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更新日:2017/04/23

ご家族のための がん患者さんとご家族をつなぐ在宅療養ガイド

『ご家族のための がん患者さんとご家族をつなぐ在宅療養ガイド』書評

編著: 地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報プロジェクト 出版社: 日本医学出版
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がんの治療が一段落して、在宅で療養することになったとき、何からどう準備をして、どのように過ごせばよいのか。患者さん本人はもちろんのこと、家族も抱える不安です。本書は、在宅療法を始める家族や周りの人向けに作られたものです。在宅療法では、患者さん本人の価値観や家族の環境によって方法が変わるため、ただ一つの正解はありませんが、患者さんとその家族が穏やかに過ごすための心構えなどが紹介されています。

患者さんが話しやすい雰囲気を最初に作る


本書は、夫が痛みのコントロールを受けながら在宅で療養することになり、その妻が相談者と会話しながら最期のときまで過ごすストーリーが中心になっています。

まず、大切なこととして、患者さんと素直に話し合える雰囲気を作ることとしています。最初から全てを準備したりルールを決めたりするのではなく、ゆっくりと環境を整えながら在宅療法に慣れていくのがよいとされています。そのために、患者さんが話しやすい雰囲気を最初に作るのです。

話しやすい雰囲気といっても、決して特別なことではありません。ちょっとした話題にも耳を傾けたり、笑い話をして気を紛らわせたりと、普段の家族内の会話の延長上といったところです。在宅療法では、これまでどおりの生活の雰囲気を作ることが大切なのです。

そして、もう一つ大切なことは、家族の窓口(キーパーソン)を決めることです。キーパーソンとは、患者さん本人の希望になるべく沿えるように、家族の意見をまとめて、主治医などとやり取りする代表者です。他の関係者と協力して在宅療法を行うためにも、連絡係を1人に決めるのがよいとしています。

ただし、必ずしも1人で悩みを抱える必要はありません。親族間で情報を共有し、家族みんなで話し合うのがよいでしょう。また、家族でなくても、理解してくれる知人や友人がいれば、その人たちに相談するのも一つの手です。

本書には、体験談も多く収録されています。自分と似たような境遇や意見があれば、参考になるでしょう。

在宅支援チームに何でも相談する


在宅療法を家族だけで行うと、かなりの負担になってしまいます。家族内でできることにはどうしても限りがあり、わからないことも多くあります。そこで助けとなるのが、本書でも紹介する在宅支援チームです。

在宅支援チームは、在宅診療を行う医師、訪問看護ステーションの看護師、薬剤師、ケアマネジャー、ホームヘルパーなどから構成されます。それぞれの専門性を活かしながら、スムーズな在宅療法ができるようにサポートします。電動ベッドやポータブルトイレなどの福祉用具のレンタルや、役所との手続きについても相談に乗ってくれます。

在宅支援チームは、病院の相談窓口、地域連携室、地域包括支援センターなどで紹介を受けることができます。患者さん本人のケアはもちろんのこと、家族全員の精神的な支えにもなるので、遠慮なく活用しましょう。

最期を迎え、新しい日常を送るまで


本書の後半では、患者さんの最期を迎える直前、そしてお別れした後のことにも触れています。在宅療法を始めたばかりのときには、そういったことまで考えたくない人もいると思います。

そのときには、本書を最初から最後まで無理に読む必要はありません。自分が今知りたいところだけ読むというスタイルでも問題ありません。そして、心に余裕があるときに少しずつ読めるよう、大切に保管してください。在宅療法で実用的な知識が得られるだけでなく、精神的な助けにもなります。

本書は、住み慣れた場所で大切な人と最後まで過ごしたいと考える家族の方にとって、非常に参考になる一冊でしょう。

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