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日本人の肝臓細胞癌患者における、特異的な遺伝子異常を発見
更新日:2020/12/22
日本人の肝臓細胞癌患者における、特異的な遺伝子異常を発見
2014年11月3日、国立がん研究センター(理事長:堀田知光)と東京大学(総長:濱田純一)は、米国ベイラー医科大学との共同研究で、日本人を中心とする肝細胞癌症例608例のゲノム解読を行い、新たな治療標的候補の同定、また日本人に特徴的な発がん要因の存在の推定に成功したと発表した。この研究成果は、米科学誌「ネイチャージェネティクス」(電子版)で、同日に公表された。 この研究では、まず日本人の肝細胞癌症例413例、および米国人90例(合計503例)の癌組織・正常組織について、高速シークエンサーを用いた全エクソン解読(一部の症例では全ゲノム解読)を行い、ここで得られた情報を東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターのスーパコンピューターを用いて解析した。その結果、遺伝子異常であるドライバー遺伝子(今回新たに同定した13個を含む)があることを確認、中でもテロメラーゼ遺伝子の異常が、約70%と最も高頻度であることを発見した。 さらに研究グループは、上記の503例に米国人の肝細胞癌105例の全エクソン解読データを合わせた、合計608例のゲノムデータを用い、発癌要因・人種間における突然変異のパターンの相違点について解析を行った。その結果、日本人の肝細胞癌に特徴的な遺伝子の変異パターンが存在していることが判明した。遺伝子の変異パターンとは発癌要因と密接に関連するものであり、この結果は、日本人に特徴的な肝炎ウイルス感染ではない未知の発癌要因が存在していることを示唆している。 この結果について国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科長の奥坂医師は、「肝細胞がんにおけるB型、C型肝炎ウイルス以外の原因や人種差の解明に寄与しうる重要な研究と考えます。また、この研究をきっかけに、治療薬の少ない本疾患においても新しい有効な薬剤開発が推進することが期待されます。」と述べている。 日本での肝細胞癌5年相対生存率は、未だ30%にも満たない。この研究成果が、新しい治療薬の開発に繋がると期待したい。 (Medister 2014年11月5日 葛西みゆき)
科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン 2013年版
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