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更新日:2020/12/22

人生の最終段階の療養生活の状況や受けた医療に関する全国調査結果を公表

国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターは、厚生労働省の委託事業として、約50,000名の遺族(うち、がん患者の遺族は約26,000名)を対象に、患者が死亡する前の療養生活や利用した医療の実態について全国調査を行い、その結果をまとめた。

今回の調査は、2017年の人口動態調査の死亡票情報から「がん」「心疾患」「脳血管疾患」「肺炎」「腎不全」で死亡した患者の遺族を対象に、2019年1月から3月の期間に郵送によるアンケート調査を実施した。アンケートの内容は、遺族からみた「亡くなる前1カ月間の患者の療養生活の質」「亡くなった場所で受けた医療の質」「家族の介護負担や死別後の精神的な負担」などが含まれている。

調査票を全体で50,021名(うち、がん患者の遺族25,974名)に送付し、宛先不明等による不達は7.848名であった。返送数は回答拒否も含めて25,028名、有効回答数は21,309名(うち、がん患者の遺族12,900名)であった。アンケートの回答は、疾患別および死亡場所別に実際の死亡数の比率で調節した推定値を算出した。

死亡する前1カ月間の患者の療養生活の質について、疾患別に「痛みが少なく過ごせた」割合は38.9から47.2%であり、逆に、痛みを感じていた割合は22.0から40.4%であることが推定された(がん40.4%)。また、痛みを含む「からだの苦痛が少なく過ごせた」割合は38.6から43.8%であり、身体的に何らかの苦痛を感じていた割合は26.1から47.2%であることが推定された(がん47.2%)。また、「おだやかな気持ちで過ごせた」割合は41.1から48.7%であり、気持ちのつらさを感じていた割合は25.9から42.3%であることが推定された(がん42.3%)。

亡くなった場所の医療の質として、疾患別に「医療者はつらい症状にすみやかに対応していた」割合は68.2から81.9%であり、「患者の不安や心配を和らげるように医療従事者は努めていた」割合は67.7から81.9%であることが推定された。また、「亡くなった場所で受けた医療に対して全般的に満足している」割合は61.2から71.1%であることが推定された。

人生の最終段階における医療やケアに関する話し合いについて、疾患別に「患者と医師間で、患者が希望する最期の療養場所について話し合いがあった」割合は14.5から36.5%、「患者と医師間で、患者の心肺停止時に備え、蘇生処置の実施について話し合いがあった」割合は24.1から34.4%、「患者と家族間で、意思決定できなくなるときに備え、最期の療養場所や蘇生処置など、患者がどのような医療を受けたいか話し合いがあった」割合は、28.6から42.4%であることが推定された。

家族の介護について、疾患別に「介護をしたことで全体的に負担感が大きかった」割合は40.9から50.7%であることが推定された。また、死別後の遺族が「抑うつ症状」に悩まされている割合は11.7から19.4%であり、長引く「悲嘆」を感じられている割合は18.4から30.1%であることが推定された。

調査を通じて、がん患者については、医療者は患者のつらい症状についてすみやかに対応していたという回答や、医療者は不安や心配を和らげるように努めていたという回答、死亡した場所で受けた医療に対して満足しているという回答の割合が他の疾患よりも高いことが推定された。一方で、がん患者では他の疾患よりも、痛みや気持ちのつらさを抱えている割合が高いことが推定された。

人生の最終段階の医療を改善していくために、すべての医療従事者への緩和ケアの普及、現在の技術では改善が困難な苦痛を軽減するための治療技術の開発、患者や家族への緩和ケアに関する理解の促進などを、より一層進めることが必要である。また、家族の介護負担や死別後も含めた精神的な負担があることが推定され、遺族ケアなど家族に対する支援体制の整備が必要であることが示された。
(Medister 2020年12月14日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース 人生の最終段階の療養生活の状況や受けた医療に関する全国調査結果を公表 ~医療に対する満足度は高いものの、人生の最終段階で、約4割のがん患者が痛みや気持ちのつらさなどを抱えてすごしており、緩和ケアや家族へのケアについて より一層の対策が必要であることが示されました~

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