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更新日:2020/07/06

リキッドバイオプシーによるがん個別化医療の実現を目指す新プロジェクト「CIRCULATE-Japan」始動

国立研究開発法人国立がん研究センター東病院は、大腸がん(結腸・直腸がん)の外科治療が行われる患者を対象に、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を検査する技術(リキッドバイオプシー)によるがん個別化医療の実現を目指すプロジェクト「CIRCULATE-Japan(サーキュレートジャパン)」(研究代表者:東病院消化管内科長 吉野 孝之)を開始した。

外科治療が可能な大腸がんは、手術を行いがんの治癒を目指す。さらに、手術の病理組織検査によって判明するがんの術後ステージによって再発リスクを推定し、術後補助化学療法が行われる。しかし、ステージに基づく再発リスクの推定だけでは、本来必要がない患者にも再発リスクの高い患者と同じ治療が実施されているのが現状である。

近年、より精密にがんの再発リスクを推定する手段として、採取した血液から血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を解析し、診断治療へ応用する「リキッドバイオプシー」の研究開発が進んでいる。米国Natera社が開発した超高感度遺伝子解析技術「Signatera」アッセイは、術後の再発リスクの推定や再発の早期発見の実現が期待されている。

国立がん研究センターでは、2015年2月に産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業「SCRUM-Japan」を立ち上げ、切除困難な固形がん患者を対象に、がん遺伝子異常を調べるプロジェクトに取り組んできた。現在、全国から200を超える医療機関と17社の製薬企業や診断薬企業が参画し、アカデミアと臨床現場、産業界が一体となって、日本のがん患者の遺伝子異常に合った治療薬や診断薬の開発を推進している。 今回新たにSCRUM-Japanの基盤を活用し、国内外約150施設の協力を得て、外科治療が行われる大腸がん患者に対し、最適な医療を提供するための新しいプロジェクトとしてCIRCULATE-Japanを立ち上げた。 2020年5月8日より、根治的外科治療可能の結腸・直腸がんを対象としたレジストリ研究(GALAXY試験)の登録を開始した。本研究には、国内外約150施設(台湾1施設を含む)が参加している。 本研究では、根治的外科治療を予定しているステージ2期から4期を含む大腸がんの患者約2,500名を対象に、術後2年間、リキッドバイオプシーを用いた再発のモニタリング検査(Signatera検査)を行った。手術で取り出した腫瘍組織を用いた全エクソーム解析*6の結果をもとに、患者オリジナルの遺伝子パネルを作製する。その後、術後1か月時点から定期的に血液を採取し、患者毎のオリジナル遺伝子パネルを用いて、血液中のがん遺伝子異常の有無を調べる。 さらに、術後1か月時点でがん遺伝子の異常が検出されないステージ2期から3期の患者1,240名を対象に、従来の標準的治療である術後補助化学療法群と経過観察群とを比較する第3相試験(VEGA試験)も同時に登録を開始する。 本プロジェクトでは、臨床試験を連動させることで、同時並行でより多くの患者の新しい診断治療法の開発が可能となる。この大規模かつ複雑な臨床試験実施体制を構築するには、アカデミアと研究支援企業との緊密な連携が不可欠である。また、長期間の追跡によって得られた貴重な臨床・遺伝子情報の品質担保とプロジェクトの円滑な推進のため、EPSホールディングスと国立がん研究センターは共同研究契約を締結し、この新しい臨床研究開発基盤に相応しい新たな支援体制の構築を目指すという。
(Medister 2020年7月6日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センタープレスリリース リキッドバイオプシーによるがん個別化医療の実現を目指す新プロジェクト「CIRCULATE-Japan」始動 -見えないがんを対象にした世界最大規模の医師主導国際共同臨床試験を開始-

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