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更新日:2018/08/21

AIで早期胃がん領域の高精度検出に成功

理化学研究所(理研)光量子工学研究センター画像情報処理研究チーム及び国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科の共同研究チームは、少数の正解データにより構築された人工知能(AI)による、早期胃がんの高精度な自動検出法を確立した。

日本において胃がんは罹患率の高いがんの一つであるが、早期の胃がん患者には自覚症状があまりない。また、がんが進行して症状が現れた場合でも、胃炎や胃潰瘍の症状に似ていることから、がんだと分かったときにはかなり進行しているケースがある。そのため、内視鏡を用いた検診時における胃がんの早期発見が望まれていた。しかし、早期胃がんの画像診断の正確さは医師の経験に大きく依存し、専門医であっても発見が難しい場合があるのが現状である。

最近、消化管の内視鏡画像診断にコンピュータによる機械学習を導入し、熟練した医師に迫る消化管腫瘍の診断、自動検出に成功した例がいくつか報告されている。しかし、早期胃がんでは精度の高い自動検出の成功例はほとんどない。その理由として、機械学習に適用可能な早期胃がんに関するデータが十分に整備されていないこと、早期胃がんの多くは進行性胃がんや大腸がん、大腸ポリープなどと比べて形態的特徴や色の特徴が多彩で、正常粘膜における炎症との判別が難しいことなどが挙げられる。

そこで、共同研究チームは、ディープラーニング(深層学習)によって内視鏡画像から早期胃がんを自動検出する方法の開発に取り組んだ。ディープラーニングとは、人間の脳神経回路を模倣したニューラルネットワークを多層的(狭義には4層以上)にして、コンピュータに学習させる機械学習の手法の一つである。学習させることで、コンピュータは画像や音声などのデータに含まれる特徴を段階的に認識できるようになり、最終的に正確な判断を実現させる。ディープラーニングはAIの発展を支える技術の一つで、さまざまな分野での実用化が進んでいる。

ディープラーニングを画像中の物体検出へ応用する場合、一般には数十から数百万枚の正解画像が学習用データとして必要だが、早期胃がんの場合、良質の正解画像を大量に収集することは困難である。そこで、本研究では少数の正解画像から小領域をランダムに切り出し、さらにデータ拡張技術を利用して画像を約36万枚まで増やした。その画像をコンピュータに学習させた結果、陽性的中率(コンピュータが「がん」と判断した画像中、実際に「がん」であった割合)は93.4%、陰性的中率(コンピュータが「正常」と判断した画像中、実際に「正常」であった割合)は83.6%であった。さらに、早期胃がんの有無に加えて、その領域まで高精度で自動検出することに成功した。

本研究成果から、検診における胃がんの見逃しを減らすことで、早期発見、早期治療につながることが期待できる。
(Medister 2018年8月20日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター AIで早期胃がん領域の高精度検出に成功 早期発見・領域検出で早期治療に大きく貢献

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