更新日:2019/04/28
国立がん研究センター・庄内産業振興センターが製薬企業との共同研究契約を締結
国立研究開発法人国立がん研究センター(以下「国立がん研究センター」)と公益財団法人庄内地域産業振興センター(以下「庄内地域産業振興センター」)は、がんメタボローム研究推進支援事業において、下記の通り大日本住友製薬株式会社と共同研究契約を締結し、がん本態を特徴付ける、異常な遺伝子発現を制御する抗がん剤の実用化を目指した応用研究に取り組むこととなった。
がんの発症メカニズムの一つとして、がん細胞は細胞分裂をくり返しても細胞死に至らない無限増殖能の獲得が知られている。特に白血病では、MYC(ミック)遺伝子が過剰発現することにより無秩序に細胞増殖したがん細胞が生み出され、正常な造血システムを破綻させることに繋がるのである。そこで、これらの遺伝子の発現をコントロールしているたんぱく質の機能を妨げ、がん細胞を無害な増殖しない細胞に変化させる薬剤の開発は、白血病を含むさまざまながんを対象とした新しい治療法に繋がると期待されている。
庄内地域産業振興センターは、独立創業をめざす人々、新規事業創造等の経営革新に取り組もうとしている地域中小企業・小規模事業者の人々や、企業の事業高度化を担う産業人材の育成、企業の研究開発を促進する産学官連携による事業化等の支援を行う機関である。
この度、国立がん研究センターと庄内地域産業振興センターは、大日本住友製薬株式会社と協力し、異常な遺伝子発現を制御する薬剤ついて、その実用化を目指して以下の研究を実施することとなった。
今後、国立がん研究センターと庄内地域産業振興センターが設立した国立がん研究センター・鶴岡連携拠点・がんメタボロミクス研究室では、当該薬剤の作用と、様々ながんの遺伝子発現異常との関連性を解析し、有効性が期待できる疾患機序を明らかにすることを目指す方針である。また、様々ながん発症モデルを使用し、当該化合物が抗腫瘍活性を示す新たな腫瘍性疾患の探索を行う予定である。
(Medister 2019年4月28日 中立元樹)
<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 異常ながん遺伝子発現を制御する抗がん剤の実用化を目指した応用研究を開始 がんメタボローム研究推進支援事業 国立がん研究センター・庄内産業振興センターが製薬企業との共同研究契約を締結
庄内地域産業振興センターホームページ