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更新日:2022/06/11

ラジエーションハウス 4巻

『ラジエーションハウス 4巻』書評

原作:横幕 智裕/マンガ:モリ タイシ
出版社:集英社
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からだに現れる症状を医師に上手く伝えられないという人は少なくありません。そんな時には医師以外の医療スタッフに伝えてみることも大切です。医師には話せなくても看護師や検査を担当するスタッフになら話ができるという人は多いはず。特にレントゲンなど診断に直結する部署のスタッフであれば患者の訴えをより身近に聞くことも可能です。

ラジエーションハウス第4話では、患者が発したことばをしっかり受け止めたことで、レントゲン撮影に反映でき、正確な診断へとつながったというストーリー。検査を担当した放射線技師の広瀬裕乃は、患者と自分を重ね、何とか治すことができないか、そんな想いが患者を救うことになりました。

最後のライブ

第4話は、放射線技師の広瀬裕乃がX線検査室の前の椅子に座っている患者にことばをかけるところからはじまります。椅子に座っていたのは患者の坂元美月。裕乃は前日、病院内で美月とぶつかり、美月からきつい言葉を浴びせられたばかりでした。すっかり自身をなくした裕乃は、自分には技師の仕事は合わないのではないか、と悩みます。

椅子に座っているのが、昨日ぶつかった患者であることに気づいた裕乃は、再度前日のことを謝ります。すると美月も言い過ぎたと謝罪。お互いの気持ちが打ち解けていきます。さらにふたりの気持ちを近づけたのは、美月が聴いていた音楽でした。それは裕乃にとって思い出の曲であり好きな曲でもあったからです。

音楽の話題で話がはずむふたり。美月はバンドでギターを担当していて、近くライブを開く予定になっていることを裕乃に話すのでした。

バンドは高校時代に同級生と結成し、プロを目指したものの芽が出ないまま気がつけば大学4年となっており、プロの道は諦め、美月は地元に帰って音楽の先生に、そしてみんなそれぞれの道に進むことになったのでした。その前に、と計画された最後のライブ。ライブまであと2週間という大事な時に、美月は肩を痛めてしまい演奏が思うようにできなくなります。肩を治そうと病院を受診した美月でしたが、原因はわからないままでした。

重なる想い

裕乃は美月の話を聞きながら、学生時代の自分の姿と重ねていました。学生時代、バレー部のエースアタッカーだった裕乃。高校生活最後となる全国大会の直前に、全治8ヶ月のケガをして試合に出場できなくなったという辛い思い出でした。特にバレーが強い高校というわけではなかったものの、みんなで最後までがんばろうと話していた矢先のことだっただけに裕乃のショックは大きかったのです。全国大会の予選は敗退し、決まっていた大学の推薦も流れてしまいました。

そんな過去が思い出され、美月に同じ思いはさせたくない、と裕乃は思ったのでした。

美月のレントゲン撮影を担当することになった裕乃は、美月の病気の原因が何なのか判明できるよう、撮影にあたります。病因究明の可能性を最大限に引き出せるように、そして読影をする医師の診断に繋げられるようにと撮影に取り組んだのでした。

患者の声を受け止めてみえてくるもの

カンファレンスルームでは、杏をはじめとする放射線科の医師を交えての読影が行われていました。しかし、医師たちは画像からは異常がみられないと判断。それでも裕乃は、患者には大切な想いがあること。そして早い原因の解明を望んでいることを杏に伝えます。「何とかしてあげてほしい」と。

その想いを受け止める杏。頭に浮かんだのは唯織のことでした。「五十嵐さんの意見も聞きたい」という杏のそのことばに裕乃は唯織を呼びに向かいます。唯織は美月の再撮影を提案していた本人でもありました。唯織はすぐに画像がトリミングされていることに気づきます。トリミングは裕乃の先輩技師が気を利かせて行っていたものでした。

唯織は撮影した裕乃に、何故、肩だけでなく、広い範囲を撮影したのか?と尋ねます。
「患者が肩だけでなく、背中の方にかけて痛そうにしていたから」と答える裕乃。それを聞いてトリミング前の画像に戻し、その周辺の画像に注目する唯織。すると撮影条件が肩の関節にあてられていたため、わからなかった病変があらわれてきたのです。肩の痛みだけでは疑うことは難しい疾患でした。

治療を終えてライブに出ることができた美月は、「最高のラストを飾ることができ、悔いなく新しい一歩を踏み出すことができる」と裕乃の携帯にメッセージを送ります。夜勤でライブに行けなかった裕乃は、そのメッセシージをみて涙ぐむのでした。

診察を受ける時に患者は医師としか話をしませんが、診断が下されるまでには、医師以外の多くの医療スタッフが関与しています。治療はチームで行うもの。患者として診察を受ける側にも知っていてほしい内容です。

執筆者 美奈川由紀 看護師・メディカルライター

国立療養所南福岡病院(現・国立病院機構福岡病院)附属看護学校卒業。看護師
看護師の経験を活かし、医療記事を中心に執筆
西日本新聞、週刊朝日、がんナビ、時事メディカルなどに記事を執筆
著書に「マンモグラフィってなに?乳がんが気になるあなたへ」(日本評論社)がある

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