がん用語集
た行監修:医療法人社団輪生会 白山通りクリニック
- タイショウリョウホウ対症療法
- タイセイ耐性
- タザイヘイヨウリョウホウ多剤併用療法
- タハツガン多発がん
- タンキニュウショ短期入所(ショートステイ)
- タンキュウ単球
- ダンセイストッキング弾性ストッキング
- チイキガントウロク地域がん登録
- チイキホウカツセンター地域包括支援センター
- チケン治験
- チメイリツ致命率
- チユ治癒
- チョウオンパケンサ超音波検査(エコー検査)
- チョウザイヤッキョク調剤薬局
- チョウヘイソク腸閉塞
- チョクチョウシン直腸診(DRE)
- ツウショカイゴ通所介護(デイサービス)
- ツウショリハビリデーション通所リハビリテーション(デイケア)
- ティーエヌエムブンルイTNM分類
- ティーサイボウT細胞(Thymus-derived cell: T cell)
- テキオウガイ適応外
- テキオウショウガイ適応障害
- テキシュツ摘出
- テストステロンテストステロン
- デスモソームデスモソーム(接着斑)
- デポザイデポ剤
- テロメア、テロメアーゼテロメア、テロメアーゼ
- テンイ転移
- テンヘンイ点変異
- トウケツユウカイエシリョウホウ凍結融解壊死療法(cryoablation)
- ドウシュイショク同種移植(allogenic transplantation)
- トウツウ疼痛
- ドウニュウリョウホウ導入療法
- トウヨ投与
- トツゼンヘンイガタ突然変異型(→野生型)
- ドナードナー(臓器提供者)
- ドナーリンパキュウユチュウドナーリンパ球輸注(DLI)
- トンプク頓服(頓用(とんよう)と呼ばれることもあります)
- 対症療法 (タイショウリョウホウ)
対症療法とは、病気そのものに対する治療ではなく、病気に伴う症状をやわらげる為に行なう治療をいいます。たとえば病気に伴っておきている症状である、発熱や痛みに対して解熱鎮痛薬を使うことや、吐き気がある場合に吐き気止めの薬をつかうことが対症療法にあたります。がん治療においては、がんに伴う様々な症状に対して対症療法はQOL(生活の質)を高める上で、がんそのものへの治療と併せておこなわれることがあります。
- 耐性 (タイセイ)
耐性とは、使用していた薬が効かなくなることをいいます。ある治療をしたときに、初めは大きな効果があっても、繰り返して治療するうちに、その効果が小さくなることがあります。抗がん剤などの薬に対する抵抗性には、患者さんの体の状態と、がん細胞側の状態の2つがあり、患者さんの体の状態に関係する抵抗性には、その薬が体の中で代謝されやすくなって効果がなくなる場合や、排泄されやすくなって効果を発揮する前に体からどんどん失われて効果が小さくなる場合などが考えられます。がん細胞側の抵抗性としてはがん細胞の性質が変化して、薬剤の効果を受けにくくなるなどがあります。
- 多剤併用療法 (タザイヘイヨウリョウホウ)
多剤併用療法とは、数種類の抗がん剤を組み合わせて用いる治療のことをいいます。治療効果が高まり、かつ、副作用が減ることを期待して、複数の抗がん剤を組み合わせます。複数の抗がん剤は、組み合わせるだけではなく、治療のスケジュールなどを変えることでも治療効果を高めるよう臨床試験などで検討されています。
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- 多発がん (タハツガン)
多発がんとは、同じ臓器に同じようながんが多発することをいいます。
- 短期入所(ショートステイ) (タンキニュウショ)
在宅で療養する患者さんが福祉施設に短期間(数日~ 1週間程度)入所して介護を受けられるサービスのことで、介護保険が適用されます。短期入所には、介護老人福祉施設で提供される入浴、排泄、食事などの生活介護と、介護老人保健施設や介護療養型医療施設で医師や看護師などによる医学的管理のもとで提供される療養介護があります。
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- 単球 (タンキュウ)
白血球の成分の1種であり、感染に対する防衛の開始に重要な細胞です。血管外の組織に移動すると、マクロファージ(大食細胞)と名前を変え、細菌などの異物を細胞内に取り込み、消化し、異物の一部を細胞表面に提示します(抗原提示)。これをT細胞が認識して、体の防衛(免疫応答)が開始されます。
- 弾性ストッキング (ダンセイストッキング)
特殊な編み方でつくられていて、強い圧迫力を備えた医療用ストッキングです。弾性ストッキングを装着すると、足全体が圧迫され続けるため、下肢の静脈のよどみが少なくなり、下肢静脈の血流がよくなります。このため、手術の際に血栓(血液の中にできる血のかたまり)ができるのを防ぐために装着します。このほか、足に起こるリンパ浮腫の悪化を防ぐためにも用いられます。
- 地域がん登録 (チイキガントウロク)
地域がん登録とは、特定の地域に住む住民に発生したすべてのがん患者さんを対象とするがん登録のことをいいます。対象地域における各種がん統計値(罹患数・率、受療状況、生存率)の整備を第1の目的としています。
- 地域包括支援センター (チイキホウカツセンター)
地域にあるさまざまな介護サービス提供者の連携のもとに、地域の介護サービスの中核として、介護サービスを円滑に提供できるよう支援する施設です。保健師、主任ケアマネジャー、ソーシャルワーカーが職員として勤務しており、患者さんの相談に応じて必要とされるサービスを受けられるよう調整を行います。また、介護が必要になる状態を予防するための事業なども実施しています。介護保険を利用できます。
- 治験 (チケン)
治験とは、新しい薬の認可を得ることを目的とした、ヒト臨床の場での試験をいいます。薬が開発され患者さんの手に届くには厚生労働省の承認が必要なため、健常者や患者さんに投与して、病気に対する効果や安全性を確認します。一般にヒトを対象にした薬の試験を臨床試験(臨床研究)といいますが、中でも厚生労働省からの承認を目的にしたものを治験といいます。治験は、被験者や患者さんの同意をもって行われ、参加・脱落も自由です。治験が行われている病院では、医師から治療法の選択肢の一つとして紹介される場合もありますが、試験によっては対照薬群(新薬ではない、現在一般に使用されている治療法・薬剤)に入る可能性もあることや、それぞれの試験において組み入れ・除外基準が設けられ、それらに抵触している場合は入ることはできない(途中で判明した場合は脱落例として扱われる)などの制約を受ける場合もあることを知っておくべきです。また、治験は概ね治療に関する範囲では無償で行われますが、中には患者自身がある程度金銭的な負担を要求されるものもあります。抗がん剤の治験の状況は、国立がんセンターのがん対策情報センターのホームページ(http://www.ncc.go.jp)に関連機関の情報も含めて掲載されています。
- 致命率 (チメイリツ)
致命率とは、ある病気と診断された人のうち、その病気で死亡した人の割合をいいます。致命率が高い病気ほど命にかかわる病気だということになります。
- 治癒 (チユ)
病気やけがが完全に治ることをいいます。がんの場合、治療によって検査でみつけられるがんはいったんなくすことができても、再びがんがぶり返すこと(再発または再燃など)が珍しくありません。検査の精度に限界があるため、非常に小さながんが体に残っていても、わからないことがあるからです。病気がぶり返すことがない状態にまで回復したと判断されるときに、治癒という言葉が使われます。がんでは一般に、治療開始後5年間無再発の場合を治癒の目安としています(乳がんは10年)。
- 調剤薬局 (チョウザイヤッキョク)
医師の処方せんに基づいて薬剤師が薬を調剤する施設です。薬剤師は、在宅で療養している患者さんに薬の配達、服薬・管理指導、副作用の説明などを行うこともあります。
- 直腸診(DRE) (チョクチョウシン)
直腸診とは、肛門から直腸へ指を入れて診察をする方法です。 前立腺がんの診断法の一つで、直腸から指を入れて前立腺に触れ、大きさや表面の状態を確認します。前立腺がんの他、痔、直腸がん、前立腺肥大症の診断に役立つ検査です。特に前立腺については、直腸内の壁ごしに触れることができるため、大きさ、位置、硬さなどがよくわかります。
- 通所介護(デイサービス) (ツウショカイゴ)
在宅で療養する患者さんが福祉施設に通って、日常生活の世話や心身機能の訓練(入浴や食事の提供、排泄の介助やレクリエーションなど)を受けられるサービスで、介護保険が適用されます。施設の利用者の能力に応じて自立した生活を送れるよう、日常生活上で必要な世話を行い、同時に心身の機能を維持することを目的としています。
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- 通所リハビリテーション(デイケア) (ツウショリハビリデーション)
在宅で療養する患者さんが病院、診療所、老人保健施設に通って、理学療法や作業療法、その他のリハビリテーションを受けられるサービスで、介護保険が適用されます。治療計画に基づいたリハビリテーションを中心に身体機能の回復や機能の低下の予防を図り、在宅で療養する患者さんが自立して生活できることを目的としています。
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- TNM分類 (ティーエヌエムブンルイ)
TNM分類とは、そのがんがどれくらい進んだものか(病期)でがんを分類する方法です。「TNM分類」の「T」は原発のがんの広がり、「N」はがん細胞のリンパ節への転移の有無と広がり、「M」は原発から離れた臓器への遠隔転移の有無を意味します。がんの進行度を判定する基準で、国際的な規約として使われています。
- T細胞(Thymus-derived cell: T cell) (ティーサイボウ)
T細胞は主に感染した細胞を見つけて排除する役割をしています。骨髄幹細胞から分化し胸腺(Thymus)内で成熟することからTリンパ球と呼ばれています。T細胞には大きく分けて3種類あり、それぞれの役割は指令塔(ヘルパーT細胞)、殺し屋(キラー細胞又は細胞障害性T細胞)、抑え役(レギュラトリーT細胞、Treg)の三役に別けられます。
- 適応外 (テキオウガイ)
適応外とは、薬や検査などを保険診療で認められている以外の病気に使うことをいいます。保険診療では、薬の場合、一つひとつの薬について、どんな病気に使ってよいか、その使用できる範囲が定められています。たとえば、海外で使われている薬でも、日本で臨床試験(治験)を経て有効性と安全性が認められなければ、保険が適用されません。日本で承認されていない薬の使用は、患者さんと医師の十分な話し合いと合意の上で薬を使うことができますが、その場合、診療にかかる費用は全額を患者さんが負担しなくてはなりません。
- 適応障害 (テキオウショウガイ)
適応障害とは、環境の変化や病気になったことなどによる状況に適応できなく、日常生活に支障が生じる状態をいいます。がんの場合がんと診断されると、死の恐怖、痛みへの恐れ、治療による副作用の不安、社会的・経済的な心配など、さまざまな心理的ストレスがかかります。このため、精神的に混乱し、ふつうの日常生活を送ることができないほどの強い不安を感じたり、抑うつ状態に陥ったり、不眠になったり、食欲がなくなったりすることが少なくありません。このようながん治療中の精神的な治療も緩和ケアに含まれており、そのような場合は主治医をはじめ医療従事者への相談や心のケアを専門とする先生に診ていただくことが大切です。
- 摘出 (テキシュツ)
摘出とは、手術で切り取って組織を取り出すことをいいます。がんの手術療法では、がん細胞のかたまりの部分や、がんが広がっている疑いのある周囲のリンパ節などを切り取って、一緒に取り出します。摘出された組織は、がんの悪性度や性質を調べるための病理検査を行い、また最近はあらかじめ患者さんに了解をいただいたうえで、遺伝子解析などに使われることがあります。
- テストステロン (テストステロン)
テストステロンとは、主に精巣でつくられる男性ホルモンをいいます。前立腺がんに対して、がん細胞を増殖させる性質があり、テストステロンに刺激されて発生し進展します。そのため、テストステロンの分泌を減らしたり、働きを妨げたりする薬をもちいたホルモン療法が行われます。
- デスモソーム(接着斑) (デスモソーム)
デスモソームとは、隣り合った細胞が接着するための構造をいいます。両方の細胞の細胞膜の間に1枚の円形をした板があり、さらに、その板と同じ大きさの板が両方の細胞膜のそれぞれ細胞質側にあって、計3枚の板が押しつけ合ってくっついている形をしています。
- デポ剤 (デポザイ)
デポ剤とは、薬の有効成分が非常にゆっくりと(数ヶ月単位で)放出するように工夫された注射剤のことをいいます。皮下注射か筋肉注射で使用されます。
- テロメア、テロメアーゼ (テロメア、テロメアーゼ)
テロメアは、染色体の両端に存在し、特徴的な繰り返し配列をもつDNAと、様々なタンパク質からなる構造をしています。正常の細胞は細胞分裂のたびにテロメアが短縮するため、細胞分裂の回数に限度があります。テロメアーゼというテロメアを修復する酵素は通常は働きませんが、これが働くとテロメアが短縮されず、無限に細胞分裂が可能になるとされ、がんの発生との関連性が強いとされています。
- 転移 (テンイ)
転移とは、がん細胞が血管やリンパ管を介して、身体のあちこちに飛び火することをいいます。がん細胞はどんどん増えてかたまりを作りますが、そのうちの一部が血液やリンパ液の流れに乗って別の場所に移動し、そこで新たなかたまりを作り始めます。
- 点変異 (テンヘンイ)
点変異とは、染色体DNAの突然変異の一つで、DNAを構成しているヌクレオチドのどこか1個所だけが正常のDNAと異なっている状態をいいます。結果として作り出されるアミノ酸が正常と異なるものになる場合があります。
- 凍結融解壊死療法(cryoablation) (トウケツユウカイエシリョウホウ)
凍結融解壊死療法とは、がんの中心部に刺した針から高圧ガスを噴出させ、マイナス185度の超低温にして腫瘍細胞を殺します。次いでヘリウムガスで加温し壊死に追いやる方法です。凍結した部分がMRIで明瞭に見えるので、ラジオ波焼灼法よりも正確な処置が可能とされます。現在、慶応大病院で実施中です。
- 同種移植(allogenic transplantation) (ドウシュイショク)
同種移植とは骨髄移植の場合、移植を受ける本人以外で免疫型が適合する人の骨髄の一部を採取して、患者さんに移植することをいいます。(←→自家移植)
- 疼痛 (トウツウ)
疼痛とは、ずきずきしたり、うずいたりするような痛みのことをいいます。痛みにはいろいろな種類がありますが、疼痛という言葉は、医学では痛み全般を指しています。がんによる痛みの場合は、がん性疼痛という言い方をすることがあります。
- 導入療法 (ドウニュウリョウホウ)
導入療法とは、本格的な治療を実施する前により治療効果を高めるために実施する治療のことをいいます。
- 投与 (トウヨ)
投与とは、医薬品を患者さんに注射したり、服用してもらうことをいいます。
- 突然変異型(→野生型) (トツゼンヘンイガタ)
ある形質について集団中で大多数を占める形質を野生型といいます。DNAや染色体の変化などによって突然変異(遺伝物質の塩基配列または塩基の数に生じた永続的変化により、遺伝的形質が変化すること)が生じ、それによって集団の野生型とは異なる形質の個体が生じたとき、それを突然変異型といいます。
- ドナー(臓器提供者) (ドナー)
臓器移植において、臓器を提供する人をドナーといい、移植を受ける人をレシピエントといいます。臓器移植は、生命を維持するための重要な臓器が十分に機能しなくなり、移植でしか治せない場合に行われる医療です。肝臓や腎臓の移植では、主に亡くなった人から提供を受ける場合と、家族から提供を受ける場合とがあります。提供を希望する場合は、(社)日本臓器移植ネットワークに登録し、順番を待つことになります。家族間の移植については、家族や担当医とよく話し合うことが大切です。
- ドナーリンパ球輸注(DLI) (ドナーリンパキュウユチュウ)
ドナーリンパ球輸注とは、他の人のリンパ球を患者さんに注射し、そのリンパ球にがん細胞を攻撃させる治療法をいいます。
- 頓服(頓用(とんよう)と呼ばれることもあります) (トンプク)
薬の服用方法(飲み方)で、食前、食後、就寝前などのように定期的に内服するのではなく、症状に応じて服用することをいいます。頭痛・腹痛・不眠・発熱のときなどの症状に応じて、あらかじめ担当医から処方された薬を服用します