更新日:2020/12/22
胃がん検診への内視鏡検査導入へ厚労省が指針を改定
これまでにも一部の自治体では、内視鏡による胃がん検診に対する公費負担を行ってきたが、指針が改訂されれば、全国的に拡大する可能性がある。
この方針は、2015年4月に国立がん研究センター(以下、国がん)が公表した「『有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン』2014年度版」の存在が大きいと考えられる。国がんでは、従来のX線撮影のメリットとデメリットを指摘、さらに内視鏡検査についてもメリットとデメリットを指摘している。その上で、内視鏡検査による死亡率減少を示す相応な証拠があるとしており、市区町村で行われる胃がん検診へ「推奨する」こととしていた。
ガイドラインによる、それぞれのメリットはいずれも「利益(死亡率減少効果)を示す相応な証拠がある」という点。一方のそれぞれのデメリットは以下の通りだ。
●X線検査:偽陽性、過剰診断、放射線被ばくの可能性
●内視鏡検査:偽陽性、過剰診断、前処置の咽頭麻酔によるショックや穿孔・出血などの偶発症の可能性
いずれの検査でも、検査を受ける側からすれば、前日からの禁食や検査中のつらさなど、「辛くない経験」ではない。しかし、日本人、特に40歳以降に多いと言われる「ピロリ菌感染」への対処としては、内視鏡の方が優れている可能性がある。
また、内視鏡には経口と経鼻の2種類があり、経鼻内視鏡であれば、検査中に会話が出来る、経口よりは苦痛が少ないなどのメリットもある。検査を受ける側から見ると、胃がん検診における選択肢が増えることとなり、検診受診率の向上も期待できるのではないだろうか。
(Medister 2015年7月6日 葛西みゆき)
<参考資料>
厚生労働省 第14回がん検診のあり方に関する検討会(資料) 乳がん検診、胃がん検診等に関する議論の整理及び論点等 同上 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針 厚生労働省 第13回がん検診のあり方に関する検討会(資料) 胃内視鏡検診の処理能
胃と腸 2015年 7月号 主題 胃がん検診に未来はあるのか