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癌になっても働ける社会となるのか 癌患者の就労について考える
更新日:2020/12/22
癌になっても働ける社会となるのか 癌患者の就労について考える
日本における癌患者の就労が問題となっている。 2014年4月17日に行われた、厚生労働省の「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」において、癌患者の就労問題が明らかとなった。厚生労働省による調査に対して回答のあった411の企業・団体からの回答をまとめた結果、「癌患者の就労支援に対する取り組みを実施している」と回答したのは、わずか10%だった。また自社(自団体)内の癌患者数を把握している企業・団体は44%と、半数にも満たないことが分かった。 患者側からの視点では、癌に罹患したことによる不安・就労に対する自信の低下が生じるが、それを企業側に伝えることができない。癌治療に必要な休暇、あるいは体力等の低下による職務内容の変更など、癌患者が働く上で必要な企業の配慮・支援を申し出ることが難しいという現実が明らかかとなった。中には企業側から退職勧告を受けるケースもある。また、癌患者の看病は、育児・介護休業の対象となりにくく、家族の闘病のために退職するするケースも後を絶たない。 そんな中、岐阜市のNPO法人が岐阜県内のホテルと協力し、癌患者の症状や治療などを考慮しながら働ける場をつくる取り組みを始めた。昨年あたりからハローワーク内に専用の職員を配置し、癌患者の就労支援を行うモデル事業も開始されているが、NPO法人が主体となって実際に就労の受け皿を提供する取り組みは、全国的にも珍しいという。 その一方で、愛知県のがん診療連携拠点病院とがん診療拠点病院の6割超が癌診断時に患者からの就労状況を聴取しておらず、専門職による相談支援を実施している施設はわずか1か所であるという事実も明らかになっている。 労働者人口の減少が続く日本では、少しでも多くの働き手を確保する必要がある。今や3人に1人が癌になる時代。多くの癌が早期発見・早期治療により治癒する可能性もある現実を踏まえると、癌患者でも働ける社会を早急に構築する必要がある。そのためには癌患者やその家族、企業側だけではなく、医療者側での意識改革も重要となるだろう。 (Medister 2014年5月12日 葛西みゆき)
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