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更新日:2026/08/06

加熱式タバコの発がん性

加熱式たばこは火を使わず煙やにおいが出にくいことから利用が広がっていますが、「紙巻きたばこより健康被害が少ない」といった宣伝に対しては、科学的な観点から疑問の声があがっています。この記事では、加熱式たばこの発がん性や健康リスクについて、厚生労働省や国立がん研究センターがん情報サービスなどの一次情報にもとづいて解説します。

この記事でわかること

  • 加熱式たばことは何か、法律上の位置づけ
  • 喫煙とがんの関係(どのくらいのがんが喫煙に起因するか)
  • 加熱式たばこに含まれる有害物質と、受動喫煙のリスク
  • 加熱式たばこ使用者も受けられる保険による禁煙治療

加熱式たばことは

加熱式たばこは、たばこ葉やたばこ葉を加工したものを、燃焼させずに電気的に加熱し、エアロゾル(霧状)化したニコチンと化学物質を吸入するタイプのたばこ製品です※1。日本では2013年から販売が始まり、2016年ごろから急速に普及しました※3。

加熱式たばこは、2020年4月に全面施行された改正健康増進法で「指定たばこ」に位置づけられています。喫煙専用室のほか、加熱式たばこ専用の喫煙室などの決められた場所以外では使用できません※2。学校・病院・児童福祉施設などの敷地内禁煙の施設では使用できず、20歳未満は喫煙室に立ち入ることもできません※2。

加熱式たばこは紙巻たばこと同様、健康被害があると考えられる

紙巻きたばこの煙には約5,300種類の化学物質が含まれ、そのなかには約70種類の発がん性物質があるとされています※6。喫煙はさまざまながんの原因になります。国立がん研究センターがん情報サービスによると、がんになった人のうち男性で約24%、女性で約4%はたばこが原因と考えられています(2015年)※4。より詳しくは、がん罹患に占める喫煙の寄与割合は男性23.6%、女性4.0%と推計されています(2015年)※5。

喫煙が原因と考えられるがんの割合を示す棒グラフ。2015年の日本で、がん罹患は男性23.6%・女性4.0%、がん死亡は男性29.8%・女性4.7%が喫煙に起因すると推計されている
喫煙が原因と考えられるがん罹患・がん死亡の割合(集団の推計値)

では、加熱式たばこはどうでしょうか。加熱式たばこの主流煙については、ニコチン以外の有害化学物質の量は紙巻きたばこより少なかったとする報告があります※1。しかし、たばこの煙にさらされることについては「安全なレベルというものがなく、喫煙者と受動喫煙者の健康に悪影響を及ぼす可能性が否定できない」とされています※1。また、加熱式たばこは販売開始からの年月が浅いため、長期使用に伴う健康影響は明らかになっていません※1。「健康被害が少ない」といった宣伝に対しては、科学的な観点から専門家の間で疑問の声が強くあがっています※3。

加熱式たばこの健康影響で押さえておきたい4点を示す図。有害物質を含む、長期影響は不明、受動喫煙、健康リスクが低い根拠はない
加熱式たばこの健康影響で押さえておきたい点

加熱式たばこも紙巻きたばこと同じく、改正健康増進法で受動喫煙対策の対象に含まれています。喫煙者本人だけでなく、周囲の人の健康への悪影響も否定できないため、決められた喫煙室を使うなど、周りの人への配慮が必要です※3。加熱式たばこが「発がん性がない」と証明されているわけではないことをふまえ、健康のためには禁煙が望ましいといえます。喫煙とがんの関係についてはがんとたばこの関係は?もあわせてご覧ください。

なお、厚生労働省の令和5年(2023年)国民健康・栄養調査によると、20歳以上で習慣的に喫煙している人の割合は男女計で15.7%(男性25.6%、女性6.9%)でした。喫煙している人のうち加熱式たばこを使用している割合は、男性38.5%、女性42.3%と、近年大きく増えています※7。

禁煙を考えている人は、医療機関の禁煙外来を利用する方法があります。加熱式たばこを使用している人も、要件を満たせば保険診療で禁煙治療を受けることができます※8。がん予防の観点からの生活習慣についてはがん予防12か条がん検診についても参考になります。

よくある質問

Q. 加熱式たばこは紙巻きたばこより安全ですか?

A. 加熱式たばこの主流煙はニコチン以外の有害物質が紙巻きたばこより少なかったとする報告はありますが、たばこの煙に安全なレベルはなく、健康への悪影響が否定できないとされています※1。加熱式たばこが紙巻きたばこより健康リスクが低いという科学的根拠は、現時点では示されていません。

Q. 加熱式たばこでも受動喫煙の対策は必要ですか?

A. 必要です。加熱式たばこも改正健康増進法で受動喫煙対策の対象に含まれており、周囲の人の健康への悪影響が否定できません。決められた喫煙室以外では使用できません※2※3。

Q. 加熱式たばこでも禁煙治療は受けられますか?

A. 受けられます。加熱式たばこを使用している人も、要件を満たせば保険診療で禁煙治療を受けることができます※8。くわしくは医療機関にご相談ください。

本記事は2026年8月7日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。記載の割合は集団を対象とした推計値であり、個々の方のリスクを示すものではありません。健康や治療に関する判断は、主治医にご相談ください。

参考資料

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット「加熱式たばこの健康影響」(最終確認日: 2026年8月7日)
  2. 厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。 改正法のポイント」(最終確認日: 2026年8月7日)
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス「加熱式たばこ」(最終確認日: 2026年8月7日)
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス「がんの発生や治療へのたばこの影響」(最終確認日: 2026年8月7日)
  5. 国立がん研究センター がん対策研究所 JAPAN PAFプロジェクト「喫煙に起因するがんの割合」(最終確認日: 2026年8月7日)
  6. 厚生労働省 e-ヘルスネット「喫煙とがん」(最終確認日: 2026年8月7日)
  7. 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要」(最終確認日: 2026年8月7日)
  8. 国立がん研究センター がん情報サービス「禁煙治療」(最終確認日: 2026年8月7日)

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