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更新日:2017/04/27

新たな研究手法開発によりがん抑制microRNA-34aの標的遺伝子を同定

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科システム発生・再生医学分野の淺原弘嗣教授、伊藤義晃プロジェクト助教の研究グループは、国立成育医療研究センター、名古屋市立大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、カリフォルニア工科大学及びベックマン研究所との共同研究で、がんなど様々な疾患において重要な働きを担うmicroRNAの標的遺伝子を同定する新たな方法を開発し、がん抑制microRNA-34aの新たな標的遺伝子として、乳がんの増悪化に関わるGFRA3を同定した。

microRNAは、標的となるmRNAの主に3’UTRに結合してその遺伝子を抑制する働きを持つ、タンパク質をコードしない小さなRNAで、がんを始めとした様々な疾患において重要な役割を持つことが知られている。本研究では、mRNAの5’UTR、コーディング領域、3’UTRを含む全長遺伝子配列をレポーターとして用いて、タンパク質レベルでの発現変化を測定できるルシフェラーゼアッセイをベースにした、短期間でかつ効率的にmicroRNAの標的遺伝子を同定する手法を開発する事に成功した。この手法を用いて、がんを抑制する機能を持っていることが分かっているものの、その詳細な機能は未知の部分が多かったmicroRNA-34a(miR-34a)の標的遺伝子の同定を試みた。

本研究グループが開発したmicroRNAの標的遺伝子を同定する新しい手法(レポーターライブラリーシステム)を用いて、がん抑制microRNAであるmiR-34aの標的遺伝子の探索を行った。その結果、既に報告されている標的遺伝子に加え、新規な標的遺伝子として、GFRA3、FAM76A、REM2およびCARKLを同定した。また、microRNAは主に標的遺伝子の3’UTRを介して制御すると言われているが、GFRA3はタンパク質をコードしているコーディング領域(CDS)を介して直接制御されていることが明らかになった。

このGFRA3をMDA-MB-231という乳がん細胞においてノックダウンすると、MDA-MB-231細胞の増殖が抑制された。またGFRA3の発現が高い乳がんを持つ患者は、GFRA3の発現が低い乳がんを持つ患者に比べて生存率が低いことが分かった。これらの結果から、GFRA3は乳がん増悪化に関わる重要な遺伝子であることが明らかとなった。

本研究において作製したレポーターライブラリーシステムにより、がん抑制microRNAであるmiR-34aの標的遺伝子を探索した結果、新しい標的遺伝子の同定に成功したことから、今後も本手法を用いたmicroRNAの標的遺伝子の同定により、がんやその他の疾患の病態解明に寄与することが期待される。
(Medister 2017年4月24日 中立元樹)

<参考資料>
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 「新たな研究手法開発によりがん抑制microRNA-34aの標的遺伝子を同定」―microRNA-34aによる乳がん抑制機能に重要な標的遺伝子を同定―

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