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更新日:2023/02/27

加熱式タバコの発がん性

加熱式たばこは火を使わないため煙が発生せず、煙のニオイがしない、灰が出ないといった特徴があり、若年層、特に若い女性の間で市場が広がっています。従来の紙巻きたばこと比べて加熱式たばこは健康被害が少ないなどと宣伝されることもありますが、実際に健康リスクが低くなるという根拠はありません。加熱式たばこの健康リスクや発がん性についてお伝えします。

加熱式たばことは

加熱式たばこは、たばこ葉に直接火をつけるのではなく、電気等で加熱することでニコチンなどを発生させて吸入するたばこです。日本で販売されているものでは、加熱温度は低温~高温までさまざまなタイプがあります。
日本では2013年12月より販売開始となり、2016年ごろから急速に普及してきました。
加熱式たばこは、改正健康増進法では「指定たばこ」に分類されています。そのため、喫煙専用室での使用、加熱式たばこ専用喫煙室、喫煙目的室、既存特定飲食提供施設の喫煙可能室以外で使用することは認められていません。

加熱式たばこは紙巻たばこと同様、健康被害があると考えられる

紙巻きたばこにおける発がんリスクが極めて高いことは周知のとおりで、喫煙はさまざまながんの原因となっています。国立がん研究センターによると、男性のがんの約23.6%、女性のがんの約4.0%は喫煙によって引き起こされているとの報告があります。がんを予防するためには禁煙が望ましいことは間違いありません。

ここで、日本における喫煙者の割合を確認してみましょう。2019年国民健康・栄養調査において「現在習慣的に喫煙している者の割合の年次推移(20歳以上)」では、男女計で16.7%(男性27.1%、女性7.6%)でした。この10年間でみると、いずれも減少傾向にあります。なお、「加熱式たばこ」を使用している人の割合は男性27.2%、女性25.2%と4分の1ほどを占めています。喫煙者本人や周囲への健康への害が低いと考えて移行した人も少なくないと考えられます。

実際に、加熱式たばこの主流煙に含まれる有害物質の量は紙巻たばこと比べれば少ないという報告もあります。しかしその一方で、加熱式たばこが紙巻たばこよりも健康リスクが低いという根拠は現在のところありません。日本呼吸器学会からも、加熱式たばこや電子たばこに関する見解や提言が提示され、インターネット上でも公開されています。その見解によれば、加熱式たばこにおいても喫煙者の呼気エアロゾルには有害物質が含まれており、加熱式たばこを使用している本人だけでなく、受動喫煙者にも健康被害を与える可能性は高いとされています。健康リスクの可能性がある以上、加熱式たばこの使用にもきちんとした規制が行われるべきなのです。

加熱式たばこも紙巻きたばこ同様、法律上、受動喫煙対策に含まれていますので、喫煙室を必ず使うなど、周りの人に迷惑をかけないようにしましょう。加熱式たばこは発がん性ゼロと証明されたわけではないことを忘れずに、最終的には健康のため「禁煙」することが望ましいでしょう。

なお、診療報酬改定により2020年度から加熱式たばこ使用者も健康保険による禁煙治療の対象として認められました。要件を満たせば保険診療で禁煙治療を受けることができます。「禁煙治療のための標準手順書」や「禁煙支援マニュアル」なども公開されており、加熱式たばこの禁煙に関することも示されています。

参考資料

(Web)
厚生労働省 e-ヘルスネット 加熱式たばこの健康影響
国立がん研究センター がん情報サービス 加熱式たばこ
日本呼吸器学会 加熱式タバコや電子タバコに関する日本呼吸器学会の見解と提言
国立がん研究センター がん情報サービス がんの発生要因
令和元年国民健康・栄養調査報告
厚生労働省 加熱式たばこにおける科学的知見
新潟市医師会 新型タバコのリスクを考える
中村 正和、田淵 貴大、 尾崎 米厚、大和 浩、欅田 尚樹、吉見 逸郎、片野田 耕太、加治 正行、揚松 龍治 加熱式たばこ製品の使用実態,健康影響,たばこ規制への影響とそれを踏まえた政策提言 日本公衆衛生雑誌 67巻1号 2020年
日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会、日本呼吸器学会 禁煙治療のための標準手順書 第8版
厚生労働省 禁煙支援マニュアル(第二版) 増補改訂版

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