更新日:2021/05/01
「家族ががんになりました」ーどうしたらいいですか
がんはとても身近な病気となりました。大切な人ががんと診断されると、本人は当然のこと、周りの家族や友人も同じように動揺してしまうのは仕方のないことです。
同著の著者は30年以上に渡り精神科医として診察に携わってきた大西秀樹医師。がんになったことで問題を抱えたまま解決策を見いだせずに悩んでいる多くの人たちのために、と書かれた一冊です。
がんと診断されてもすぐには受け入れられない
がんに罹る人の数は年々増加傾向にあり、2010年に新たにがんにかかった人は80万人、2015年には98万人と推定されています。
かつては死のイメージがあったがんですが、医療技術の進歩によってがんは死に至る病気ではなくなりました。とはいってもがんと診断されると本人のみならず家族も同じみように動揺してしまうもの。
がんは多くの場合、健康診断や他の病気の治療中に見つかるため、予期せずがんと診断されてもすぐに受け入れられないのは当然のことです。
研究によると、がんの告知を受けてから心の冷静を取り戻し、がんを受容できるまでにかかる期間は2週間ほどだそうです。
しかし現状では多くの患者さんが2週間以内に治療方針を決めて治療が開始されています。がんの告知を受けて驚きや悲しみ、不安や怒りなどさまざまな感情が入り乱れる中で決断をしていくのは簡単なことではありません。
そんな時、大切になってくるのは自分がおかれている状況や今後の見通しを理解すること。治療法の選択や費用の見込み、支払いなどについて把握することで、心も整理されていくと大西氏は指摘しています。
がん患者に起こる変化と家族ができること
大西氏によると、「がんの疑いがある」といわれたときから患者本人にはさまざまな変化が起こるといいます。落ち込んだり怒りっぽくなったり、弱気になってみたりとさまざま感情が押し寄せてきます。
がんを告知されてから1週間以内に自らの命を絶つ人は、1週間以上経過した場合と比べると12.6倍にもなるという調査があるそうです。そのくらい、がんの告知というのは患者さんにとっては衝撃的な出来事となるのです。
精神状態が不安定になることから、暴言を吐いたり、暴れたりする人も見られるようですが、それらの言動は自己防衛のひとつなのだと大西氏はいいます。でも家族にとってはどのように接すればいいのか困惑することも少ないと思います。
同著の中で大西氏は、そんな時は肯定も否定もせず、ただ患者さんの話を聞いてあげるだけでいい、と述べています。
支えるために必要なこと
家族は第2の患者とよく言われますが、同著の中では患者家族を支えることの重要性についても触れられています。動揺するのは家族も同じですが、そんな時だからこそ家族が冷静になることが必要です。 がんと診断された時、がんについての知識がない人がほとんどだと思います。がんについて情報を得ようと新聞や雑誌やインターネットなど、さまざまな情報を集める中で情報に振り回されたり、多すぎる情報に疲れたりすることも少なくありません。大西氏は正しい情報を見極めることの重要性を指摘していますが、 これはとても難しいことなのです。 同著の中では情報収集の方法について解説されているほか、家族を支える体制作りの重要性についても触れられているので、参考にするとよいでしょう。
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