更新日:2017/09/28
乳がん 知識を力に、あなたらしい選択を
乳がんは、がんの中では治療後の生存率(予後)が比較的よく、治療法も多くあります。日本では、生涯で12人に1人が乳がんにかかる時代になっており、有名人が乳がんを告白するニュースも見聞きします。しかし、実際に自分が乳がんになったとき、どのような治療法が自分に合っているのかということを知るのは難しいかもしれません。そのような悩みに対するアドバイスとなるのが本書です。
情報を集め、正しい知識を得る
本書の最初には、「情報を集め、正しい知識を得ることがいちばん大切」と書いてあります。これは、アメリカの女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが『ニューヨークタイムズ』誌に寄稿した記事「知識は力(Knowledge is power)」が元になっています。がん治療は情報戦とも言われており、正しい情報を得たいと誰もが思うことでしょう。
では、実際に何を知りたいかというと、やはり治療法、そして治療費ではないでしょうか。どんな治療法があり、入院や通院期間はどれくらいなのか、治療中の生活はどう変わるのか、そして治療費はいくらかかるのか。現実問題として、こういった不安は重くのしかかります。
医師と患者さんが治療法を決めていく
本書は6つのパートに分かれていますが、その中で最も多くのページを割いているのが、パート4である「私に合った治療法は?」です。この見出しにあるように、乳がんの治療法は一つではありません。治療法は、大きく分けると、外科手術、薬物療法、放射線療法とありますが、外科手術一つをとっても、乳房を部分切除するのか、全体を切除するのか、再建方法はどうするのかなど、選択肢がいくつもあります。乳がんの病態は一人ひとりで違うため、治療法も一人ひとりで変わるのです。知り合いが乳がんでこういう治療を受けたから私も同じ治療法を受けたいと考えていても、必ずしも実現するとは限らないのです。
しかし、乳房は外見の特徴の一つであるため、治療に対して要望をもつのは自然なことです。そこで本書では、乳がんの治療の選択肢が多岐にわたってきた現在の状況を考慮して、「医師と患者が必要な情報を共有し、双方がよくコミュニケーションをとりながら、治療法などを決めていくことが望ましい」と述べています。同時に、「たんに医師の説明を聞いて納得するだけでなく、患者からも積極的に自分の情報を伝えることが欠かせません。自分に合った自分らしい治療法は、医師まかせでは生まれないのです」とも述べています。
ここでいう「自分の情報」とは、家族構成や仕事だけでなく、入院したいかどうか、今後どのような生活を送りたいかという希望も含まれています。本書では、ライフスタイルも希望もバラバラの6人の例を紹介しているので、「こういうことを言ってもいいんだ」という気持ちになります。希望はなるべく具体的に言うことで、要望に合わせた治療計画を医師は考えてくれるでしょう。場合によってはセカンドオピニオンを利用するのも手です。
治療法ごとに治療費が書かれている
この本のもう一つの特徴は、治療にかかる費用が具体的に書かれていることです。例えば、放射線療法は、3割負担の場合、1回あたり5000~8000円を25回、合計14万~21万くらいかかるということが、ほぼすべての治療や検査について書かれています。治療費を具体的にイメージできるので、今後の生活を考えるうえで参考になります。当然ながら、治療計画によって金額は異なるため、最終的には医師に確認することが大切です。
本書は2016年に改訂されたもので、遺伝性乳がんや分子標的薬剤など、最新の話題にも触れています。乳がんの治療を具体的にイメージするのによい一冊です。
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