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更新日:2020/12/22

国立がん研究センター東病院がマルチオミックス解析を用いた国際多施設共同前向き観察研究(TITANIA study)に国内初参画

国立研究開発法人国立がん研究センター東病院(以下東病院)は、2020年4月よりドイツのIndivumed Group社が世界各国の病院と連携して行っている国際多施設共同前向き観察研究(TITANIA study: mulTi omIcs daTa cANcer dIagnostics therApies Study)に国内で初めて参画し、2020年10月19日より研究を開始している。

近年、がんの個別化医療はマルチオミックス解析によって大きく進展する可能性があることが報告されている。これまで、ゲノム解析(ゲノミクス)・転写解析(トランスクリプトミクス)・蛋白質解析(プロテオミクス)・代謝物解析(メタボロミクス)など、個々の分子情報ごとに個別研究が進められていた。マルチオミックス解析に関する報告はいくつかあるものの、それらのほとんどは主にトランスクリプトミクスに集中しており、その他の分子情報に関するデータは少ないのが現状である。包括的かつ統合された解析を行うことにより、がんの発症・増殖に関わる複雑なメカニズムを解明すると考えられる。

また、質の高い臨床データとマルチオミックスデータの統合解析によって、優れた予後予測が可能であるという報告もある一方、臨床データとマルチオミックスデータの統合解析にかかる専門家への負担が大きく、高度な解析技術の開発・応用が求められている。

TITANIA studyではバイオインフォマティクスにもとづいた人工知能(AI)による深層学習を用いて解析することを計画し、臨床データとマルチオミックスデータを複合させた膨大なデータを解析するコンピューター技術の開発・応用を目指している。

TITANIA studyでは、手術前後の臨床情報・血液検体および手術で切除された組織検体と、術後10年目までの臨床情報および血液検体を、Indivumed Group社が開発したIndivuTypeを用いてマルチオミックス解析する。臨床情報は、性別や人種などによって食べ物や趣味趣向などが異なるため、従来の研究と比べ、より細かい情報を登録する。また、検体の品質・精度を確保するため、腫瘍を切除してから保存するまでの処理を10~20分以内に行う。本研究を推進するため、東病院では研究試料管理や人員の強化を行い、ハイクオリティな検体管理体制のもと取り組む。

IndivuTypeは、人工知能(AI)による深層学習を用いてマルチオミックス解析を行う。IndivuTypeに世界各国から年間およそ10,000例のマルチオミックスデータが収集されることにより、世界最大規模の高品質なデータセットとなることが期待される。

東病院では、2020年10月19日より、手術を予定している全ての種類の固形がんの患者を対象に研究を開始した。1年目は大腸がんを中心に50名の患者を参加させ、2年目以降は対象を順次拡大し、250名の患者を参加させる予定である。

本研究により、AIによるマルチオミックス解析の患者の予後予測能の評価や、マルチオミックス解析による既存のバイオマーカーの検証がなされると、マルチオミックス解析に基づく個別化医療が推進されることが期待される。この他にも、Indivumed Group社と共同でがんの性質をマルチオミックス解析により明らかにし、その成果をもとに新しいがん診断・治療技術の研究・開発を目指すという。
(Medister 2020年12月7日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 国立がん研究センター東病院がマルチオミックス解析を用いた国際多施設共同前向き観察研究(TITANIA study)に国内初参画 ―世界の主要施設と連携し、新たながん診断・治療法の開発を目指す-

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