更新日:2020/12/22
来年度より中学生のピロリ菌検査がスタート 秋田県由利本荘市、にかほ市

両市は、胃癌による死亡率が全国平均(2011年度統計 10万に当たり39人)を大きく上回っている(由利本荘市:65.6人、にかほ市:62.4人)。その一方で、2012年度の胃癌検診受診率は16%にとどまっている。
実際には、本人と保護者が同意した場合、学校検診の際に尿検査によるピロリ菌抗体検査を行う。陽性と判断された生徒には地域の総合病院で2次検査を受け、ピロリ菌が確認されたら、自己負担額1,000円で除菌治療を受けることが出来るという。
ピロリ菌感染は、家庭内でおよそ80%、家庭外でおよそ20%の感染が起こるといわれている。多くの場合、乳幼児期や幼少期に、両親(特に母親)の唾液から感染すると考えられている。これまでにも同様に、中高生を対象としたピロリ菌抗体検査を実施している地域はある。例えば、北海道大学を中心として、夕張市・福島町・稚内市では、中高生を対象とした尿検査の実施を行っている。中でも稚内市は2014年度は高校生からスタートし、2015年度には中学生まで拡大予定だ。また、兵庫医科大学を中心とした地域では「中学生、高校生における尿中ピロリ菌抗体検査診診断能の検討」とした臨床試験が、2014年6月から始まっている。さらに大阪府高槻市では、中学2年生でピロリ菌感染が確定した場合は、治療費まで無料とする取り組みが、同じく2014年度からスタートし、治療費まで全額助成している。
日本における胃癌の罹患数は2010年のデータではおよそ12.6万人。死亡数は同年でおよそ5万人。罹患数も死亡数も減少傾向にはあるが、日本は世界的にみても罹患率が高い。中高生の頃からのピロリ菌除菌が一般的になれば、いずれこの数値は大きく変わってくるであろう。全国的にも拡大することを期待したい。
(Medister 2014年12月10日 葛西みゆき)

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