更新日:2019/05/26
がんと向き合い生きていく
2018年に新たにがんと診断された人は推定で101万人を越えています。いまや日本人の二人にひとりががんになる時代となりました。がん医療は進化しましたが、それでも「もう治療法がありません」「余命は3ヶ月です」など、命の宣告をされる人も少なくないといいます。
著者は、これまで2万人のがん患者さんをみてきた腫瘍内科医。本著には、がんと診断されてもあきらめず、がんと向き合って生きていくためのヒントが綴られています。同著の中には、さまざまな患者さんのケースが紹介されており、医師として、また人間としての著者のお人柄も伺える一冊。人間であれば誰もがいつかは直面する「死」への恐怖を乗り越える術にも触れられており、患者さんのみならず、興味深い内容となっています。
告知で自分らしい日々を過ごせるか?
医師になって49年間、そのほとんどをがん診療に携わってきた著者は、これまでおよそ2,000人の患者さんの看取りに立ち会ってきたといいます。
時代は変わり、本人へのがんの告知が当たり前となった現代、治療法がなくなった場合には、患者さんへの命の宣告をもしなければならなくなりました。いくら「死」を宣告されても、「生きたい」と願うのは人間として当然のこと。「死の準備」と「生きたいという気持ち」がふりこのように交錯しているのだ、と著者は語ります。
佐々木氏のもとには、このように命の期限を切られた患者さんが多数相談に来るといいます。そんな時に佐々木氏がいつも考えることは「この治療法でいいのか」「ほかに治療法はないのか」ということだそうです。
命の宣告をされても、生きていたいと思ったり、つらいことや悲しいことがあったりするのも当然で、そんな思いを患者さんが正直に言える社会であることが必要であると、著者は訴えています。そして、たとえステージ4であっても必ずしも末期がんではないこと。がんが転移してステージ4と告知されても、その度に治療を行い8年以上生存された患者さんの実例などにも触れられ、あきらめないことの重要性を唱えています。
がんの告知は医師の大事な努めであり、現代においては当たり前のように行われていますが、佐々木氏は患者さんの基本的な権利として
①個人の尊厳、平等、最善の医療
②医療内容を知る権利
③自己決定権
④検証権(セカンドオピニオン、診療記録の閲覧)
⑤秘密保持
の五つをあげています。
緩和ケア病棟の役割とは
緩和ケアは、身体的、精神的な痛みを和らげることを目的に、がんと診断された早期の段階から切れ目なく取り入れられることが重要だと考えられています。
特に痛みに関しては、薬剤の進歩もありさまざまな工夫がなされるようになりました。そのための入院施設が緩和ケア病棟というわけですが、著者によると多くの場合、緩和ケア病棟では「がんの治療は行わない」というのが現状なのだとのこと。また、がんによる苦痛が軽減した場合には退院するか、あるいは転院となることへの同意が必要だったり、入院期間にも制限があったりするなど、戸惑う患者さんも多いと述べられています。
その背景には、厚生労働省が定めた診療報酬包括評価制度を基本とする病院が増えたことにあると佐々木氏は指摘します。希望する患者さんに比べてベッド数が少ない緩和ケア病棟では、終末期の患者とはいえ資源の有効活用が優先されている点に佐々木氏は疑問を投げかけています。
医師のことばに傷つけられることも
佐々木氏のもとには実に多くの患者さんが救いをもとめて相談にやってくるといいます。治療法のことのみならず、医師との関係性についても例外ではないといいます。「どうしても相性が悪い」「感情的なしこりがある」「ひどいことを言われた」など、主治医との関係に悩んで来られる方も多いようです。
本著では実際にあったケースについても紹介。その中には、抗がん剤を開始する前に担当医から「無治療の選択肢もあります」と言われたり、化学療法の点滴を受けるたびに「この治療が効かなくなったら、緩和ケアしかありません」と言われたり、がんと闘う気力がなくなったと訴える人もいたといいます。
医師のことばに傷つき、二度とその医師の治療は受けたくないといって、来られるケースもあったそうです。体調が良い時であれば我慢できることばでも、治療中の患者さんにとっては、特に病状が悪ければ悪いほど、心は大きく傷つけられてしまいます。佐々木氏は、普段の診療において患者さんが医師や医療者と話しやすい雰囲気にあるかどうかということが大事であることを強調しています。
死の恐怖を乗り越える術
佐々木氏のもとには、「もう治療法はありません」と告げられた多くの患者さんがセカンドオピニオンを求めてやってくるといいます。そんな患者さんの「生きたい」と訴えている眼に出会い、死に直面して奈落に落とされた患者さんが這い上がる術について佐々木氏は模索してきたといいます。そして、患者さんを通して見出されたいくつかの術の中で最も大切だと思ったものが「人は誰でも、心の奥に安心できる心を持っている」というものだったそうです。ただ、問題は、その「安心できる心」をどう引き出すかであり、「奈落から這い上がる具体的な方法として、①気持ちの整理、とりあえず書いてみる、②泣ける、話せる相手を見つける、の2点を上げています。
本著には、がんと宣告されても病気と向き合って生きていくためのさまざまな向き合い方が書かれています。それらは、いずれも著者が治療を通して患者さんたちから教えてもらったものだといいます。多くの患者さんの生きる願いが詰まった一冊ともいえるでしょう。
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