更新日:2017/04/23
身近な人ががんになったときに役立つ知識76
がんは不治の病ではなく、治療できる病になりつつありますが、自分や家族ががんと診断されたときにはさまざまな悩みが生まれます。現在のがんはどの程度進行しており、治療法には何があるのか、という治療に関する悩みはありますが、実際にはそれ以外の悩みもあるはずです。そもそもどこで治療を受けるのがいいのか、治療費はいくらかかるのか、仕事は続けられるのか。そのような治療法以外の悩みにも答えてくれるのが本書です。
まずはがん診療連携拠点病院を探す
本書の第2章は「後悔しない病院選び」として、「どこで治療を受けるのがいいのか」という悩みに答える章になっています。がん治療というと大学病院のような特殊な病院でないと受けられないという印象があるかもしれませんが、2006年に成立した「がん対策基本法」により、がんの治療体制は大きく変わったといいます。
特に本書では、がんの専門的な治療が受けられる「がん診療連携拠点病院」を取り上げています。治療法が確立している一般的ながんであれば、いわゆる「名医」と呼ばれている医師がいる遠い病院に通わなくても、比較的近くの病院で受けられます。がん診療連携拠点病院は47都道府県に427カ所かり(2016年時点)、厚生労働省のウェブサイトに一覧が掲載されているので、まずはその中から家に近いところを選ぶのがよいとしています。
なお、第1章は「がんの基礎知識」、第3章は「検査と治療の基本」として、がんができるしくみや、一般的な検査法や治療法が紹介されています。具体的な検査法や治療法はがんの種類やステージによって異なるので、それぞれのがんに特化した患者向けガイドラインなどを読むのがよいと思いますが、基礎知識として知っておけば、それぞれのガイドラインが読みやすくなるでしょう。
仕事と治療は両立してほしい
第4章は「治療費と保障」、第5章は「公的保障」と、治療費に関わる悩みに答えます。がんの治療費は高額だと考えがちですが、実際には健康保険が適用される治療法が多く、一般的ながんの入院と手術であれば保険適用前で約100万円、自己負担はその1~3割であるとしています。
しかしながら、これに抗がん剤治療や放射線治療が加われば、健康保険が適用されるとはいえ負担額は大きくなります。そこで、「高額療養費」という制度を使えば、一部の治療費が返ってくるとアドバイスします。他にも、会社員であれば傷病手当金、あるいは確定申告で医療費控除の手続きをするなど、負担額を減らす方法をいくつか紹介しています。
そして、本書が強調しているのが「なるべく仕事は辞めず、仕事と治療は両立するように」ということです。がんの治療は、場合によっては長期戦となります。これは、長期的に治療費が必要になるということです。しかし実際には、がん治療を受けている人の約3分の1が仕事を辞めたと回答したデータがあり、治療費の支払いに苦心する人が少なくないことを意味します。ただ、およそ半分の人は働きながら治療を受けており、「経済的にもできれば働き続けたい」と本書はアドバイスします。
相談相手となるメディカルソーシャルワーカー
では、働きながらがん治療を受けることができるのか、治療費の負担軽減にはどのような制度があるのか、それらの悩みに対して相談相手となるのが、がん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」であり、そこにいるメディカルソーシャルワーカーです。
メディカルソーシャルワーカーは、経済的な相談だけでなく、治療方針に関する質問、さらには患者本人やその家族が抱える心の悩みの相談も受け付けています。メディカルソーシャルワーカーに相談するときの足がかりとして、本書を読んでおくべきでしょう。
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