設置された専門家会議であるエキスパートパネルでの検討が必要である。しかし、全国のエキスパートパネルによる治療推奨には、病院ごとに差がある可能性が示唆されていた。しかし、実際に治療推奨にどの程度差があるのか、なぜ差があるのかについては大規模な検討がなされていなかった。

厚生労働科学研究費(がん対策推進総合研究事業)がんゲノム医療に携わる医師等の育成に資する研究 大江班 吉野小班(以下吉野小班)において、国立がん研究センター東病院・副院長(研究担当)吉野孝之は、全国のがんゲノム医療中核拠点病院のエキスパートパネルの代表からなる研究チームを組織し、50例の模擬症例を作成した。同時に、模擬症例に対してどのような治療が推奨され、どのような臨床試験/治験の対象になるかについて、本研究チームで模範解答を作成した。

これら50例の模擬症例について、全国12のがんゲノム医療中核拠点病院のエキスパートパネルで治療推奨が作成された。各がんゲノム医療中核拠点病院のエキスパートパネルの一致率を、不一致の場合はその原因を検討した。その結果、コンセンサスアノテーションとの一致率は平均62% (範囲;48~86%) であり、特に治験などの研究段階の治療についての提案がなされていない (一致率24%) ことが判明した。また、すでに承認されている薬剤がある標準治療については高い一致率 (91%) であることも判明した。

エキスパートパネルの治療推奨の現状と課題が明らかになった。治験などの研究段階の治療についての提案がなされていない (一致率24%) ことから、このような情報収集の方法のためのセミナー実施、情報共有を行うことの重要性が確認された。吉野小班では、上述のセミナーとして日本臨床腫瘍学会と共同で、2021年7月4日(日曜日)に「エキパネ道場」を開催し高い評価を得ている。「エキパネ道場」はその後日本臨床腫瘍学会の事業として引き継がれ、第2回が2022年11月6日に開催された。また、吉野小班では、最新の治験情報の共有を行った。これらの成果によりエキスパートパネルの質向上につながるかについても検討がなされ、治験情報の共有によりがんゲノムプロファイリング検査に基づいて適合する治療が実施される割合が2倍以上に増加することが示されている。

今後も吉野小班が行った治験情報や臨床試験情報の共有を継続的に行っていくアカデミア施設の系統的・持続的な連携を推進していく方針である。
(Medister 2023年4月15日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 日本のがんゲノム医療の新たな研究成果を世界に発信 がんゲノム医療中核拠点病院の現状分析に基づくエキスパートパネルの課題解決への提言

ページの上部へ戻る

がんの種類アクセスランキング

ページの先頭へ

医療系企業・特集

戦国武将とがん

書評

がんの種類