更新日:2020/12/22
国がんが胃癌検診に「胃カメラ」も推奨 2014年版ガイドラインより
これまでのガイドライン(2005年度版)では、バリウム検査(X線検査)のみが「推奨」となっており、胃カメラはその死亡率減少効果を表すデータが不十分であったため、「推奨」とはなっていなかった。
胃がん検診で行われているX線検査は、癌の早期発見とそれによる早期治療を始めることで、死亡率を減少させる効果が確認されているため、多くの検診で取り入れられていたが、一方で「検査による放射線被曝」も問題視されていた。
国がんでは、近年行った研究により、胃カメラによる検査で胃癌の死亡率減少の効果が確認されていることから、今回の発表に至ったという。
国がんがこのガイドラインを公表したことにより、厚生労働省が進めるがん検診の指針見直し作業や、自治体での住民検診も変わってくるかもしれない。国の指針でも胃カメラが推奨されれば、住民検診に胃カメラを導入する自治体が増えると考えられる。
いずれの検査でも、偽陽性や過剰診断の懸念はある。また、胃カメラには前処置の咽頭麻酔によるショックや穿孔・出血などの偶発症の可能性もある。これらを勘案し、検診対象は50歳以上であること望ましいが、検診間隔は2~3年とすることが可能となる。
日本の胃癌検診受診率は未だ50%にも満たない。2013年の国民生活基礎調査(3年ごとに調査)による都道府県別がん検診受診率データでは、40歳以上で36.7%だ。女性よりも男性の方が受診率が高いが、それでも42.6%しかない。今後、胃カメラが推奨され、検査の選択肢が増えれば、検診受診率の向上に寄与する可能性がある。重篤な偶発症に迅速かつ適切に対応できる体制が整備などの課題もあるが、今後の動向に注目したい。
(Medister 2015年4月22日 葛西みゆき)
胃の拡大内視鏡診断 第2版